ふかくさ・藤森・桜並木ライトアップへ行ってきました。もちろん、ひとりで。

2012年4月10日(火)


ふかくさ・藤森・桜並木ライトアップへ行ってきました。もちろん、ひとりで。

桜といえば、軍です。軍といえば、桜です。
花と散り、闇に溶ける。このエロスとタナトスの魅惑に、県境も府境もありません。
「ソメイヨシノなんてどこでも同じように咲く桜、別に見とないわ」 というネイティブ京都人も、
「京都の桜は、山桜や枝垂桜。ソメイヨシノで喜ぶのは、素人」 とか言う知ったかぶりの素人も、
軍のオーラに加え、近代の残り香も濃厚に漂う地で鮮やかに咲くソメイヨシノを目にしたら、
きっと己の不明を恥じ入り、思わず腹のひとつでも切りたくなるというものでしょう。
かつて帝国陸軍第16師団が置かれ、京都近代化の象徴・琵琶湖疎水も流れる地、深草+藤森。
京都にあっては珍しく 「戦前の日本」 or 「戦争」 そのものの匂いが残るエリアです。
ちょっと目を凝らせば、至る所に 「皇紀」 や 「紀元」 や 「陸軍用地」 と刻まれた道標が残り、
「師団街道」 や 「第一軍道」 などというそのまんまな名前の道も、あちこちに現存。
そして、疏水沿いには春になるたびパッと咲いてパッと散るソメイヨシノが並ぶのであります。
2011年からこの疏水沿いで始まった 「ふかくさ・藤森・桜並木ライトアップ」 は、
近代のエロスとタナトスを体現するソメイヨシノを、闇の中でより妖しく輝かせることで、
ベタな死の誘惑を軽視+冷笑しスルーし続けてきた戦後日本の臆見を批判し、
その臆見により崩壊しつつある現代社会も批判するイベント、というのはもちろん、大嘘です。
軍都であったことも、疏水が流れることも本当ですが、イベントは基本、単なるイベント。
ただ知名度がまだまだのため、結構な穴場感が味わえるスポットになってます。
そんな深草・藤森の夜桜、軍の残り香と共に楽しんできました。


「ふかくさ・藤森・桜並木ライトアップ」 は、京阪藤森駅を出てすぐの極楽橋から、
一駅隣である深草駅すぐの砂川橋あたりの間の疏水沿いをメインに、開催されてます。
私は藤森駅から歩きました。出迎えてくれたのは、深草十二帝陵関連の道標とウェルカム桜。
足元では、花灯路から借りて来たらしき行灯が、置いただけという感じで点灯中。


で、いきなり桜です。
お前と俺とは、同期の桜。


お前と俺とは、同期の桜。


お前と俺とは、同期の桜。


お前と俺とは、同期の桜。
ライトアップそのものは、よく言えばシンプル、悪く言えば単調です。
単にライトを当ててるだけという感じ。しかし、そんな緩いノリの方が、ここには似合ってるのかも。
周囲は、普通の住宅街。ここも、生活道路。人が増えて、橋を渡れなくなったら、ことです。


夜にこの疏水沿いの桜を見て歩くのが、私はずっと前から好きで、
単なる街灯に照らされた、でもその分お宝感が強烈に溢れた桜を愛でたものでした。
すっかり派手になりましたが、近所の子供が走り回ってたり、身内話をする家族連れなどは健在。
人の少なさも相まって、まだまだたっぷりとお宝感は残ってるんじゃないでしょうか。


「ふかくさ・藤森・桜並木ライトアップ」 、屋台などは特に出てません。
以前および以降はどうなるかは知りませんが、とりあえず2012年は全然、出てません。
藤森駅近くに、スナック・居酒屋・お好み焼き屋がちょこっと並んでるくらい。あとはひたすら、民家。
あ、桜のど真ん中あたりには、屋台じゃないけどたこ焼き屋がありました。


で、そのたこ焼きを食す。5個で、200円。
10個だと、400円。一個のサイズも、ちょっと大きめ。良心的でございます。
隣では、何人か不明の女性二人が、何語か不明の言葉と英語と日本語を混ぜて、おしゃべり中。
店の人なのか常連なのか不明のおじさんには、付近の見所なんかを教えてもらいましたよ。


桜のすぐそばでは、京阪電車がひっきりなしに走りまくってます。
民家をかすめるような沿線ながら、特急も各停も物凄いスピードでぶっ飛ばしまくり。
だけど、同時にのどかなローカル線の匂いもあって、この桜には似合わないでもないかなと。
昼間の京阪の車窓から、この桜をチラ見するのがまた、味があっていいんですよね。


見るもの見て、食うものも食ったので、しばし付近を散策します。
写真上部でネイティブな商店街と異様なコントラストを見せる建造物は、名神高速道路。
高速バスのバス停も、近くにあります。 「京都深草」 バス停。京都の中心部からは、結構遠いけど。
あと、藤森といえば藤森神社ですが、神社の実際の最寄り駅は一駅南の墨染駅


もちろん、陸軍第16師団の痕跡も見てまわりましょう。
軍用地の多くは大学などになってますが、ここは建物も残る聖母女学院本館 = 元・師団司令部
敷地内立入禁止なので、門の外から見ています。女学院を盗撮してるのでは、ありません。
あくまで、陸軍の痕跡として見ています。女学院を盗撮してるのでは、ありません。


あちこちで見かける、戦中の面影を感じさせる石碑の数々。
さっき藤森駅が藤森神社の最寄り駅ではないと書きましたが、それも実は、軍が原因。
元々「師団前」 だった駅名を 「師団の場所がバレる」 ので 「藤森」 に変更させた経緯があります
地元銭湯の名は、ずばり 「軍人湯」。もちろん 「軍人以外入浴お断り」 では、ありません。


少し西側を走るのは、出ました、 「師団街道」 。
こちらももちろん、師団の車輌でないと走れないわけではありません。あしからず。
駐屯地と京都中心市街地を結ぶために作られた道。この夜は、DQNな単車が飛ばしてました。
この辺は龍谷大学が近いこともあり、いろんな店が営業中ですが、まあ、帰ろうか。

ふかくさ・藤森・桜並木ライトアップ、客は多くないです。
というか、他所からわざわざ来たような人間は、ほとんどいない感じ。
大半は、近所から見に来た感じの人たち。あとは、帰宅途中の人が通り過ぎるくらい。
カップルは、やはり帰宅途中らしきなのが少々いるくらいで、プレッシャーもひったくれもありません。
近所には大学が多いですが、馬鹿騒ぎする学生もおらず、そもそも学生の姿もなし。
単独も、普通の通行人が多し。カメラマンは、1~2人くらい。
寂しいといえばちょっと寂しい感じではありますが、しかしそれゆえに、穴場感は強烈です。
これくらいの規模でずっと続いてくれると、私は嬉しいんですが、どうでしょうか。

そんな、ふかくさ・藤森・桜並木ライトアップ。
好きな人と行けば、より同期の桜なんでしょう。
でも、ひとりで行っても、同期の桜です。

【客層】 (客層表記について)
カップル:1
女性グループ:1
男性グループ:0
混成グループ:0
子供:0
中高年夫婦:2
中高年女性グループ:1
中高年団体 or グループ:3
単身女性:1
単身男性:1

【ひとりに向いてる度】
★★★★
軍関係のスポットと合わせれば、
かなり強烈な穴場感が楽しめると思う。
ただ、人が増えたらどうなるかは、知らん。

【条件】
平日火曜 20:00~21:30

ふかくさ・藤森・桜並木ライトアップ
4月上旬、京阪電車藤森駅周辺で開催
18:30~21:30

京阪電車 藤森駅下車すぐ
JR奈良線 稲荷駅下車 徒歩約7分

ふかくさ・藤森・桜並木ライトアップ
– 深草商店街 (公式。たぶん)