毘沙門堂へ紅葉を観に行ってきました。もちろん、ひとりで。

2013年11月26日(火)


毘沙門堂へ紅葉を観に行ってきました。もちろん、ひとりで。

近年、 「見つけた感」 なる言葉が流行っております。
裏通りとかにあり派手な看板も出さない店を、見つけ、見つけた自分を好きになる。
ちょっと賢い消費者な自分を、好きになる。ちょっと勘の良い消費者な自分を、好きになる。
もちろんその店は、 「見つける」 のに本当の知恵や知識や労力が必要な場所であってはならず、
また本当に 「見つける」 ことが出来ない奴は全体の数%程度の難易度でなければならない。
で、その数%を嗤い、優越感と安心感を得るという、 「見つけた感」 。下衆です。極めて、下衆です。
そんな 「見つけた感」 に溺れる、破裂寸前のメタンガスバルーンの如き消費者エゴを愛撫し、
人が住むとこを 「そうだ」 呼ばわりで叩き売り続けてるのが 「そうだ 京都、行こう。」 なわけですが、
その 「そうだ」 で 「見つけた感」 が上手く作用した寺といえば、毘沙門堂ではないでしょうか。
毘沙門堂。山科にあって、山寺の風情を持ちつつ天台宗五箇室門跡の寺格も誇る、名刹であります。
平安遷都以前に出雲路にて創建され、 「毘沙門堂の花盛り」 と詠われる優美さを誇りましたが、
応仁の乱など数々の戦乱で衰退し、1665年に現在地・山科へ移転+再建+門跡寺院化。
再建後も 「花盛り」 ぶりは維持され、特に秋の紅葉は山寺の風情も相まって見事なものながら、
アクセスがよろしくないためか、長年に渡り 「知る人ぞ知る京の名所」 的存在だったとか。
そんな毘沙門堂に目を付けたのが、 「そうだ」 。で、以降、いわば 「みんなでシェアする穴場」 化。
秋ともなれば狭い参道をタクシーがバンバカ突っ走る光景が恒例になったわけです。
寺の方も寺の方で最近はライトアップも始め、何か積極的に 「見つか」 りに行ってる感じですが、
アクセスの不便さは変わらないためか、見事な風情と紅葉はかなり濃厚に生き続けてます。
というわけで、消費者エゴのみならず色んなエゴが飛行船のように膨張した私もまた、
やはり何かを 「見つけ」 て、自分をもっともっと好きになるべく山科へ出かけ、
鉛のツェッペリン号を燃やす炎の如き紅葉を観たのでした。


毘沙門堂は、山科でもかなり北の方にあります。おまけに若干、山の上。
最寄駅はJR&京阪&地下鉄の山科駅ですが、そこからバスなし+ 徒歩約25分。しかも、坂道。
ゆえに、寺へ続く一車線の道をタクシーが大量に通り、その脇を我々貧乏人が登坂し続けるのです。
ただ、登坂途中に見える山の紅葉や、こうして到着した時に感じる喜びは、なかなかであります。


登坂でくたびれ、さらにこれからまた石段を登るため、門跡碑付近で少し休むの図。
いや、休むというよりほぼ貧血状態でフラフラと突っ立ち、片手で意味不明な光景を撮ったの図。
後に見えてる白いテントは、夜間拝観の受付でしょうか。ということは、夜はここも有料になるのかな。
昼の毘沙門堂は、この辺、これから登る石段、そして弁財天と、結構な紅葉が無料で観れます。


で、いきなり無料で拝める、勅使門前の石段を覆う紅葉。


無茶苦茶に急坂な石段のしんどさを忘れ去れる、紅葉。


やはり急坂な石段のしんどさを忘れ去れる、紅葉。


石段を登った先で待ち構える、仁王門の毘沙門天提灯。


で、ここから先は有料の、本堂入り口。


本堂の裏側には、高台弁才天と庭園と、紅葉。


もう少し寄って、高台弁才天と、紅葉。


池に反射した、高台弁才天の紅葉。


宸殿へ移動する際に見えた、紅葉。


天井図や狩野の襖絵などを、団体慣れした坊さんが案内してた、宸殿。


宸殿に残る、 「そうだ」 の痕跡。


同じく、宸殿に残る、 「そうだ」 の痕跡。


そして、宸殿奥にあり、狭い縁側から眺める、晩翠園。


本当に狭いので落ちそうになりながら、より寄って眺める、晩翠園。


落ちそうな足下で紅葉を反射してる、公弁親王好みの手水鉢。


で、有料区域の本殿&宸殿を出て、勅使門から門下の紅葉を眺めるの図。


柵の隙間から、さらに寄って門下の紅葉を眺めるの図。


さらに無料の紅葉を極めるべくやって来た、高台弁才天。


本殿から観るよりきれいじゃないかと思いながら観る、無料の紅葉。


有料区域は観る必要なかったんじゃないかと思いながら観る、無料の紅葉。


これだけで充分じゃないかと思いながら観る、高台弁才天の無料の紅葉。


で、帰ろうかと思い駐車場をのぞくと、タクシーいっぱい+YTVの中継車がいたの図。


その傍らには、 「毘沙門膳」 やゆばまんを出す茶屋があったの図。


でも金が惜しいので、 「毘沙門膳」 もゆばまんも食わずに帰るの図。


きれいだけど怖い、怖いけどきれいな石段を下るの図。以上であります。

客層は、中高年のツアー客がメインです。古典的な団体客ばかり。
観光ハイでうるさいということはないですが、特に静かというわけでもなく、ごく普通の客という。
逆に言うと、小うるさい好き者や、穴場探しでテッカテカな奴は、あまりいないというか。
カップルは、そこそこいますがが、特にプレッシャーとなるようなボリュームではありません。
他の若者層も、同じ。むしろ、寺に着くまでの道の方が、カップル率は高いんじゃないでしょうか。
ツアー客以外の中高年も、テイストは変わらず観光系が多く、ネイティブ感は全然なし。
単独は、男はカメ。女は、おひとりさま風が微量いる程度でした。

そんな毘沙門堂の、紅葉。
好きな人と観たら、より紅葉なんでしょう。
でも、ひとりで観ても、紅葉です。

【客層】 (客層表記について)
カップル:1
女性グループ:1
男性グループ:0
混成グループ:0
子供:0
中高年夫婦:1
中高年女性グループ:1
中高年団体 or グループ:5
単身女性:微
単身男性:1

【ひとりに向いてる度】
★★★★
色気のプレッシャーを感じることはほぼなく、
アウェー感や浮きを感じることもまずないだろうが、
古典的なツアー客による古典的な人圧の高さは免れ得ない。
ただ、紅葉のクオリティが極めて高いため、
ノイジーで荒んだ雰囲気を感じることも、特にないだろう。

【条件】
平日火曜+紅葉絶頂 14:15~15:45


毘沙門堂
京都市山科区安朱稲荷山町18
通常拝観 8:30~17:00

JR or 市営地下鉄 山科駅下車 徒歩約20分 
京阪電車 京阪山科下車 徒歩約20分 
京阪バス 山科駅下車徒歩約20分
 

毘沙門堂トップページ – 公式

毘沙門堂 – Wikipedia