先斗町いづもやで、昼床を楽しんできました。もちろん、ひとりで。

2023年5月31日(水)


先斗町いづもやで、昼床を楽しんできました。もちろん、ひとりで。

コロナ禍は、京都の夏の風物詩である川床に対しても、少なからず影響を与えました。
減客&減席の影響緩和のため鴨川納涼床が行った営業期間の延長は、その代表例でしょう。
おかげで、10月の昼床なんてのも現れたり。奇禍の中の奇貨、とも言えるかも知れません。
ただこの延長、5月の昼床では行われませんでした。6月に昼床は、とうとう現れませんでした。
理由は明白でしょう。暑いからです。梅雨も問題ですが、それより何より暑いからです。
実際に行ったことがある方は御承知とは思いますが、昼床というのは中々に暑かったりします。
陽が当たる場所にはちゃんと日除が用意されますが、5月末の夏日ともなればそれでも完全に暑い。
とても風情どころではありません。炎天下で食事をするという、荒々しい行為になってしまいます。
せめて、太陽が隠れてくれたら。昼床でそんな風に思った方も、実はかなり多いのかも知れません。
太陽が隠れる曇天では、確かに、昼床の最大のメリットと言える景観がかなり損なわれはします。
ただ景観以外の面では曇天はメリットが少なくありません。陽の光に焼かれないし。やや空いてるし。
何なら、景観以外の全てがメリットと言えるでしょう。視覚以外は概ね全て快適になるわけです。
であれば、曇天をもっと積極的に楽しめば、昼床の可能性はより広がるのではないか。
御節介にも当サイトは、そう考えました。そして今回、敢えて曇天の日を選んで昼床へ向かいました。
コロナ禍はほぼ収束したと言えますが、今後もまた似たような事態が起こらないとは限りません。
その際も床を存続するためには、稼働期間の延長も有効でしょうが、客の認識の更新も必要でしょう。
幅のある物事の楽しみ方を我々が身に着ければ、床の稼働率や生存率は上がるのではないか。
そんなことを考え、曇天の5月末日、四条大橋の横にビルと床を構えるいづもやへ出かけたのでした。
そう、これは新たな挑戦なのです。新しい日常の後の日常を提案する、挑戦なのです。
断じて、月末も末日に至って5月分のネタ採取を全く行ってないことを急に思い出し、慌てて、
悪天なのに昼床へ出かけ、空いてたいづもやへ適当に飛び込んだのではありません。


5月末日の13時頃、鴨川納涼床の最南端である五条大橋から、鴨川とその向こうの空を望む。
写真で強調してるとはいえ、天気はかなり悪天です。いつ雨が降り始めても全然おかしくありません。
雨が降れば、川床はもちろん、クローズ。そして今日クローズしたら、昼床の営業は9月までおあずけ。
昼床侵入企画、しばらく出来ません。というか、当サイトの2023年5月のネタがありません。困ったな。


全くどうでもいいことで困ってる独男を嘲笑するかのように、五条公園では紫陽花が咲きまくり。
春や初夏という段階を越え、ほぼ完全に梅雨の風情を醸し出してます。雨が非常に似合いそうです。
なので、納涼床ゾーンを隈無く見聞して店を選ぶといった悠長なことは、とても出来そうにありません。
良さげな店があって、席が空いてて、ひとり客でも入店OKであれば、すぐに飛び込もうと思います。


と思って木屋町通を北上するも、下木屋町界隈で昼床中の店は、天気が悪いためか少なめ。
たん熊本店よりも北へ行くと開いてる店が現れ始めますが、その一方でテナント募集の張紙も多し。
リニューアル工事中の物件もちょくちょく見かけます。コロナ禍の影響とその後、という感じでしょうか。
そういえば、以前に昼床で訪れた際グループの店も移転して、別の東京資本の店に化けてました。


まだまだ続くテナント募集中。新しい店が早く開くと良いですね (注:後でおでん割烹が出来た) 。
道を歩く客は、日本の修学旅行やり直し系が減り、円安還元西洋系が多いのが2023年以降の特徴。
あと、最近あまり見かけなかった中国人を割と見かけるんですが、そっちは観光でなくて仕事系かも。
そういうのと、 「テナント募集中」 の張紙を同時に見たりすると、何とも言えない感慨が湧いてきたり。


さらに木屋町通を北上して、西石垣のエロゾーンに突入。でも何か、エロっ気があまりありません。
遂にここも崩壊かと思ったら、キャッチのお兄さん、店側に少し隠れる形でしっかり頑張ってましたよ。
何とか鉄道や回転式団地型人妻何とかだった店は、 「割込み乗車編」 としてサバイブしてるようです。
ただ、人の少なさはやはり否めません。先斗町もこんな風に人が少ないと、寂しいな。どうだろうな。


とか思ったら、滅茶苦茶混んでるやん。歩くの、面倒くさい。


で、横のいづもやの床を見たら、空きがありました。ここでいいか、もう。


「ここでいいか」 と独男に言われてしまう、いづもや。それくらい、この地に根付く鰻料理店です。
鴨川で川魚と来たら川魚生洲八軒を連想しますが、いづもやの創業は大正で、創業場所も新京極。
東京のいづもやとの関係も、不明。昔の大阪で栄えたいづもやは、やや縁が濃そうな感じでしょうか。
とは言え、戦後すぐからこの鴨川べりにて営業し、私も5億回くらいは前を通ってきた店であります。


ひとりで床が行けるか尋ねると、店員さんは「大丈夫ですよ、ど~ぞ~」というので、中へ。
玄関からすぐ先が床で、その手前で靴を脱いで、上がります。運良く、川沿いに席が空いてました。


川沿いに席から見る床は、割とビンテージ。曇天の四条大橋南座とは、良い相性です。
橋からこっち見てる連中を見下すこと、しばし。ざまあみろ。って、俺も先刻までそこにいたけどな。


メニューは、鰻専門というより和食何でもあり系。2人以上なら、すき焼きも食えるみたい。
私は、味のために来てるわけでもないので、1ページ目にあるミニ懐石を適当に選んで頼みました。


ミニ懐石、来ました。手前は、皐月豆腐/麹鱚などの先付と、豆腐も入った季節のお造り。
奥は、海老押し寿司/粽餅/姫皮真丈雲丹焼/茄子寄せ胡麻クリーム掛けなどなどの八寸です。


曇天だと、涼しく食えるな。でも食ってる間に、雲が急に消え始めたぞ。


嘘みたいに天気が回復するのを感じながら、鶏つみれや小芋などの焚合せも食す。


鍋は何故か、鶏坦々鍋。何故だと思いながら食ううちにも、どんどん晴れてくぞ。


完全に晴れてきたぞ。 「曇天に敢えて床に行く」 という企画が、飛んでしまったぞ。


無意味な企画が無意味に崩壊するのを感じながら、新玉葱の椀物を食す。


名物の鰻が入ったミニ鰻丼も、川の香りを感じながら食す。


雲、どこに行った。晴れるのはともかく、ここ、日除がないぞ。出す気配もないぞ。


この席、川側だから絶対暑くなるぞ。紫外線に恐怖しながら、〆の水羊羹を食す。


で、水羊羹を食って、頼んだのを忘れた頃に来た追加のジンジャーエールも飲んだら、帰ります。
晴天の床、もっと楽しみたいところですが、夏の格好をして来なかったので暑くなるのがちょっと恐い。
勘定は、全部で約4500円。席料は取らないそうですよ。意外と言うと失礼ですが、意外に良心的です。
料理は昭和&大箱的でしたが、床的にはどうでもいいことでしょう。あ、でも刺身は美味かったかも。


退店後は四条通へ出て、先刻は床側から眺めた四条大橋に立ち、改めていづもやの床を望む。
望んで初めて、床が日陰に入ってることに気付きました。いづもやビルが、日除になってるわけです。
暑さ、気にする必要なかったな。店の前を5億回くらい通ってるのに、影のこと、考えたことなかったな。
行ってみないとわからないことって、多い。そんなことをしみじみ思った、いづもやの床でありました。


時間は14時半。それでもせっかく晴れたので、日陰を辿って先斗町を北へ歩いてみます。
飯前に四条側の入口を見た際は人だらけに思えた先斗町でしたが、今はそうでもないみたいです。


四条以南で見かけた空きテナント系の張紙も、ちょくちょく目に入ったり。


でも、鴨川学園は頑張ってるみたい。授業、受けてみたい。


その鴨川学園の拠点である先斗町歌舞練場が、巨大な日除になってるのを鴨川から拝んだり。
建物がここまで大きいと、川床の日除には大き過ぎですね。いづもやビル、案外いい塩梅なのかも。
先斗町歌舞練場は当然、鴨川をどりの会場。今年のをどりが無事終わり、ゆっくりしてるみたいです。
もう少し北の方も歩こうかなとも思いましたが、いい加減本当に暑くなってきたので、帰りましたとさ。

5月末尾のいづもやの昼床、
他の客は、40代以上のセレブ気取りおばさん2人組、中年夫婦、関係不明の中年男女など。
その後、その連中が抜けて、空いた席にはアジア系の外人ばかりが入ってきました。
自分たちが食う様子を動画撮影する男女、電話 or 配信で大声を出し続ける単独中国女、
川沿いの席がいいと言って俺に呪詛の視線を送ってくる外人女3人組などです。

いづもや、店的には普通という感じでしょうか。昭和感や大箱感、濃厚です。
川床に対して渋めの夢を持ってる方には、ちょっとミスマッチになるのかも知れません。
ただ、店の前を何度も通ってるけど一度も行ったことがないという人は、割とおすすめします。
川床のアンティークな佇まいなどに、何とも言えない妙な感慨にはなれますよ。
アウェー感は、普通に考えれば 「猛烈にある」 という感じなんですが、
店の前を5億回くらい通ってる私にとっては、正直なところ、よくわかりません。
近隣客によほど変なのがいない限り大丈夫とは思うんですが、
実際によほど変なのがいたけど私は何も感じなかったので、判断不能です。
あるいは、この辺の魔力もまた、いづもやが生き残り続けてる秘訣なのかも知れません。

そんないづもやの、昼床。
好きな人と忍び込んだら、より京都の夏の風物詩なんでしょう。
でも、ひとりで忍び込んでも、京都の夏の風物詩です。


 
 
 
 
先斗町いづもや
京都市中京区柏屋町173-2
11:30~22:00

京阪本線 四条駅下車 徒歩2分
阪急京都線 河原町駅下車 徒歩5分

京料理 うなぎ 先斗町 いづもや – 公式