化野念仏寺の千灯供養と愛宕古道街道灯しへ行ってきました。もちろん、ひとりで。

2011年8月24日(水)


化野念仏寺の千灯供養と愛宕古道街道灯しへ行ってきました。もちろん、ひとりで。

化野。平仮名にすると、あだしの。
お好きな方はとっても大好き、「化」の字からしてその手のオーラを放つエリアであります。
もともとは鳥辺野・蓮台野などと共に、平安時代の都の葬地であり、
当時はキレイに葬ってもらえる死人なんてほとんどいませんから、一帯には放置された死体が散乱。
その有様をあまりにあんまりだと思った弘法大師・空海が、「埋めたら?」と、土葬をサジェスト。
そして時を経て、法然上人が、この地に念仏道場をビルド。現在の化野念仏寺の始まりです。
土葬が一般化したのはいいですが、埋めたところで何百年も経てば、みんな素性不明の石化&骨化。
明治の中頃には、周辺から出土した由来不明の石塊や石仏は8000にも及び、
それらは化野念仏寺境内の「西院の河原」に無縁仏として結集、供養されるようになりました。
お盆にこの寺で行なわれる千灯供養は、その無縁仏に蝋燭の灯りを奉納する供養。
「京都のお盆」といえば、高い確率でこの仏事が取り上げられる、人気(?)イベントであります。
で、愛宕古道街道灯しは、嵯峨野保勝会が千灯供養に連携して開催する、ライトアップのイベント。
清涼寺から愛宕神社一の鳥居までの古道を、手作りの行灯各種で楽しませてくれるというものです。
7月の借りを返すようなとんでもない猛暑の中、鳥居本の坂を登るのは極めて億劫ですが、
「無縁仏」のオーラにわけのわからん吸引力を感じ、出かけてみました。


千灯供養は毎年8月23・24日に厳修、愛宕古道街道灯しも同じ日程で開催されます。
清涼寺のあたりから手作り行灯が現れるわけですが、開始は何時からなんでしょうか。
私が歩いてた19時頃は、まだ火を入れる途中の灯籠、多し。店の人が、よっこいせ、みたいな。
とりあえず、暗くなったら始めるという感じだと思います。多分。


小中高の地元生徒さんによる行灯の数々。
「がんばろう東北」というスローガンのもと、素直にがんばってほしいという気持ちを伝えるもの、
その気持ちの意味を自らに問うもの、がんばれと言う前に痛みを共有しようとするもの、
そして全く関係なく元気があふれてるものなど、いろいろあります。


大文字行灯、そして嵯峨小児童会マスコットキャラクター・さがっぺ。
ライトアップといっても、全てこんな感じ。光源は基本、行灯のみ。ギンギラギン感は、ありません。
かつ、手作り感過剰でもなし。独男にとっても、実にいい雰囲気ですよ。


ゾウ、ブタ、得たいの知れぬ生物、そして夜間営業する商店。店、そこそこ開いてます。
人がいないように見えますが、実際にはそれなりの数が歩いてました。近隣住民の自転車も、多し。


言葉が出ない、強烈な逸品。
苦しみを、嘆いているのか。それとも、苦しみを共有できない不条理を、嘆いているのか。


で、共有できない不条理である「死」に満ちた、化野念仏寺であります。
目で楽しませてもらったとはいえ、ここまでの坂は結構な、よっこいしょ。汗だくです。
ちなみに千灯供養の参拝料は、蝋燭代込みの1000円也。普段の拝観料は、500円也。


以前は予約制だったらしい、千灯供養。現在は、飛びこみも一見さんも大丈夫です。
でも予約制の名残なのか、まず番号の書かれた整理券を渡され、
その整理券をすぐ傍のカウンターで渡して精算、という不思議な流れになってました。


さっそく境内へ入り、無縁仏が集結した西院の河原へ入場。
受付でもらった蝋燭に他の仏様から火を分けていただき、縁を感じた石仏に火を灯します。
私は、顔が全然残ってない仏様に献灯しました。といってもここのはみんな、そんな感じですが。
ちなみに西院の河原内は、撮影禁止。外からは一応、OK。写真は外から撮った、外の灯。


同じく外から撮った、西院の河原内。
顔はおろか全身もほぼ単なる石状態の無縁仏が、通り道がないくらいぎっしりと密集しています。
しかし石状態とはいえ、放っているオーラは実に、濃厚。ズブズブだった汗も、思わず引く思いです。


別アングルから、西院の河原内。
孤独死の先輩方も多く眠ってるでしょうから「将来、お世話になります」とお願いしておきました。
このあと、浪曲のようなお経が響く本堂をお参りし、水子供養の地蔵にもお参り。
いや、違いますよ。兄と弟が生まれる前に死んでるので。って、私がお祈りするもんなんでしょうか?


化野念仏寺を出ると、行灯は古道のさらに奥へと続いています。
いい加減しんどいですし、とにかく暑過ぎるんですが、灯りに誘われるように登山を続行。
でも、風流の度合は、出来すぎた観光地的な下部よりも明らかに増していきます。


謎の発光体オブジェがぶら下がる高架下をくぐり、到着した終点・愛宕神社一の鳥居。
茶屋として「しんこ」を出すことでも有名な、鮎料理屋・平野屋のあるとこでもあります。
ということは『怪奇大作戦』の『京都買います』で、岸田森が茶を啜ってたところでもあります。
平野屋、料理屋ゆえか、夜も営業中。茶屋も、やってました。


で、しんこ。抹茶つきで840円也。高いぞ。
20:30ごろでしたが、しんこセットのみのオーダーでも大丈夫でした。外の客は、老夫婦が一組。
『魔笛による変奏曲』のギターが思わず聞こえてきそうな、独男に沁みる味であります。
気さくな女将に岸田森と同じポーズで写真撮ってもらおうか悩みましたが、やめときましたよ。


実に美味なる冷たい桜茶をいただきながら、女将さんと
「自転車の人、よう来るでしょ。僕も、通ったことある」「多いけど、みんな通り過ぎるだけ」
みたいな話をして、退散。チャリダー、寄ってけ。走ってる途中に、しんこはちょっと、しんどいけど。
もと来た古道を下って、下界へ戻ります。


まだまだじっくり行灯を見たいところですが、あいにく終了時刻は、21時。
が、20:50くらいの時点で、既にいくつかの行灯は片付けが始まってました。
急がねば。真っ暗になると、この辺は怖いよ、マジで。


某ボーカロイドさんの行灯も、すっかり片付け完了。おつかれさまでございました。

客層は、地元中心の烏合という感じでしょうか。
遠来のwktkな人たちよりも「ちょっと寄ってみた」な空気の人、多し。
カップルや観光客はそれなりにいますが、観光ハイや狂騒的な雰囲気はありません。
近隣から来たらしき中高年も、多し。帰宅する自転車も多く、近所らしき散歩風家族連れも多し。
目につくのは、女性の二人組と、カメラ老人、そして意外と多い単独男でしょうか。
道の真ん中に三脚を立てて微動だにしない老人カメラマンは多出するので、
人は決して多くはないものの、写真を撮るのは面倒かも知れません。
千灯供養は、街道の客から老人と若いカップルを引いて、中高年と単独カメラマンを足した感じ。

そんな、化野念仏寺の千灯供養と愛宕古道街道灯し。
好きな人と行けば、よりあの世なんでしょう。
でも、ひとりで行っても、あの世です。

【客層】 (客層表記について)
カップル:1
女性グループ:1
男性グループ:若干
混成グループ:若干
修学旅行生:0
中高年夫婦:2
中高年女性グループ:2
中高年団体 or グループ:2
単身女性:若干
単身男性:2
 (カメラマンが多いが、非カメもちょこちょこいる)

【ひとりに向いてる度】
★★★★
浮くといえば浮くが、
気にしなければどうということはない

【条件】
平日水曜 19:20~21:00

化野念仏寺
京都市右京区嵯峨鳥居本化野町17
通常拝観 9:00〜16:30
千灯供養 17:30〜21:00

JR嵯峨野線 嵯峨嵐山駅下車 徒歩約25分
嵐電 嵐山駅下車 徒歩約25分
京都バス 鳥居本下車 徒歩約5分

化野念仏寺公式 – 化野念仏寺

保勝会のページ – 嵯峨野保勝会/鳴滝保勝会

愛宕古道街道灯し公式? あだしのまゆ村
千灯供養(化野念仏寺)と愛宕古道街道灯し1 /
あだしのまゆ村 (京都 奥嵯峨)