御香宮神社の神幸祭へ行ってきました。もちろん、ひとりで。

2014年10月12日(日)


御香宮神社の神幸祭へ行ってきました。もちろん、ひとりで。

御香宮神社。洛南・伏見にあって、 「伏見の総鎮守」 と称される神社です。
清和天皇から名を贈られたと伝わるも、基本的には創建の詳細が不明なほどの歴史を誇り、
山村・石井村・船戸庄村・森村・久米村・北尾村・北内村・法安寺村・即成就院村という伏見の村々、
すなわち 「伏見九郷」 より、伏見城築城の遙か昔から総鎮守として信仰を集める社であります。
その伏見城築城の際には秀吉により移転させられますが、家康の代には現在地へ帰還し、
その家康により社殿も再建され、孫娘・千姫の誕生祝いとして2.3トンに及ぶ 「千姫神輿」 もゲット。
この神輿を得た御香宮神社の秋祭、通称 「伏見祭」 は、伏見城が廃城された後も更に活性化、
維新の波乱や現代の変化も乗り越え、神輿を分割した現在もその勢いは止まるところを知りません。
一週間以上に及ぶ期間、各種行事&子供が多いエリアゆえに活況を極める夜店が展開され、
中でも宵宮に行われる花傘パレードの凄まじさは、当サイトでも2011年にお伝えしてる通りです。
で、今回はその 「伏見祭」 最終日、正にクライマックスたる神幸祭に出かけたわけですが、
えと、あの、今回はいつもと比べてちょっと、いやかなり、いやはっきり言って非常に、日和ってます。
当サイトの祭記事は、ストーカーの如く神輿や行列を追尾しまくってるのが常態なんですが、
今回は門前付近で神輿などを淡々と待ち、宮入りだけ見るという、淡々モードの見物となってます。
待ってる時間もまた、淡々と露店を冷やかしてみたり、あるいは淡々と担々麺を食ってみたりと、
まるでサイト名が 『独虚坊の京都幸せおでかけ日記』 に化けたようなユルさ爆裂状態になってます。
何故こうも日和ったかといえば、 「伏見九郷」 を回る神輿の巡幸範囲が、広過ぎるからです。
酒蔵界隈は無論、北は深草、南は向島、東は六地蔵に及び、更に3基の神輿は別行動。追えません。
加えて、獅子舞や武者行列なども別ルートで参加し、おまけにこれらの全てが早朝から巡幸。
完全追尾はおろかチョイ見を重ねることさえ無理と判断し、淡々見物を渋々決断したのであります。
というわけで、担々麺に加えて豆腐ハンバーグまで混入するユル過ぎ記事となってますが、
しかし、あるいはそれ故に、街に充満する祭の気配は、よりリアルに感じられるかも知れません。
「洛南の大祭」 とも呼ばれる、その大祭ぶり、街の息吹と共に御覧下さい。


神幸祭当日の12時、大手筋商店街に接続する京阪・伏見桃山駅に着き、伏見の街へ。
大手筋商店街は無論、伏見城の大手筋が由来の商店街であり、御香宮神社の参道でもあります。
神幸祭でも、神輿&行列がこの混雑の中を通って、近鉄高架&大鳥居の先の神社へ入るわけです。
12:20頃に稚児行列はここを通って帰社するんですが、大手筋、それで混んでるんでしょうか。


神社へ先回りして、稚児行列を出迎えるか。そう思い、巨大鳥居をくぐって、御香宮神社へ。
参道には、既にいくつもの露店。歩けないほどの混雑ではないですが、それなりに流行ってます。
その先に立ちそびえるのは、水戸黄門の父親の寄進による伏見城大手門を転用した、御香宮表門
ただしこの日は、神輿宮入りでの損傷を危惧してか筵でガードされ、豪壮なる構えは全然見えず。


表門をくぐって入った境内は、参道も、参道以外も、ぎっしりと露店が並ぶ迷路の如き状態。
ベタな食い物系や遊戯系などの店が幅広く並び、いずれの店も大量の子供が食いついてます。
混雑を抜けて辿り着いた、手の込んだ彫刻があまりに豪壮な徳川頼宣寄進の割拝殿も、人は多し。
その奥の本殿も、人は多し。お参りするネイティブな人たちの行列、途絶えることがありません。


割拝殿には、A班・B班・C班の3基の神輿、そして各種行列のルート図が貼り出し中。
神輿A班は古御香宮方面から伏見の北西方面を、神輿B班は向島から酒蔵エリアを重点的に、
神輿C班は六地蔵方面を、トラック移動を交えたり交えなかったりしながら、各々神幸するわけです。
武者行列+稚児行列+獅子舞は、これまたいずれも別ルートを神幸。追えるわけ、ありません。


子供がそこら中でものを食ってる本殿裏へ回り、飾られてる武具などを見ること、しばし。
家康が寄進した、重過ぎて1960年以降は巡幸不能という化物 「千姫神輿」 も、見ること、しばし。
初宮まいり看板も何となくしばし見てたら、稚児行列がまだ帰ってないことを思い出しました。遅いな。
そう思い人に尋ねてみたら、 「七五三みたいなんやったら、もうとっくに帰ってきてるで」 。早いな。


稚児行列が帰社済なら、次の帰社は獅子舞の15時。時間あるな。私もどっかで飯食おう。
そう思い入った店は、参道沿い&京阪の真横で、昼は定食を出してる居酒屋 「うまいもん屋 櫻」
吉岡幸雄が何かで 「昔は屋台店」 と書いてましたが、今は御覧のように小綺麗な建物になってます。
豆腐ハンバーグ&生春巻がメインの櫻定食を食す。特別なものはないですが、平均以上に美味し。


で、店を出ると、大手筋が沸いてました。アーケードの彼方を見ると、獅子舞の姿あり。
時刻は、14:15。早い、早過ぎる。稚児も早いですが、伏見祭は巻きが基本仕様なんでしょうか。


商店街を抜け神社前へ着き、雌雄一対で踊りまくり&人の頭を噛みまくりの、大獅子。
60kgあるデカさで、獅子若衆の何人かが周囲から支えてますが、それでも掛声の中で踊りまくり。


踊りまくりながら獅子舞は、表門をくぐり割拝殿へ到着。で、そこでも延々と踊りまくり。
それから右回りで本殿を回り、割拝殿の奥へ収まってました。時間は、14:30。早い、早過ぎる。


こうなると、時間の予想がつきません。何がいつ帰ってもいいよう、境内で時間を潰します。
相対して並ぶ金魚すくい屋、何故か異常に人気なカニ釣り、東門のトルコアイス&ケバブサンド屋、
店先を通る度に私へ向かい 「いらっしゃい」 と言い続けるボールすくいなどを、冷やかすこと、しばし。
そういえば遠州ゆかりの石庭が御香宮にはあるので、それでも見ておくかと思い行くと、生憎休み。


大量の子供+露店の声に疲れ、境内を一旦出て大手筋を眺めると、また沸いてました。
望遠で見ると、17時帰社の猿田講社の姿あり。現在は、15時半。またしても、早い、早過ぎる。


猿田講社、このまま巻きいて帰社するのかと思いきや、16時半帰社の武者行列が追抜き。
神功皇后の出陣を模した武者行列、このまま帰社かと思いきや、高架をくぐった先で何故か左折。


その間に猿田講社は、帰社。神輿の先触を務めた天狗とおかめさん、お疲れ様です。
次いで、武者行列も帰社。共に、子供だらけの参道を通って本殿へ行き、お参りをしてました。


で、17時過ぎ、六地蔵方面を回ってたC班の神輿が、東側から門前へ帰って来ました。


表門前の坂道へ出た神輿は、ブレーキみたいな紐を付けながら、差し上げ。


休憩を挟みながら粘りに粘りまくり、20分くらい延々と、差し上げ。


で、表門を通り、割拝殿の割れた所まで入って来て、更に延々と、差し上げ。
天辺の鳥が天井に当たる音が聞こえたほど差した後、神輿は輈を外して、拝殿へ格納されました。


次の神輿の宮入は、19時半&20時半。待つ間、早め&近場で夕食を済ませておきます。
入ったのは、やはり参道沿いで昔からある中華屋くれたけ。とはいえ、内装はおしゃれ寄りですが。
名物の担々麺にミニチャーハンが付く、千円弱のセットを食す。味は、まろやか過ぎずに、まろやか。
普段使いテイストの少し上あたりを常に行くという、その絶妙なる匙加減が、常連化を誘う店です。


で、くれたけを出た18時半、大手筋の先でA班の神明神輿が、何か、暴れてました。


暴れるように商店街で差しまくったA班神輿は、物凄い数の野次馬を引き連れ、神社へ。


で、門前でも過呼吸で倒れる人が出るくらい、差し上げ。割拝殿でも延々と、差し上げ。


A班神輿が割拝殿に収まってすぐ、B班神輿も物凄い数の野次馬を引き連れ、神社へ。


で、門前まで帰ってきたB班神輿は、やはり延々と、差し上げ。


割拝殿に入っても、天井が壊れるような勢いで延々と、差し上げ。


で、三本締めで差し上げが終わると、神輿は輈が外され格納。神幸、終了であります。
時間は、20時半。写真は、外された輈。千姫神輿のた輈を少し短くして今も使ってるそうですよ。


というわけで、門前でただボ~っと待って眺めるだけの、御香宮神社・神幸祭見物でした。
完全に日和見モードですが、それでも十二分に迫力を感じられるのが、この祭の凄まじさでしょう。
街の程良い狭さも盛り上がりを増幅してるし、ある種の冷めた感じが同居してるのもまた、魅力です。
そんなことを思いながら、神輿が帰ってもなお大半がバンバン営業してる露店の中を通り、退散。

客は基本、地元の子供と家族連れと中高年が圧倒的メイン。
親子連れは、概ね、若し。再生産感爆裂な、小さい子を連れたのが大半です。
観光客丸出しな人間は、どの層であってもほとんど見当たりません。
カップルも、いなくはないですが極めて少なく、いても地元系。各種のハイ垂れ流しも、なし。
女性グループも少なく、いても地元 or 近隣系。男性グループも、大体同じ感じ。
混成グループは、観光系か在住系かわからん外人がちょっとだけいる程度でしょうか。
子供は、小学生から中学生が大量。サウスなDQN感は漂いますが、さほど荒れてません。
単独は、少ないです。男は、カメが若干いる程度。女は、激少。

そんな御香宮神社の、神幸祭。
好きな人と行けば、より伏見なんでしょう。
でも、ひとりで行っても、伏見です。

【客層】 (客層表記について)
カップル:若干
女性グループ:若干
男性グループ:若干
混成グループ:微
子供:2
中高年夫婦:1
中高年女性グループ:1
中高年団体 or グループ:5
単身女性:超微
単身男性:微

【ひとりに向いてる度】
★★★
完全に、ネイティブ主体。完全に、アウェー。
再生産度が高いエリアゆえ、そっちのプレッシャーも半端ない。
しかし一方で、流動性が高い商業地でもあるため、
疎外感や浮きを感じることはさほど無いと思う。

【条件】
日曜 12:00~20:45


御香宮神社 神幸祭
10月第1日曜を本祭として
その1週間前の土曜日から9日間開催
 

御香宮神社
京都市伏見区御香宮門前町174
通常拝観自由

京阪電車 伏見桃山駅下車 徒歩約5分
近鉄京都線 桃山御陵前下車 徒歩約5分
JR奈良線 桃山駅下車 徒歩約5分
 

御香宮神社 – 公式

御香宮神社 – Wikipedia