京の七夕の堀川会場へ行ってきました。もちろん、ひとりで。

2011年8月12日(金)


京の七夕の堀川会場へ行ってきました。もちろん、ひとりで。

京の七夕。ざっくり言えば、夏季閑散期の客寄せイベントです。
集客の華・祇園祭が終わり、8月に入ると、京都は観光客が減ります。理由は、暑いから。
暑いだけなら海水浴場も同じですが、京都の盆地性の暑さというのは、何というか、体に悪い。
「北欧から来た留学生が、暑過ぎて死んだ」という噂がまことしやかに囁かれるくらい、
独特のバッドな内蔵侵食感および神経破壊感が、暑さに伴います。
京都の観光スポットの大半は昼間に見るもんですから、そんな暑さの中での観光はもはや、苦行。
「こんな季節に京都へ来るのは、やめときなはれ」と考えるのが普通の人ですが、
「こんな季節でも京都に来て欲しい、体が壊れても」みたいなことを考える方もいらっしゃるようで、
ほんのちょっとだけ暑さがマシになる夜間を狙って、イベントを新規立ち上げ。
旧暦の七夕と夏季閑散期がカブってるのに目をつけ、鴨川と堀川の2会場で電飾を灯し、
市民に書かせた短冊を飾り、なんとか観光促進を計るというのが、京の七夕であります。
去年の2010年度から始まり、まずまずの成果を残したそうですが、
「祈り」や「願い」、そして何より電気の意味が全く変わってしまった今年は、どうなんでしょう。
そんなことを考えたり、考えなかったりしながら、堀川会場へと足を運びました。


まず、会期中の夜間は入城料が無料になる二条城へ入ります。
ここでは、冬の嵐山花灯路で法輪寺でも行なわれた、デジタル掛軸・DK LIVEを開催。
サイケデリックなCGを伽監へ投映し、寺院をトランス系のビジュアルへ仕立て上げる、DK LIVE。
今夜はどんな「飛び」を見せてくれるでしょうか。


その前に、境内に展示されたメッセージ行灯を見ていきます。
各界の錚々たる著名人による震災支援のメッセージを、行灯に書いて展示するもの。
で、手前は私の地元・石清水八幡宮の宮司にして神社本庁総長である、田中恆清氏の行灯。
八幡宮宮司、何故か実行委員会の顧問やってます。一体、何を狙ってるんでしょうか。
そういえばちょっと前、神社本庁の職員が義援米を自分で食ってましたね。


春のライトアップ時と同じく、記念撮影する人で溢れる、夜の唐門。
が、春とは違い、今回は二の丸御殿のそばまで近寄ることができます。
向こうには、何やら見慣れぬ不穏な色彩、あり。


で、二の丸御殿です。信じられないかも知れませんが、一応、二の丸御殿です。


二の丸御殿です。信じられないかも知れませんが、多分、二の丸御殿です。


二の丸御殿です。信じられないかも知れませんが、きっと、二の丸御殿です。


台所では、物産展や、陶芸や伝統産業体験教室などのセミナーを開催。
物産展は宮城と福島の特産品も販売し、甲冑姿の伊達政宗公も太鼓を鳴らしながら登場しました。
私は福島の「いかにんじん」と白石の「温麺」を買いましたよ。


二条城で充分にトリップしたあとは、メインの見世物である堀川の歩道を歩きます。
北行一方通行になってるため、二条城を出て一旦堀川御池まで下ってから、スタート。
案内所で絵はがき短冊を購入すると、川を流れる青い玉「いのり星」を、自分でも放流できます。


どうでもいいことですが、「いのり星」、流れるのがかなり速いです。
暗いところで写真撮ると、青い電光ミミズがのたうちまわるような絵ばかり誕生します。
たまにどっかに引っかかって静止してくれても、スタッフさんが棒で突いて、すぐ放流。

堤防壁には、京都芸大生による「光のオマージュ」を展示。
現代版鳥獣戯画みたいなのが照明で描かれてます。写真は、何となくチンポムな香りがする逸品。


出ました、光の友禅流し。
幾重にも色が重なって表現される、京友禅の華やかさ。
それを、堀川の水と、刻々と変化するライティングで、水面に艶やかに浮かび上がらせるというもの。


友禅+水面+光のコラボが生む、変幻自在のビジュアル。実に幻想的です。
加えて、見るのに必死な奴と撮るのに必死な奴から川へ突き落とされる恐怖と、
「立ち止まらないで下さい」と絶叫し続けるスタッフの声が、幻想的な光景をより幻想的にしています。


鳥獣戯画のみならず、学生さんによる竹と光を用いたアートなオブジェは、至るところで展示。
写真は、何故か妙に色っぽい絵になってしまった、白熱電球絹布隠し(何じゃそれは)。


こちらは「これはわかる」「俺でも作れる」と、客に親しまれていた「爆竹」。
BUCK-TICKの頭を連想したあなたは、きっともういい歳です。JUST ONE MORE KISS。


明治7年製の石造りアーチ橋である堀川第二橋、別名・下立売橋の下。
まるで地下の下水道のごとき妖しくも美しいビジュアルが、好き者の心をくすぐるはずです。
丸太町橋付近の「いのり星ナメのパチンコオメガ」なんて絵も、結構、味ありますよ。


堀川会場最大の目玉である「光の天の川」でございます。
ライトアップされた竹のアーチで、夜空に浮かぶ天の川を再現した、イルミネーション。
「川」の中は立ち止まるのが禁止されてるため、入り口手前に撮影スペースが確保されてます。
で、その撮影スペースは当たり前ながら、人間だらけ。
最前列で突っ立ち写真撮り、その場に突っ立ったまま写真の確認して悦に入る輩、大量発生です。


天空を彩る電飾天の川、そしてその向こうで燦然と輝く、伸和社・京都中央祭典ホール。
言うまでもなく、スタッフの「立ち止まらないでくださいっ」コールは、エンドレスで響きまくり。
会場BGMの素性不明の中華風曲、そして川の上を進軍する伊達政宗の太鼓ともコラボして、
実に幻想的な音響空間を現出しています。


レミングの行進で「天の川」を抜けると現れる、本当はこれが一番大切な、願い七夕。
地元の子供たちが書いた短冊を飾りつけ、歩道の両サイドに約80本の七夕飾りを配置してます。


さらに進むと見えてきた、冥界の入り口の如き一条戻り橋の橋脚・・・というのは大嘘です。
これは、堀川第一橋。京都御所と二条城を結ぶ、明治6年製の公儀橋でございます。
手前にはN電の遺稿が残り、チンチン電車がらみの展示がありました。


仙台の七夕飾りが設置された、いこいの広場。ここにも伊達政宗が太鼓の響きと共に登場。
「京都だとこの格好でもあんまりインパクトないね」と言いながら、写真撮影などに応じてました。


味もそっけもない本物の一条戻り橋手前に飾られた、地域児童による復興支援タペストリー。
この向こうには、偽造ホタルが輝く「ホタルの森」がしばし続き、歩道終了となります。
それにしても、今夜もひとりですんません・・・。

客層は基本的に、烏合。
カップル、女性グループ、混成グループ、各種中年、単独、全部います。
観光客もたくさんいるし、地元系もたくさんいる、拝観無料ならではの烏合状況。
全体の年齢層が若めなのと、二条城に中国人がやたら多い以外は、特に偏ったところはありません。
観光客はもちろんとことん観光ハイですが、地元系の多さがブレーキにでもなってるのか、
過度にはしゃいでる印象はなし。カップルも、特に恋愛ハイに陥ることなし。
無料スポットに沸きがちなどうしようもない奴等は、あまり見かけませんでした。
人は見たまんまに多いですが、渋滞で全く動かないというわけでもなし。
ひとりにとっては、良くはないけど最悪ではない、という感じでしょうか。

そんな、京の七夕・堀川会場および二条城 DK LIVE。
好きな人と行けば、より客寄せなんでしょう。
でも、ひとりで行っても、客寄せです。


【客層】 (客層表記について)
カップル:3 (どこにでも転がってる若いの)
女性グループ:2 (地元冷やかし系)
男性グループ:若干 (冷やかし系)
混成グループ:1 (中国人グループ+観光客)
子供・修学旅行生:0
中高年夫婦:1 (地元+観光)
中高年女性グループ:若干
中高年団体 or グループ:2
単身女性:若干 (普通の娘)
単身男性:若干 (若いカメラマン及び変な奴)

【ひとりに向いてる度】
★★
色気・人圧とも、プレッシャーはそれなりにある。
自他ともに「写真撮りに来た、あくまで」と
言い聞かせる態度でいれば、多分、大丈夫。

【条件】
平日金曜 19:15~21:40

京の七夕
毎年8月上旬開催
19:00~21:30

堀川会場
堀川御池~堀川今出川および二条城
市営地下鉄東西線 二条城前駅下車すぐ
京都市バス 二条城前下車すぐ

公式サイト – 京の七夕