醍醐寺の五大力へ行ってきました。もちろん、ひとりで。

2012年2月23日(木)


醍醐寺の五大力へ行ってきました。もちろん、ひとりで。

五大力。
一応、念のために言っておくと、長州力とは関係ありません。
長州力にそっくりの人が餅上げ大会に参加してはいましたが、関係ありません。
正式名称、五大力尊仁王会。 「五大力の尊仁王会」 ではなく、「五大力尊の仁王会」 。
平安時代の五重塔で知られる世界遺産・醍醐寺で毎年2月23日に行われる最大の行事であり、
上醍醐の五大堂に祀られる五大力尊へ、国家安穏・万民豊楽を祈願する法会です。
本来は山上までしっかり登って、五大堂でしっかり厳修するのが筋なわけですが、
さすがに3.5キロの登山は万民には厳し。なので、山麓・下醍醐でも祭灯護摩供を、終日厳修。
また、災難&盗難除けの功徳があるという本尊・五大力尊」の「御影」 も、この日に授与。
この札は、愛宕さんの 「火迺要慎」 お札と同じく京の家々の定番のお札であり、
ゆえに、善男善女が集結。それを目当てに露店も集結。えらい賑わいとなるのであります。
加えて五大力の集客力をブーストしてるのが、餅。餅あげ。餅あげくらべ。
女性90キロ・男性150キロもの巨大な紅白の鏡餅を持ち上げ、持ち上げ続け、その時間を競い、
発揮した大力を五大力さんに奉納して無病息災を願うというのが、餅上げです。
戦後に余興として始まったものですが、巨大餅そのものの存在感と、
それを必死で持ち上げる挑戦者の姿のインパクトが人気を呼び、定着化。
この日は金堂+五重塔が無料開放されることもあり、今では京都に春を告げる行事になってます。
その五大力さん、生憎の雨ですが、行って来ました。


何故か降り立った、京阪電車宇治線・六地蔵駅。
京阪沿線から醍醐寺へ行こうと思うと、ここからバスか地下鉄に乗ることになります。
バス停は、老人で既に一杯。逆方向にも人が集まってましたが、臨時バスでも出てるんでしょうか。
私は、地下鉄で醍醐へ。醍醐駅から寺までも臨時バスが出てましたが、もちろん徒歩。


醍醐駅から醍醐寺への道は、外環をくぐるあたりで既に人だらけ。
通行止めの奈良街道をわたり、雨などお構いなしの前進を続けるお年寄りと共に西総門へ。
相当のバラエティと量を誇る屋台を冷やかしながら、雨でヌルヌルグチャグチャの参道を歩きます。
仁王像の前に米俵が置かれてるのを見たりしながら、入りこんだ境内は本日無料。


「御影札をお求めの方は左にお並び下さい」というアナウンスを聞きながら、
さらにグチャグチャの道を歩いて金堂前に着くと、目に入るのは、その札に並ぶ長蛇の列。
金堂左側には、御影札(2000円)を授与するところと、古い札を回収するところとがあり、
お年寄りはことごとくこの列に並びます。最後尾がどこなのかわからんような、長さ。


金堂の前には、雨ゆえビニールを被せられた奉納餅が並んでます。
しかし、中央ど真ん前に鎮座する 「おかげ餅」 は、触ると御利益があるためか、カバーなし。
「おかげ餅」 、もちろん表面は溶けてます。触って行く人は、口々に「手に貼りつく」と言ってました。
「ゆず」 の片方の名前が書いてあるのは、何の縁によるものなんでしょうか。


不動堂の前の護摩道場では、山伏による護摩、開催中。
経を読んだら法螺貝噴いて、客から渡された札にその煙を当てて返す。その繰り返し。
その姿を拝む老人、多し。不動堂の中でも太鼓を叩いて、絶賛護摩中です。
さて、時間はもうすぐ12時。肝心の餅あげがもうすぐ始まります。


結局雨は止まず、餅あげ会場にはテントが設営されました。
死ぬほど写真が撮りにくい場所で、12時ジャスト、餅あげは女性の部からスタート。
最初の3人は、プレス対応。カメラマンが完全包囲で写真を撮り続け、ほとんど何も見えません。
あの人垣の向こうで、何事かのことが行われています。


最初に登場した女性が物凄い人で、いきなり8分の記録を樹立。
「餅、案外軽いのか」 と思ってたら、後に続く人持ち上がることさえ出来ないケース、多し。
参加者はバキバキに鍛えた感じの人は少なく、普通の格好した普通の女性が大半。
応援する友達などのワイルドな声が、なかなかにサウスサイドであります。


全部で15人くらいが持ち上げたでしょうか。
餅をもち上げて、安定状態に入れるかどうかが、この競技の肝のようです。
実演中は、時間を計測したり励ましたりする坊さん or 山伏が、選手を囲んでます。
どうでもいいけど、坊さん or 山伏、何で兵動 or RGみたいな顔の人ばっかりなんでしょうか。


女子の部の競技中も、男子の部の応募を即すアナウンス、あり。
「男子の部に参加される方は、受付へ。締め切りは、12時半です」 みたいな。
当日飛び込みも、アリのようです。「出ようかな」 とか思いましたが、足腰が砕けるので止めました。
とか言ってるうちに、女性の部は終了。休憩を挟んで、13時からは男子の部。


で、13時になって男子の部、開始です。
開始前に醍醐のゆるキャラ 「もちもちぃん」 が登場、参加者と一緒に会場へ登壇します。
「もちもちぃん」 はもちろん、この餅あげがモチーフ。もちっ、と。もちもちっ、と。もちもちもちっ、と。
事前説明 or 祈祷みたいなのが続き、実際の競技は約20分ぐらいしてから開始。


男子は案外、持ち上げる前に注意深い人、多し。
念入りに手や餅の水気を拭いたり、具合を確かめたりする人をよく見ます。
でも、どうにも持ち上がらない人もまた、多し。「一秒奉納、ありがとうございました」 みたいな。
150キロの凄みというところでしょうか。もちろん、サウスサイドな声援はガンガン飛びまくり。


男子の部の参加者は、40人くらいだったでしょうか。
女性は普通の人が多かったですが、男は気合入ったスポーツ or 格闘系と、地元風が半々。
異彩を放ってたのは、楽々と餅を持ち上げながら歌を歌ってた、長州力によく似た自称・長州力。
長州、以前のチャンピオンとか。でも、チャンプは1分しか持てないルールがあるそうで、中座。


変わったところでは、松竹芸能のタレントなんかも参加してました。
「中島、何とかしろ」 と野次ろうかなと思いましたが、誰の得にもならないので、止めました。
記録の方は、5分くらい持ってたスポーツ系の兄ちゃんがいましたが、尻をついて、失格。
どっかの誰かが優勝し、14:20に〆の法螺貝が鳴らされ、競技はつつがなく終了。


醍醐寺名物・平安時代の五重塔のふもとには、
豆政などの市中心部の老舗どころに加え、駿河屋などの近所系が合わさって、屋台を出店。
そこら中に、試食や振る舞いのお茶をもった兄ちゃん姉ちゃんが、ウロウロしてます。
世界遺産と大混雑を眺めながら、試食の甘味と無料のお茶で、しばし休憩。


出店の中で強い存在感を放ってたのは、祈祷済みの五大力餅。
他の店よりよっぽどデカい銅鑼声で、坊さん自身が 「もーすぐなくなるよー」 売り込んでた、餅。
そのあまりのあんまりさにハートを鷲づかみにされ、思わず買ってしまいました。500円。
中身はカラフルな五色餅で、角と丸の2タイプがあり。私は、丸で。


14:45ごろからは 「もちもちぃん」 参列の元で、表彰式。
男女それぞれ優勝者には、直径50センチくらいの餅がプレゼントされてました。
二位は、その半分。三位は、四分の一。もちろん、 「もちもちぃん」 からも祝福されます。
男子の部3位の京阪バスの人が、何故か、不在。臨時便で忙しかったんでしょうか。


表彰式も終わり、餅あげ大会はめでたく、終了。
終わったあとは、しばし 「もちもちぃん」 の撮影タイムとなってました。
「もちもちぃん」 、体重は男子の部の餅と同じ 「150キロ」 、誕生日は五大力の日 「2月23日」 、
好きな言葉は 「気持ち、長持ち、力持ち」 、気になることは 「雪だるまと間違われること」 だそうです。


せっかく無料なので、しばし境内をうろつきます。
祖師堂やら、赤い弁天堂と赤い太鼓橋やら、それを売り物にする茶屋などを眺め、
女人堂前では菩薩や不動明王に水をかけ、そして上醍醐が今日もしっかり有料なのを確認。
人が減った金堂と不動堂をゆっくりとお参りしたら、じゃあまあ、帰りましょうか。


帰りの仁王門前から見た、参道。子供天国です。
学校が終わったのでやってきたのか、小学生で溢れかえってます。
ドロドロの道を子供を除けながら歩き、そして三宝院も今日はしっかり有料なのを確認。
行きと同じく、醍醐駅とを結ぶバスをスルーして、駅まで歩きましたとさ。


帰ってから即座に食った、五大力餅。
五色のカラフルさが映えるように、白味噌仕立ての雑煮にしてみました。
白いキャンバスに浮かび上がった、五大明王の功徳を表すかのごとき、五色餅。
餅そのものの味は、多分、五大力な感じだと思われます。

客層は、完全に中高年。というか、はっきりと老人主体です。
老人メインの烏合の衆という感じ。8割老人・1割中年、残り1割がその他の層。
テイストは、若干ディープ。宗教的ディープでなく、ネイティブなディープでもない、ディープ。
新興住宅地の寄せ集め感が漂う、汎関西的な香りのディープさがあるとでもいうか。
バスガイドやツアコンらしき人間はそこら中をウロウロしてますが、
団体感丸出しや観光ハイ全開な多人数グループは、そんなに見当たりません。
カップル、限りなく、なし。若者自体いませんが、とにかく、なし。せいぜい、者好き風のがいるくらい。
女性 or 男性グループ、ことごとくいません。混成グループも、中国人の観光客がちょっとだけ。
単独は、オッサンカメラマンメインに、若い物好き風もチラホラいる程度です。

そんな醍醐寺の五大力。
好きな人と見たら、より醍醐味なんでしょう。
でも、ひとりで見ても、醍醐味です。

【客層】 (客層表記について)
カップル:若干
女性グループ:若干
男性グループ:若干
混成グループ:若干 (中国人観光客)
子供:若干 (境内に修学旅行生が微量。
   山門の屋台は地元の子供・小学生)
中高年夫婦:3
中高年女性グループ:2
中高年団体 or グループ:4
単身女性:微量
単身男性:若干

【ひとりに向いてる度】
★★★
プレッシャーもなく、浮くこともないが、
いわゆる京都らしさが味わえるかどうかは知らない。

【条件】
平日木曜 11:00~15:50


醍醐寺
京都市伏見区醍醐東大路町22
通常拝観 9時~17時 

市営地下鉄東西線 醍醐駅下車 徒歩約10分
京阪バス 醍醐寺 or 醍醐三宝院 下車すぐ

公式 – 世界遺産 京都 醍醐寺

Wikipedia – 醍醐寺