嵐電・妖怪電車に乗ってきました。もちろん、ひとりで。

2011年8月21日(日)


嵐電・妖怪電車に乗ってきました。もちろん、ひとりで。

妖怪電車。
それは怨霊都市・京都が生み出した、路面電車の妖怪変化。
かつては市内交通の花形として活躍したにも関わらず、マイカー普及で邪魔者扱いされた挙句、
遂には現役半ばで命を絶たれ、忘却の彼方へ追いやられた京都の路面電車たち。
無念の死を遂げた者が怨霊と化すのは、京の道理。
芋も揚げも「さん」づけする奇怪なアニミズムが、路面電車に魂を吹き込むのも、京の道理。
というわけでこの街には、電車に関する様々な呪いがうずまくこととなりました。
利便性のみならず、ルックスが街並に調和してたことでも人気が高い、京都市電の呪い。
各地で晒しものにされる、特に八幡ポンコツ街道で無残に朽ち果てた姿を晒される、市電車輌の呪い。
京津線路面区間廃止+東西線乗り入れで、二重運賃に苦しめられる山科区民&大津市民の呪い。
これらの呪いは盆の季節になると、京都唯一の路面区間を持つ嵐電へ、集結。
観光客で一杯の車内を、化け物がうろつく魔界へ変化せしめる・・・というのはもちろん、大嘘です。
山科区民&大津市民が呪ってるのは本当かも知れないけど、あくまで大嘘です。
ポンコツ街道の「熊野」行きも、熊野古道まで行きそうな霊気を放ってますが、あくまで大嘘です。
妖怪電車は、嵐電2007年の単発企画・鬼太郎ラッピング電車「化け電」が、慣例化したもの。
以後、学生ボランティアの力を借りて着ぐるみや車内装飾にも気合を入れ、
今や京都の夏の風物詩としての認知度さえ誇る、企画列車なのであります。


嵐電の始発駅である四条大宮駅は、阪急大宮駅と交差点を挟んで向き合ってます。
河原町を除けば、京都では珍しく「鉄」や「ターミナル」な匂いがするエリアと言えるかも知れません。
近くには伝説の王将1号店があり、周囲には濃厚なるコーテー香が立ち込めてます。


どれだけ乗っても運賃は200円均一の嵐電ですが、今夜の妖怪電車はチケット前売り制。
といっても、値段は同じ200円。運賃200円+妖怪代200円ではなく、ジャスト200円。
写真左部のきっぷ売り場でチケットを購入します。ちなみに、18:04発の便は早々に売り切れ。
私が乗った19:34発の便は、発射間際でもチケットがありました。


これが、妖怪電車。
鬼太郎キャラがペイントされた車輌に「化け電」のヘッドマーク、そして方向幕には「妖怪電車」。
そして、このクソ暑いなか、コートを翻して現われたのは、妖怪車掌。


記念撮影を頼むと、快く応じてくれた、妖怪車掌。ありがとうございます。
上腕に開いてる穴が、ボロデザインというより通気口に見えてしょうがありません。


車体に描かれた妖怪電車のイラスト、そして赤く染まる「団体」表記。
因みにこの妖怪電車、コスプレなどで妖怪に見える格好をしていたら、料金が50円になります。
素顔のままで「独男です。平成の妖怪です」と申請しようかと思いましたが、やめときました。


車内へ乗り込み、発車を待ってると、早くも妖怪が電車へのたくりこんできました。
まずは、プレーンな幽霊さん。一気に車内のボルテージが上がったところで、妖怪電車、出発です。


手作り感溢れる装飾を青白い照明が照らす車内で、ひたすらウロウロする幽霊さん。
当然車内は満員なんですが、前売り券で客数が管理されてるため、すし詰め状態ではありません。
妖怪さん達は、隅から隅までよく動いてくれます。


あまりにも強い霊気を放ってるために、きちんと撮影できなかった、何らかの妖怪。
ピンボケではありません。あくまでも心霊現象です。


子供を泣かせたり大人を笑わせたりと、ノンストップでサービスに励む、幽霊さん。
電車は一応、各駅で停車します。が、客の乗降はなし。代わりに、妖怪の乗降は行なわれます。
要員交代ですね。確か太秦広隆寺あたりで別の妖怪が乗り込み、車内の霊気をさらに上げてました。
もちろん、停まったホームの客からは、思いっきり怪訝な目で見られたりします。

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北野線との分岐駅である帷子ノ辻でも、ホームでじぃ~っと待ってた化け物がご乗車。
ここで登場した奴らは、確かに、エグかった。小さい子が、シャレにならない泣き方をしています。


帷子ノ辻乗車組の、別の妖怪。エヴァ量産型が何かに噛まれたような、これまた怖い顔。
子供達の阿鼻叫喚、凄いです。


もう一匹の比較的コミカルな顔の妖怪も、やはり強過ぎる霊気により、まともな撮影が不可能。
ピンボケではありません。あくまでも心霊現象です。


泣き声と笑い声に沸く電車は、やがて終点・嵐山へ到着。約20分の旅でございました。
妖怪に誘導で、乗客はホームに下車。


嵐山駅では、着物姿のエイリアンと妖怪グッズ各種の販売会がお出迎え。
ちなみに駅構内の嵐電直営飲食店では、
「妖怪ブラッドジュース」「傘化け氷」「ぬりかべプレート」などの妖怪メニューを期間限定販売中。
運賃200円では心苦しいという方は、お金を落としていくのもいいんじゃないでしょうか。


妖怪が名残惜しくて、ホームに居残り気味の乗客たち。
車体の向こう側では、折り返し四条大宮行きの妖怪電車に乗る客が、既にいっぱいでした。


妖怪電車、外から見るとどんなだろうと思い、帰り道、路面区間の山ノ内駅で降りて観てみました。
案外、普通・・・。


次の普通電車で四条大宮へ戻ったら、さっきの妖怪電車の客が引けたところ。
仕事終わりの妖怪が、車内から愛嬌を振りまいてくれました。ありがとう。

客層は、9割が小さい子供連れ。
といっても、自分を幸せと思い込もうとして無理にはしゃぐ観光系のニューファミリーではなく、
料金200円に惹かれてフラっとやってきた地元の気楽な感じの人、多し。
元手がかかってない分、リアクションも素直かつ大らかであり、子供たちもよく泣き、よく笑ってます。
そこにカップル、女性グループ、学生グループ、そして妖怪申請のレイヤーさん達が混じる感じ。
レイヤーさん以外はこちらも特にディープという感じではなく、無茶な狂騒感もありません。
最近始まったイベントでありながら、妙な生活感 or 地域密着感があるというか、
「夏の終わりのちょっとしたお楽しみ」みたいな素朴な味わいのある、いいイベントだと思いますよ。

そんな嵐電の妖怪電車。
好きな人と乗れば、より妖怪なんでしょう。
でも、ひとりで乗っても、妖怪です。


【客層】 (客層表記について)
カップル:若干
女性グループ:若干
男性グループ:0
混成グループ:若干
子供:0
中高年夫婦:0
中高年女性グループ:0
中高年団体 or グループ:9
 (親子連れの子供含む)
単身女性:0
単身男性:0

【ひとりに向いてる度】
★★★
客層的には限りなく浮くシチュエーションだが、
ネタがネタなので、さほど気にならない。

【条件】
日曜 19:00~20:30

妖怪電車
毎年8月中旬~下旬 の土日を中心に開催
四条大宮駅 or 嵐山駅からのみ発車

嵐電公式 – 嵐電

嵐電 四条大宮駅
阪急電車 大宮駅下車 徒歩約1分
京都市バス 四条大宮 徒歩約1分

嵐電 嵐山駅
JR嵯峨野線 嵯峨嵐山駅 徒歩約10分
阪急電車 嵐山駅下車 徒歩約15分
京都市バス 嵐山天竜寺前下車 すぐ
京都バス 京福嵐山駅前下車 すぐ