十輪寺へなりひら櫻を観に行ってきました。もちろん、ひとりで。

2016年3月31日(木)


十輪寺へなりひら櫻を観に行ってきました。もちろん、ひとりで。

阪急バスは、京都に於いて、何とも不思議な存在感を放ってると感じます。
何が不思議かといえば、まず、色が不思議です。吐瀉物を思わせるあの色が、不思議です。
電車の方の阪急はかの 「阪急マルーン」 で彩られ、車体からもハイブランド感を醸成してますが、
阪急バスの方は、そんな高級感をとことん排除したゲロの如きカラーリングを、徹底して死守。
ゲロとは無関係なはずのスカイブルーが妙にゲロ感をブーストしてる辺も含め、実に不思議です。
阪神圏のように運行範囲が広ければ目も慣れるでしょうが、京都は狭いので全然慣れないというか。
で、その運行範囲の狭さと、運行している経路そのものもまた、何だか不思議に思えたりします。
大半の路線は、阪急の乗客が住む住宅地、それこそ不思議も何も無い住宅地を走ってるんですが、
ほとんど山岳路線化する善峯寺行きなんてのも中には混じっており、ギャップ、半端ありません。
阪急京都線は元々京阪が造ったものですが、京都に於ける阪急バスもまた元々は京阪系列でおり、
更にその京阪統括成立以前は、淀川右岸の各地にて零細業者が各々バスを運行してたとか。
こうした時代の名残が、ある種の不思議さを生んでるのかなと思うんですが、あなたどう思いますか。
そんな阪急バス@京都、西山エリアでは唯一の公共アクセスになってる名勝が幾つか存在し、
その内のひとつが、当サイトでも訪れた善峯寺であり、その手前にあるのが今回行った十輪寺です。
十輪寺。正式名称は、小塩山十輪寺。通称は、かの在原業平との縁に因んで、 「なりひら寺」 。
藤原明子 aka 染殿后の安産を祈願すべく、延命地蔵尊を本尊として円仁の弟子・恵亮が開創し、
応仁の乱で衰退するも江戸期に花山院家が再興、現在まで続いている天台宗の古刹であります。
屋根が鳳輦の形をした本堂や、寛文期に作られた鐘楼など、貴重な文化財を擁する十輪寺ですが、
最大の見所は、推定樹齢150~200歳におよぶという、やはり業平の名を借りた 「なりひら櫻」 。
その美しさから某 「そうだ」 に推され、一時は 「見つけた」 感を貪る輩が押し寄せたらしいですが、
ゲロ色のバスの他に公共アクセスが無い為か、現在はほど良く侘を保ってる様に見えます。
そんな十輪寺の 「なりひら櫻」 、無論阪急バスに乗って、観に行きました。


というわけで、阪急バスに乗るべく阪急電車に乗ってやって来た、13時半の阪急・東向日駅
マルーンカラーで書かれたタクシー案内版には、キラ星の如き西山の桜の名所の名が並んでます。
ひょっとして 「そうだ」 客が溢れてたら嫌だな、とか思ったんですが、バス停にいるのは生活者のみ。
ただ、車掌さんの姿もあり。ひょっとして、出発直前に客が大量に来て、運賃回収とかするのかな。


1時間に1本の善峯寺行きは、定時に到着。この色です。マルーンではない、この色です。
「そうだ」 客が大挙して乗り込んで来ることはありませんでしたが、車掌さんは乗り込んで来ました。
宅地を抜け、道が強烈に狭くなった辺で、車掌さん、運転補助を開始。こっちの用事だったんですね。
車内の入りは、8割程度。おまけに、灰方までで半分程度が下車。この時点でもう既に、何とも、侘。


グニャングニャンの道でハンドルをグルングルン回し、昭和の如き離合もやりながらバスは、
十輪寺の最寄停留所であり、もう侘を通り越して何かを動態保存してるような停留所・小塩へ到着。
現在は善峯寺まで行くこの路線、元々はここが終点だとか。この異常な侘さは、それゆえでしょうか。
そう、この小屋の上にも良い桜が咲くんですよ。でもこの日は、全然。 「なりひら櫻」 、大丈夫かな。


3月末というタイミングについて再考しつつ、停留所の真横の入口から、十輪寺境内へ。
玄関前は、数人の客&犬の散歩をしてる地元の人がウロウロしてるくらいで、混んでる感じはなし。
周囲に 「ここからの撮影、お断り。拝観料400円」 という札がやたらある受付で、その400円を支払い。
受付の人は、パンフを渡しながら、 「なりひら櫻」 の見所を客の一人ひとりへ丁寧に説明してました。


で、中に入れば、一目で400円の元が取れる、上々の 「なりひら櫻」 。


渡り廊下と木を借景として眺める、ジャストな咲き加減の 「なりひら櫻」 。


そんな 「なりひら櫻」 を借景として眺める、屋根が鳳輦の形をした本堂。


そんな鳳輦の形をした本堂の屋根を前景として眺める、 「なりひら櫻」 。


屋根の端の化け物も眩しそうに眺める、 「なりひら櫻」 。


逆光ポジションだと私にも眩しく見える、 「なりひら櫻」 。


近くにあらば寄ってみて、ひらひら感を楽しむ、 「なりひら櫻」 。


遠くにあっても、ひらひら感を楽しむ、 「なりひら櫻」 。しみじみ、いい桜ですね。


で、本堂をお参りした後、 「三方普感の庭」 を左に見ながら、渡り廊下を渡る。


で、渡り廊下の向かいの茶室に垂れる 「なりひら櫻」 を、渡り廊下から眺める。


で、少し進み、 「なりひら櫻」 が 「三方普感の庭」 から生えてる感じを、眺める。


更に進むと、 「三方普感の庭」 前の 「業平の間」 へ、人間が溜まってたの図。


寝転ぶ者続出の 「業平の間」 で、私も寝転んで桜を見たら、余計に逆光だったの図。


外側では、中国人撮影隊が寺の人にブチ切れられ、鐘楼の近くで溜まってたの図。


で、 「なりひら櫻」 を今度は上から観るべく、塩釜旧跡がある上手へ向かう。


で、上手より、「なりひら櫻」 と、本当に鳳輦の形をした本堂の屋根を、眺める。


で、上手からでも渡り廊下と良いバランスを見せる 「なりひら櫻」 を、眺める。


で、茶室の屋根とでも、やはり良いバランスを見せる 「なりひら櫻」 を、眺める。


そんな桜を堪能した後で一応拝んだ、桜の名前の元ネタたる、業平の墓。


そんな業平が、恋仲だった
藤原高子
を想って塩を焼いたという、塩釜旧跡。


高子入内を計画&実行した藤原氏によって恋仲を裂かれた業平は、晩年、この寺へ隠遁。
近くの大原野神社へ高子が来る度、塩を焼いて紫の煙を立ち上らせ、想いを確かめ合ったそうです。
後に没落した藤原氏は、その原因を業平の祟りと考えて、十輪寺&業平忌の再興を行ったんだとか。
独男には、関係ない話ですけどね。でも、いい桜は観れました。椿に別れを告げて、帰りましょうか。


帰る途中、参拝客用の駐車場を通ったら、片隅で山桜が7分ほどの感じで咲いてました。
小塩停留所に到着した時は、時期が少し早いかなとか思ったんですが、そうでもないんでしょうか。
駐車場は、混んでる様子なし。バスに乗りたくないという車客、特に多いわけではないみたいですね。
で、そのバスに乗って帰ろうかと思ったら、15時半が最終だったので、駅まで歩いて帰りましたとさ。

十輪寺、メインの客層は中年夫婦と老人夫婦。
そこへ団体の中高年グループが時折雪崩れ込み、その度に雰囲気が変わるという。
「そうだ」 的な客の存在は、さほど感じませんでした。観光客 or 地元客比も、ちょっと不明。
カップルは、ほぼいません。せいぜい、中年の夫婦のみ。そもそも、若者自体が全然いません。
中高年団体以外のグループは、怒られてた中国人の撮影グループくらい。物凄く、怒られてました。
この怒りっぷりといい、丁寧な説明といい、寺の人が桜を大事に思ってることを感じたというか。
単独は、老人男と若い男が数人いる程度。混雑度は、団体乱入時以外、問題なし。

そんな十輪寺の、 「なりひら櫻」 。
好きな人と観たら、より業平なんでしょう。
でも、ひとりで観ても、業平です。

【客層】 (客層表記について)
カップル 若干
女性グループ 0
男性グループ 0
混成グループ 若干 (中国 or アジア系)
子供 0
中高年カップル 2
中高年女性グループ 若干
中高年その他 5
単独女性 微
単独男性 1
【ひとりに向いてる度】
★★★
桜の量そのものは少ないが、
ソロでも十二分に魅せ切るクオリティを誇る。
また、多面的に鑑賞できる構造もナイス。
あと、どことなく独男好きする桜とも思える。

【条件】
平日木曜+なりひら櫻ピーク 14:10~15:40


 
 
 
 
 
十輪寺 (なりひら寺)
京都市西京区大原野小塩町481
9:00~17:00

阪急バス 小塩下車 徒歩約1分
阪急電車 東向日駅下車 徒歩約60分
 

なりひら寺 十輪寺 – オフィシャルブログ

十輪寺 (業平寺) – 京都観光Navi