北野商店街の糸源へ、鱧を食べに行きました。もちろん、ひとりで。

2011年8月12日(金)


北野商店街の糸源へ、鱧を食べに行って来ました。もちろん、ひとりで。

京都の夏といえば、鱧。
というわけで、ひとりで鱧が味わえる店を探し求めるこの企画、遂に上京区へ進出です。
こちらの糸源は、かつてN電が走っていた北野商店街にある、料理屋。
N電というのは、知ってる人は知ってるでしょうが、知らない人は知らないでしょうから説明すると、
明治に京都電気鉄道・通称京電が開通させた、北野天満宮と京都駅を結ぶ路面電車です。
同時期に敷設された路線の多くが市電化されて広軌となったのに対し、
唯一狭軌(Narrow Gauge)のまま残った路線。N電の「N」は、もちろん「Narrow」の「N」。
明治のままな車輌が京の街並を走る往時の姿は、廃止からちょうど半世紀経った現在も人気が高く、
「せめてN電だけでも残ってたら、いい観光資源になったのに」と、悔やむ声も多し。
時の変遷を経て、一応「廃線跡」である堀川通は景観そのものさえ大きく変貌しまくってますが、
この北野商店街のあたりにはまだ微妙に「鉄」の匂いが残っている気がします。
特に、七本末中立売から天神さんまでのカーブとか。何か実に「廃線跡」っぽいなあ、と。
元々このあたりは北野の下の森と呼ばれる北野社の境内だったそうで、
まず鉄道が敷かれ、それにつれて道が出来、商店街が形成されたんだとか。
鉄に先導され街が出来ると、廃線後も動線とかから鉄の匂いが漂うもんなんでしょうか。
と、とりとめのない話は置いといて、糸源です。鱧です。鱧しゃぶです。


北野商店街に立つ、糸源。真隣は、天神さんの茶屋で有名な、長五郎餅の本店です。
ちょっと歩いて今出川通りに出たら、とようけ茶屋など観光客に人気の店が並びますが、
この辺は徹底して地元モード。向かいの「きたの昆布」とか、いい味出してます。
糸源、公式サイトを見ると戦後すぐの開業とか。その頃には店の前をN電が走ってたんでしょうね。


店外に出てるメニュー。一日限定20膳、3000円也の「はも膳」が大きくフューチュアされてますが、
落としは欠かせないので、気張ってミニ鱧コース4300円也を頼みます。
この時間(13:50)に一人で大丈夫かと訊ねましたが、OKでした。


寿司屋風のカウンターで待ってると最初に出て来た、先付三種、そして落とし入り造り。


鱧の落とし、そしてハマチとマグロの刺身。氷の上に盛られたビジュアルが鮮烈ですね。


先付三種。鱧の松風っぽいのと、鱧の卵を使った何らかのものっぽいの。
何の料理かを尋ねる前に一瞬で食いきったため、素性は不明です。


続いて、鱧の落とし入りそうめん。もちろん、冷です。鱧は当然ながら、出汁もウマー。


鱧の寿司。手堅く。


鱧と野菜の天ぷら。手堅く。


そして出ました、鱧しゃぶ。4300円ですが、鱧しゃぶが出てしまいます。
生で食べたくなるような美味げな身が、いっぱい。


やっちゃいます。しゃぶしゃぶ、やっちゃいます。
真っ昼間ですが、おまけにひとりですが、堂々としゃぶしゃぶ、やっちゃいます。
何か今、人生に勝った気分でいっぱいです。


しゃぶしゃぶし始めると同時にすかさずサイドへ参上した、ご飯&卵。
もちろん、〆の雑炊要員です。鍋に隠れてますが、しっかりネギと海苔もついてます。


で、雑炊。
半分以上食ってしまったあとで、写真を撮り忘れたことに気づいた、雑炊。


ラスト、水物。
以上であります。ごちそうさまでした。

客は14時台で3分の1くらいの入り。
昼は1000円前後のサービスメニューがあるためか、
おばちゃん+お婆ちゃん+小さい子供の家族連れや近所のつれあいが大半。
ただ、何故か時間が経つにつれサラリーマン風の客が増加。
あと、私が座ったカウンターの他の席は、予約客の用意でほとんど埋まってました。

そんな糸源の鱧。
好きな人と食べたら、より京都の夏の風物詩なんでしょう。
でも、ひとりで食べても、京都の夏の風物詩です。

【ひとりに向いてる度】
★★★★
各種プレッシャーはなし。
敷居の高さも特に感じない。
夜になったら知らないけど。

【条件】
金曜 13:50~14:50

糸源
京都市上京区一条通七本松西入ル
11:00~21:00 木曜定休

京都市バス
千本中立売 or 北野天満宮下車 徒歩6分
嵐電 北野白梅町駅下車 徒歩10分

公式 – いらっしゃいませ 糸源へようこそ

食べログ – 糸源 いとげん