湯の花温泉・すみや亀峰菴でぼたん鍋を堪能してきました。もちろん、ひとりで。

2018年2月27日(火)


湯の花温泉・すみや亀峰菴でぼたん鍋を堪能してきました。もちろん、ひとりで。

湯の花温泉。一般的、というか全国的な知名度は、一体どれくらいあるんでしょうか。
「京都といえば、湯の花温泉」 的な物言いを聞いたことがないので、ちょっと見当がつきません。
一応地元にあたる京都の人間にとっても、ここが馴染みの温泉として認識されてるかは、微妙。
「ほんなら、湯の花温泉行こか」 というような局面、なくはないでしょうが、少ないようにも思います。
『大林浩二のきょうの夜』 のスポンサーとして、松園荘・保津川亭のCMを観ることはありますが、
それ以前に 『大林浩二のきょうの夜』 を観てる人間がどれくらいいるかが、微妙以前にまず、不明。
説明しようとしても、どの辺からどれくらい詳細な説明が必要なのか、判断がつきかねるわけです。
というか、そもそも説明しようと試みてる私自身さえ、ここには左程馴染みがなかったりするわけです。
湯の花温泉、そんな感じの温泉であります。そんな感じとはどんな感じだな温泉であります。
場所は、亀岡佐伯燈籠がある薭田野の西で、 「死なないで」 のR477で大阪へ直結する山間地。
京都から見ると半端に不便ですが、大阪から見ると隠れ家 or 秘境感がある所、なわけですね。
戦国時代の伝承も持ちますが、開発はあくまでも戦後。万博 or バブルの頃が、ピークでしょうか。
その頃の残り香漂う大バコ宿も点在してたりする、不思議といえば不思議な温泉であります。
では、ディープスポット巡りな気分で今回そんな不思議な温泉へ出かけたのかといえば、さにあらず。
亀岡は、丹波の最南端。そこの山間地ということは、丹波でありながらも割と温暖であるということ。
つまり、猪がいるわけです。実際、湯の花温泉の冬は、猪を食らうぼたん鍋が最大の売りなのです。
となれば、温泉入湯を必須とする 『ひとりで温もるぼたん鍋』 で、行かないわけには行きません。
ので今回は、猪と湯をがっつり堪能すべく、湯の花温泉・すみや亀峰菴へ日帰りで行ってみました。
団体がメイン層なのか何なのか、ひとりでぼたん鍋を食える宿が全然ない湯の花温泉ですが、
最もおしゃれな感じに見えるすみや亀峰菴が、何故か日帰りプランをおひとりさま客にも提供中。
値段こそしっかり高価めではありますが、これ幸いと思い、亀岡へと向かったのです。


飛び込みが基本の当サイトですが、すみや亀峰菴は昼も予約制。なので、予約を入れます。
昼のぼたん鍋プランは、7500円ほど。内容は、鍋と、11時から14時半までのステイ+温泉入り放題。
HPを見ると、いかにも 「代替わりでリニューアル」 な感じの、すみや亀峰菴。どんな所なんでしょうね。
鍋はやっぱり、小洒落た小鍋とかでしょうか。それでもまあ、ひとり客OKなだけでも、有難い所です。


で、温泉入り放題タイムをフルに活用すべく、当日の朝10時、JR山陰線に乗って亀岡駅へ。
亀岡駅南側のバスロータリーには、渓山閣など湯の花温泉の宿の送迎バスが、ちょくちょく停車中。
路線バスとほぼ同じサイズの車が、帰りのグループ客をどかっと降ろした後、ぼ~っとしてたりします。
もちろん、すみや亀峰菴にも送迎は、あり。電車に合わせた定時便なので、ひとりでも乗車OKとか。


なんですが、私は送迎バスに乗らず、佐伯灯籠の時に乗った京都京阪交通40系統へ乗車。
湯の花温泉の雰囲気、他の客層とかも込みで、見たいんですよ。送迎バスは、宿へ行くだけなので。
などと通を気取って乗ったバスは、しかし、温泉宿が並ぶ道を進まず、拡幅されたR372を延々と爆走。
温泉郷的な景観を一切目にしないまま、湯の花温泉バス停へ着いてしまいました。ここは、何処だ。


という疑問に 「ここは猪の里だ」 と力強く答えてくれた、バス停の近くに立つ猪像。


猪の里もいいけど温泉地は何処だ、と探してたらあった、控えめな温泉案内看板。


バス停の方を振り返ると、実は道沿いにしっかり出てた、控えめでない温泉看板。


そして、そのバス停と温泉看板のすぐ近くに立つのが、すみや亀峰菴の藁葺玄関。
何故かジョン・レノンも訪れたという、すみや亀峰菴。いい雰囲気、出てますね。


で、入ったら、一目で 「●●様ですね」 と言われました。ひとりで来る奴は、珍しいんでしょうか。
すみや亀峰菴、中は広め。といっても大バコ感はなく、和洋を今風に混ぜた、少しおしゃれ系な感じ。
正直、 「サイトは小綺麗だけど、実際は昭和の残り香が強い旅館だろ」 と舐めてたので、驚きました。
で、すぐ建物の中を案内され、アンティークなインテリアが並ぶおしゃれな部屋で、おしゃれに一息。


と行きたい所ですが、温泉入り放題タイムをフルに活用したいので、早速温泉へ入ります。
ロッカーへ上着&鞄を入れタオルを持ち、宿泊棟&外の景色が見える長い回廊を歩いて、浴場へ。
相当長い回廊を歩いて行くと、おしゃれテラスのような場所に出ました。で、その向かいが浴場入口。
入った浴場は、ややおしゃれな一般的温泉旅館、という感じ。で、脱衣場でタダ水を飲み、浴室へ。


浴室の内風呂は、まあまあのサイズ。構成も一般的なものですが、新しいのか、かなり綺麗。
浴槽もまあまあな大きさですが、ガラス張りの向こうに巨大な岩肌が肉迫してるあたりは、実に野趣。
浴槽には、打たせ湯もあり。ガラス張りから差した光に照らされて、湯気を白く輝かせるのが、美しい。
で、ボディソープめっちゃええ匂いとか思いながら体を洗った後、湯を堪能。泉質は、かなり薄め系。


温泉と言われなければ気付かないくらいの薄さであり、なんともまったりできるまったり泉です。
が、匂いは確かに温泉感がありますし、何より手に触れた時の柔らかな感じが、温泉なんですよね。
浴場はもちろん、露天風呂も装備。ですが、腹も減ってるので、食後にじっくり入らせてもらいましょう。
で、脱衣場へ戻り、やたら充実してるコスメ類を見ながらタダ水をまた飲み、退湯。で、レストランへ。


で、レストランに入ると、予約の席へ通されました。というよりは、部屋へ通されました。
4人用の個室を、ひとりで貸切。何か、もはや恐縮し過ぎて、ちょっと引くくらいです。


が、恐縮しながらも、魚の手まり寿司や揚げた柚子などの前菜は、一瞬で丸食い。


続いて、鯛の身が手まり寿司状にまとめられたおしゃれな刺身も、一瞬で丸食い。


と、食ってる内にやって来た、小振りながらもガチサイズ&ガチコンロの、鍋。


続いて来た、やはりガチサイズ&ガチ仕様&ガチ量の、ぼたん鍋具材各種。


2mmほどの厚さで、亀岡的なレア感を湛えてる美しき猪肉を、眺めること、しばし。


その肉を、白味噌と田舎味噌のブレンド出汁で、野菜などと共に煮ること、しばし。


で、煮て食ってみると、豚肉から脂気を抜いた感じの味を誇る、猪肉の赤身。


そして、鍋から取り上げるタイミングが合うと異常なまでに旨い、猪肉の脂身。


で、旨い旨いと肉を食い切った後は、豚骨スープ状態の出汁で、うどんを丸食い。


旨過ぎて出汁を丸飲みし過ぎたので、雑炊はパスして、〆にはデザートを丸食い。


で、食い終わりました。正直、もっとスカした鍋を予想してましたが、全然違いましたね。
がっつり、旨い。特に出汁が、旨い。餅投入後の旨味は、凶暴なほどでありました。


で、食うだけ食ったら、改めて温泉へじっくり入ります。長い回廊をまた歩いて、浴場へ。
今度は、露天風呂へ直行。露天風呂はふたつあり、ひとつは屋根が少し付き、もうひとつは青天井。
この日は晴れなので、先に入るのは無論、青天井。青天井の方の湯は、木立と巨岩に挟まれた作り。
陽の光が湯に差し、その反射光が岩肌に波のライトアップのような模様を映し出してます。美しい。


代わって屋根付きの方の湯は、藁葺の門を潜って入ったら、岩肌を湯が流れてくる作り。
その流れや、あるいは青空を見たりしながら、貸切状態で湯を堪能します。至福。あまりにも、至福。
湯の温度は、熱くも温くもない適温。2月にしてはかなり暖かめな外の気温と、ちょうどいい塩梅です。
浴槽脇には岩椅子もあり、そこで休んでると、頭上を鳥が飛んで行ったり。至福。あまりにも、至福。


至福至福と喜びながら露天を堪能し、内風呂でまた打たせ湯を楽しんだりしてから、退湯。
で、浴場入口前のテラスみたいな所で、しばし休憩。休日とかは、カフェとかやってるみたいですね。
ただ、この日は平日だからか、タダ水機が稼働してるのみ。タダ水はもう、脱衣場で飲みまくったしな。
そういえば、その脱衣場に 「柚子サイダー」 の宣伝が出てました。ここで飲めるか、訊いてみます。


で、フロントへ行って買ってきた 「柚子サイダー」 。正式名称、 「京都保津川柚子サイダー」 。
今飲むかと訊かれたので、テラスで飲むと答えたら、冷えたサイダーを盆に載せて出してくれました。
それを持っておしゃれテラスへ戻り、やはり貸切状態の中、堪能。これまた、至福。あまりにも、至福。
サイダーの味は普通にサイダーですが、2月にぼたん鍋を食いに来たことを忘れる、爽やかさです。


でも上着なしではやはり流石に寒くなってきたので、戻ってきた、おしゃれルーム。


寛いで元を取ろうと思い、慣れないソファから無意味に眺める、何らかのオブジェ。


無意味に眺めることに疲れて背後を見ると、それなりに面白げな本が並ぶ、本棚。


で、京都本やワイン本などが並ぶ中から抜き出して愛でる、芳中犬もいる琳派本。
本棚には、PIE BOOKSの本も大量にあり。これはこれで、ある種の至福ですね。


とかやってる内に、時間は14時過ぎ。芳中犬で元が取れた気になれたので、ぼちぼち帰ります。
フロントへ戻り、その横の売店をボディソープ買おうかなと思うだけでスルーした後、精算して、退出。
戻る途中で見かけたスタッフさん達は、いずれも忙しそうでした。きっと夜の客の準備なんでしょうね。
昼のひとり客は、あくまで 「ついで」 な感じでしょうか。ただその分、こっちは何か、得した気分です。


で、帰るんですけど、やっぱり湯の花温泉の雰囲気を見て行きたいと思い、また送迎を辞退。
今度こそ確実に見て回るべく、温泉の為に開発されたという道を、佐伯の辺まで歩こうかと思います。
湯の花温泉、温泉街的な雰囲気は、皆無。山の中の道に施設が点在し、それ以外は何もないという。
で、点在する施設は、昭和的なサイズやルックを誇ってたりするという。ある意味、面白い光景です。


温泉客目当ての飲食店や遊戯スポットなどが一切ないというのも、不思議といえば不思議。
車で来て、施設内でひたすらぼ~っとして、そして帰る。そんな大バコが多い所という感じでしょうか。
なので 「ラブホと間違えそうな宿が多いな」 とか思いながら歩いてると、亀岡側の温泉ゲートに到着。
で、昼過ぎだからか客の動きは全然見れないまま、猪像に別れを告げ、路線バスで帰りましたとさ。

すみや亀峰菴、客層については、他にほぼ客がいなかったのでパス。
閑散期だからか、あるいは昼客の数を限定してるのか、とにかくほぼ全域で貸切状態でした。
ただし、スタッフさんの数と忙しそうな感じ、あと手の入り方から、夜はきっと混んでると思います。
CPは、良いんじゃないでしょうか。泉質はまあまあですが、それ以外のほぼ全ての質が高いという。
7000円以上の昼食であっても、貸切状態であれば、ある意味でリーズナブルとも言えるでしょう。
ひとり客の日帰り対応を何時まで受け付けてくれるかは、凄く不明な感じがしますが、
興味と機会がある方は、出かけてみては如何でしょうか。

そんな湯の花温泉・すみや亀峰菴の、ぼたん鍋。
好きな人と食べたら、より湯の花なんでしょう。
でも、ひとりで食べても、湯の花です。


 
 
【ひとりに向いてる度】
★★★★
温泉はまあまあだが、鍋は旨い。
人が少なければ、ある意味、至福に近い。
ただ、泊まりで行くとどんな感じかは、不明。

【条件】
2月末+平日火曜 11:00~14:10
 

すみや亀峰菴
京都府亀岡市ひえ田野町湯の花温泉

京阪京都交通バス 湯の花温泉バス停下車すぐ
送迎あり

京都 湯の花温泉の旅館 すみや亀峰菴 – 公式