五山送り火の左大文字を拝みに行って来ました。もちろん、ひとりで。

2018年8月16日(木)


五山送り火の左大文字を拝みに行って来ました。もちろん、ひとりで。

五山送り火の火というのは、通常は、火元から割と離れた場所で眺めるもんです。
一般的には、大文字山のあの感じこそが、送り火で連想される距離感、ではないでしょうか。
北大路の辺から大文字を観る、あの感じ。闇の中に 「大」 の字が浮かぶ、あの感じ。みたいな。
確かに、あの風情 or 美は、火元から距離をとらないと、得られません。離れるわけですね。
風情 or 美の濫獲に走らず、真摯に信仰行事として五山送り火を考える場合も、事情は割と同じ。
お盆に現世へ里帰りした精霊 aka おしょらいさんを、あの世へ送り返すのが、あの火の本来の役目。
精霊は、火に近付いて祈れば祈るほどスムーズに帰れるわけでもないでしょう。離れるわけですね。
そんなこんなで、多くの人は通常、火元から割と離れた場所で、送り火を眺めるわけであります。
しかし、風情も美もおしょらいさんも関係なく送り火を追ってる当サイトとしては、事情はまた、別です。
「一晩で五山コンプ」 という愚行に何度も何度も挑むも、それら全てが失敗に終わり猛省した後、
「5年かけ、1年に一山ずつ観る」 と決め2015年より発動された、当サイトの五山送り火5ヵ年計画
初年度は大文字を、2016年は妙法を、そして2017年は船形万燈籠を、それぞれ拝んできました。
が、そうやって何度も何度も火を観るうちに私は、もっと近くで火を観たい、と思うようになったのです。
送り火当日に於ける送り火実施山への部外者の入山 or 侵入は、無論、固く禁止されています。
何せ基本は、宗教行事。 「大」 を 「犬」 にするような類の輩の闖入は、厳に戒められるべきでしょう。
けど、近くで観たい。で、この欲求を満たせる場所は、実はなくもありません。それが、左大文字です。
その名の通り、送り火のキービジュアル 「大」 を、大文字山の逆側で浮き上がらせる、左大文字。
金閣寺に近いため、駐車場から 「大」 のベースを目にした方も、多いんじゃないでしょうか。
あのベースの距離感が示すように、ここの送り火は、近い。望遠なら、焚く人が見える程、近い。
つまり、火そのものを、熟視出来るのです。想いが託される火の真実を、熟視出来るのです。
で、5ヵ年計画4年目の今回は、そんな左大文字で、火ばかりを見つめてみました。


左大文字の最寄駅は、北大路駅。いや、白梅町駅の方が、近いけど。いや、どっちも遠いけど。
何にせよ、北大路路上からは楽に観れる、左大文字。私は、当日の都合で北大路駅から行きます。
右大文字の最寄駅でもある北大路駅、19時段階の混雑加減は、普段に送り火客を少々足した程度。
西へ向かって北大路を歩き始めても、ほぼ普段と同じか、珠にそれらしき人を見かけるくらいです。


さらに西へ歩き、堀川通を越えて大徳寺の前を通っても、様子は変わらず。概ね、普段通りです。
車道を流れる車の量も、普段通り。点火50分前なので当然といえば当然ですが、それにしても普通。
大徳寺の先のうっすらカーブを越えると、火はより観やすくなりますが、でもそれっぽい人は、少なめ。
何か、不安になってきました。ので、送り火一気見スポットとして知られる建勲神社へ寄ってみます。


一山ずつ観る当サイトは用がない建勲神社 = 船岡山ですが、視察という名の暇潰しで、登山。
登ると、本殿は右大文字待ちで、公園は左大文字 or 舟形待ちで、人が溜まってました。少し、安心。
それにしても、確かに良い眺めですね、船岡山。しかし、今回は超至近拝観を目指すので、すぐ下山。
ちなみに船岡山の客層は、大半が近所の子供や親子連れ。そこに、西洋系外人が多く混ざる感じ。


山を降り始めると、擦れ違う人が増えました。で、北大路へ戻ると、送り火混雑が生じてました。
といっても、御覧のように大したもんではないですけど。右大文字みたいな歩行困難な混雑は、なし。
ただ体感的には、確実に混み始めてます。で、それら人民は皆、金閣寺前のカーブへ集結してます。
で、私も、警察の 「歩道に上がって下さい」 という無限アナウンスを頼りに、カーブへと向かいます。


で、北大路と西大路がぬるっと繋がる金閣寺前のカーブに、到着。見物客、集まってますね。
客はいずれも、近所感が濃厚な人達。カトリック衣笠教会の十字架を、目印にしてるんでしょうか。


カーブから北へ分岐する道を少し上ると、遮蔽物なしで山が見通せる創価会館の駐車場あり。
カトリックと創価の傍で拝む、精霊の帰還。有難や、有難や。時間は、20時。点火、もうすぐです。


で、その有難い場所にて待ってると、山に見えた、目印らしき小さな火。


で、しばらくすると、その目印の火に向かって登り始めた、松明の行列。


やがて、鐘 or 鉦の音と同時に点火され、山火事みたいな勢いで燃え始めた、火。


より山に近付いて拝むと、 「みたい」 というより山火事そのものな勢いを誇る、火。


ただ、さらに望遠で拝むと 「大」 の字なのがわかると思いながら、火を拝む。


でも、少し後に下がったら、やっぱり山火事全開とか思いながら、火を拝む。


しかしそのうち、引いた所からも視認可能な 「大」 が、徐々に完成。


そんな火そのものと、それを生み出す皆さんの奮闘を、望遠で熟視。


想いが託される火と、それを生み出す皆さんの奮闘を、さらに熟視。


で、20:15過ぎ、左大文字、出来上がりました。先刻の有難いポイント、実によく見えます。


もう少し寄って眺める、左大文字。山の上で人が寝てるみたいな、味のあるフォルムです。


そんな字を生む火と、それを生み出す皆さんの奮闘を、またも熟視。


想いが託される火と、それを生み出す皆さんの奮闘を、さらに熟視。


西側から観たくなったので、金閣寺方面へ少し移動し、広角で遠視。


再び望遠でとことん寄り、想いが託される火の真実を見る思いで、火を拝む。


想いが託される真実は、何度くらいの暑さなのかと恐怖しながら、火を拝む。


時間が経つに連れ見物客はどんどん減るものの、それとは関係なく燃え盛る、火。


「大」の2画目付近をクリアに観たくなり、さらに金閣寺側へ寄って望遠で拝む、火。


で、金閣寺前に立ち、やや西側から改めてトータルに拝む、左大文字。


で、拝んでると 「大」 の頭頂部あたりで始まった、消火作業らしき作業。


で、消火してたのかどうかはわかりませんが、とにかくそのうち、闇に溶け始めた、左大文字。
暑かったですね。じゃなくて、有難かったですね。あ、金閣寺前の客層は、何故か濃厚に近所風。


で、そうした見物客が殆どいなくなった20:50頃、また鉦が鳴りました。終了の合図でしょうか。
続いて、松明を持つ人達が下山開始。御苦労様でした。私も、何もしてませんが結構疲れました。


いや、立ち見で足が疲れたのは、本当です。なので、帰りは人間らしくバスに乗ろうと思います。
ひたすら暗い金閣寺前を抜けて、金閣寺道バス停へ。しかし、バス停には人が溜まってて、うんざり。
往路が駅から徒歩なら、復路もやはり、徒歩にしよう。そう決めて、北野白梅町駅まで歩き始めました。
歩き始めて気づきましたが、送り火の煙、凄い。特に、空気の流れが少ない住宅地では、濃霧状態。


混んでるバスに何度か抜かれながら、西大路を南下。通り過ぎるバス停も、結構な待ち客あり。
西大路は、北大路以上に左大文字がよく観れるそうですよ。バスの客は、そうした見物客でしょうか。
徒歩を選んだ私は、やはり正しく、賢い。と、己の判断を自画自賛しながら、衣笠校前まで歩きました。
するとそこに、京都駅行の空いてるバスが来ました。賢くて正しい私は、すぐ乗り、そして帰りました。

左大文字の見物客は、本文でも触れてる通り、大半が近所の人たち。
家族連れや中高年夫婦が多いですが、基本的には近所系の烏合であり、属性は雑多。
犬の散歩ついでの人がやたら多く、知り合い同士で挨拶する光景が、そこら中で展開されます。
温度感的には、西賀茂ほどアーシーではないですが、一般的な宅地ほど醒めてもない感じ。
警官に道を訊く人はちらほら見かけましたが、こちらも大半が関西弁の近隣系でした。
金閣寺の目の前ながら、観光風の輩の姿は、激少。学生風の姿も、あまり見かけません。
単独もやはり、普通にふらっと見に来てるという感じの近所風の人が、大半。
あまりに近過ぎるためなのか何なのか、カメの姿さえほぼ見かけませんでした。

そんな五山送り火の、左大文字。
好きな人と拝めば、よりおしょらいさんなんでしょう。
でも、ひとりで拝んでも、おしょらいさんです。

五山送り火の大文字を拝みに行って来ました。もちろん、ひとりで。
五山送り火の妙法を拝みに行って来ました。もちろん、ひとりで。
五山送り火の船形万燈籠を拝みに行って来ました。もちろん、ひとりで。

【客層】 (客層表記について)
カップル:微
女性グループ:微
男性グループ:微
混成グループ:微
子供:1
中高年夫婦:1
中高年女性グループ:1
中高年団体 or グループ:7
単身女性:超微
単身男性:若干

【ひとりに向いてる度】
★★★
音まで聞こえる距離で火を拝めるメリットは、大きい。
周囲にいるのは住民ばかりだが、アウェー感は多分、薄め。
ただ正直、やっぱりあまりにも近過ぎる。

【条件】
平日木曜 19:00~21:00


 
 
 
五山送り火
毎年8月16日 開催

左大文字
8月16日 20時15分より点火
金閣寺周辺をうろついてれば、
きっと見える
 

五山送り火 – 京都五山送り火連合会

五山送り火 – 京都市観光協会

京都五山送り火 – 京都新聞

五山送り火 – Wikipedia