南丹市やぎの花火大会へ行ってきました。もちろん、ひとりで。

2013年8月14日(水)


南丹市やぎの花火大会へ行ってきました。もちろん、ひとりで。

軍人の墓を初めて見たのは、母の実家がある八木の墓地でした。
父方の墓地でも、近所の墓地でも、何故か軍人の墓を見たことがなかった幼い私は、
母方の祖父の墓参りへ出かけた際、初めて目にした形状の墓を指さして、母に尋ねたのでした。
「なんであのお墓、先っちょが尖ってるのん」 「あれは戦争で死なはった人のお墓やから」 。
あ、別に祖父が戦死した軍人だったというわけではありませんよ。全然、全く、違います。
祖父は、酒に狂い、 「俺はマッカーサーの通訳やった」 と妄言を吐き、DV三昧の末、野垂れ死。
母が 「死んで、嬉しかった」 と語るような人なんですが、ゆえに里帰りの際も墓参りはあまり行かず、
ゆえに数少ない墓参りで目にした 「戦争」 の痕跡が、私には妙に強く印象に残ったのでした。
八木町が、他の地域と比べて特に戦没者が多いところなのかどうかは、よくわかりません。
が、恐らく戦後すぐの頃には日本の至るところで開催されていたであろう戦没者慰霊の花火大会が、
失礼ながら決して大きいとは言えないこの町で、形を変えながらも盛大に継続されているのは、
私には、どうでもいい個人的記憶とも結びついて、妙にしっくり来ることだったりします。
2005年の大合併で南丹市の一部になりましたが、それ以前は独立した町だった、京都府八木町。
またまた失礼ながら、農業と男前豆腐以外にはこれといった産業も、観光資源も無い町ですが、
それゆえなのか何なのか、戦後すぐに戦没者慰霊で始めたお盆の花火大会は、徹底死守。
死守のみならず花火の規模はどんどん巨大化し、超至近距離で5000発の花火が炸裂する様は、
戦没者慰霊というより、もはや爆撃そのものの再現としか思えないほどの迫力を、現出。
そのあまりの凄まじさゆえ、近隣住民&私の家族みたいなお盆で里帰りする連中は無論のこと、
京都市 or 関西圏全域からも客を集める、メジャーな花火大会へと成長しています。
もちろん私にとっても、正気だった子供の頃に何度も見た、思い出のある花火大会です。
そんな思い出のある花火大会、狂気の独り身で再訪してみました。


18時前、京都駅の嵯峨野線30番台ホームへ続く糞長い通路を歩いてるの図。
八木町、公共交通機関はこのJRのみ。よって、花火大会の日は当然ながら、大混雑となります。
それを見越して、通路の途中では花火写真の展示と共に、京都・八木間の往復切符を臨時販売中。
八木はICカード対応駅ですが、花火の時は改札がまともに機能しないので、私も切符を購入。


阿呆のカップルや阿呆の親子連れと密着しつつ、立ちっぱなしで電車に揺られ続け、
亀岡以降多数乗り込んで来る花火客でまた混雑の度を増しながら、約45分後、八木駅へ到着。
もちろん客の大半が、下車。ホーム、御覧の通りの有様です。人間でびっしりと埋め尽くされてます。
臨時改札がありましたが到達できず、やはり人間が充満する跨線橋を牛歩で渡ること、しばし。


牛歩でじりじりと跨線橋を渡ってる途中、京都からの電車がもう一本到着してしまい、
背後から溢れ出てくる人間の波に襲われながら、何とか橋を渡り切って表へ出た、JR八木駅。
亀岡の各駅&園部駅は、宅地開発で大きく様変わりしましたが、この駅は昔とあまり変わりません。
向かって左に臨時切符売り場ができるのも、同じ。大勢の若者が意味も無く屯してるのも、同じ。


八木駅前には、屯する若者を目当てにした夜店が既に活況を呈してましたが、
駅から打ち上げ会場である大堰川への道にも、びっしりと夜店が並び、びっしりと人間が充満。
普通なら徒歩5分程度ですが、どいつもこいつもl夜店に心を動かされながら歩くため、また、牛歩。
どうでもいいことながら、100円という異常な値段の唐揚に、異常な長さの行列が出来てました。


人間の海の彼方、右上の方にトラス橋が見えるでしょうか。あれが、大堰橋です。
大堰川は、あのトラス橋がかかる川であります。aka 保津川 aka 桂川の、大堰川であります。
会場入口を目の前にしながら、さらに過激化する混雑により牛歩 or 蝸歩を強いられること、しばし。
またどうでもいいことながら、一応商店街のこの道で開いてる店は、ほぼ見かけませんでした。


蝸歩で押し流されるまま川の堤防道へ入り、蝸歩で押し流されるままそこを歩き、
肉体的&物理的同調圧力から一瞬解放された時に撮った、打ち上げ40分前の会場・大堰川。
観覧場所は、うってつけの角度が付いた御覧の河川敷となります。で、既に人間だらけであります。
奥の方&下の方は有料席のはずですが、とにかく混雑で細かいことはもう、わかりません。


向きを変えて、改めて河川敷を撮ってみたの図。やはり、人間だらけです。
夜店、会場でもたくさん出てます。店の数自体も多いし、夜店ゾーンも複数が設定されてます。
さっきの大堰橋を渡った先にも、駐車場&観覧エリアとペアの夜店ゾーン、あり。私は行かないけど。
昭和10年製である橋の振動を幼少時に経験してるため、この状況で渡る気には、なれません。


会場には特設ステージみたいなのもあり、よさこい大会みたいなのも開催中。
それにしても、とんでもない盛況ぶりです。私の子供の頃とは大違いの、凄まじい盛況ぶりです。
記憶の中でも、この花火はかなりな賑わいだったはずですが、何かもう、完全に次元が違ってます。
おまけに、数年前に再訪した際と比べてもなお、盛況かなと。どこまで行く気なんでしょう、八木。


点火が近づいて、人の動きが若干落ち着いた頃、最前列の有料席を見てみました。
打ち上げ場所に近い下流側は、概ね満員。で、あまりに近いがゆえに、早くも寝転がる人、多出。
それくらい、近くてデカい花火だということであります。私も、最後方まで退却して、鑑賞へ備えます。
19:50、商工会長か何かから始まって、府知事、議員の何かの挨拶がスタート。いよいよです。


で、挨拶やら何ちゃらが終わった20時過ぎ、花火、スタート。
どどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどど━━━━━━━━ん。


ど━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ん。


どど━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ん。


ぶわあ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ん。


ぼぼ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ん。


ぽ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ん。


どば━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ん。


ひゅるひゅるひゅるひゅるひゅるひゅるひゅるひゅるひゅるひゅるひゅるひゅるひゅる。


ばばばばばばばばばば━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ん。


しゅ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ん。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ん。


ぼば━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ん。


ぼんぼんぼんぼん━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ん。


じゅるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる。


ひゅるるるるるるるるぼわんぼわんぼわんぼわんぼわんぼわ━━━━━━━━━━ん。


ぼばばばばばばばぼばばばばばばばばぼばばばばばばばば━━━━━━━━━━ん。


じょわじょわじょわじじじじじじじじょわじょわじょわじじじじじじじょわじょわじょわ━━━━ん。


ばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばば━━━━━━━━━ん。


どばばばばばばばばばばばばばどばばばばばばばばばばばば━━━━━━━━━ん。


どぅひょひょひょひょどぅひょひょひょひょばばばばばばば━━━━━━━━━━━━━ん。


どばばばばばばばばばどばばばばばばばばどばばばばばばばばば━━━━━━━ん。


ば━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ん。


しゅわしゅわしゅわしゅわしゅわしゅわしゅわちりちりちりちりちりちりちりちりちりちり・・・。


という感じでジャスト21時、凄まじい耳鳴りと共にやぎの花火大会、終了。
念の為に言っときますが、これは花火であります。爆撃では、ございません。花火であります。
打ち上げ場所がほぼ丸見えの至近距離で、寝転ばないと全景が見えないという、無茶苦茶な花火。
最後方でもラストは全景が押さえられない有様ですが、迫力、少しは感じてもらえたでしょうか。


で、観るもん観たら、帰ります。ここからがまた、ひと苦労であります。
慣れた連中は人が減るまで動きませんが、それでもやはり駅への道は、とんでもない大混雑。
駐車場へ向かう御覧の昭和10年製の橋も、「危険な状態です」 とアナウンスが響くくらい、大混雑。
確かこの橋では灯籠流しもやってたはずなんですが、そんな風情は1ミリたりとも残ってません。


車が牛歩してるR9を人間の牛歩で渡り、八木駅へ到着すると、駅前は人間で充満。
子供の頃なら、こんな苦労はせずに済んだのに。お婆ちゃんの家へ戻り、スイカを食べたのに。
少し、涙がこぼれました。すると涙が、バリバリ稼働中の夜店の鉄板煙を吸いこみ、目に沁みました。
私はいったい何をしているのだろう。そんなことを思いつつ、超満員電車に何とか乗り込み、退散。

客層の基本は、地元近隣+関西一円の若者です。
気のいい田舎の若者たちがのんびり集まってるという感じではなく、
宅地化された近隣のニュータウン的新住民のテイストが強く、いずれの属性もこの感じ。
一方、DQNテイストもまた結構濃厚で、汎関西的な、ベタで半端な田舎の雰囲気とでもいうか。
電車に乗って来る奴は完全に烏合の衆状態で、特に決まった色合いやテイストはなし。
カップルは、多め。ですが、観光ハイや祭ハイの愚行が垂れ流されるわけでもありません。
落ち着いてもいないが、さほどハイでもない感じ。中高年の全層テイストも、基本的にこの線。
単独は、激少。男のカメも極めて少なく、女は限りなくいません。

そんな南丹市やぎの花火大会。
好きな人と行ったら、より花火なんでしょう。
でも、ひとりで行っても、花火です。

【客層】 (客層表記について)
カップル:3
女性グループ:1
男性グループ:1
混成グループ:1
子供:0 (子供は親子連れでカウント)
中高年夫婦:1
中高年女性グループ:微
中高年団体 or グループ:6
単身女性:超微
単身男性:微

【ひとりに向いてる度】
★★★★
かなり徹底的に、四面楚歌状態。
プレッシャー、アウェー感、いずれも半端なし。
人圧および暑さによる単純肉体疲労も、極めて半端なし。
客層と状況だけで見れば、評価はぶっちぎりで★。
ただ、花火の凄まじさは、それら苦痛を補って余りある。

【条件】
平日水曜+お盆14日 18:00~21:40


南丹市やぎの花火大会
毎年8月14日 八木町大堰橋付近にて開催
(2014年度より
  「南丹市花火大会」 へ名称を変更、
   有料会場拡大など仕様も大幅変更予定)

JR嵯峨野線 八木駅下車 徒歩約5分

京都 南丹市花火大会 – 公式

やぎの花火大会 – Wikipedia