下鴨神社の蛍火の茶会へ行ってきました。もちろん、ひとりで。

2011年6月11日(土)


下鴨神社の蛍火の茶会へ行ってきました。もちろん、ひとりで。

蛍火の茶会。
文字通り、下鴨神社・糺の森を飛び交う蛍の灯りを眺めながら、お茶を嗜む催しです。
都市部にありながら、太古以来の山城原野の植生を残すという、糺の森。
特に5月から6月にかけては緑が美しく、神の森というイメージが強いスポットであります。
が、ここ、江戸時代には庶民の憩いの場として、茶店も立ち並んだりしたんだとか。
森の中を流れる川に船を浮かべての納涼茶会、また能や相撲なども行われたそうです。
しかし明治維新以後、下鴨神社は国の管理下に置かれ、茶会などの庶民的行事はどんどん消滅。
昭和に入ると、周囲が開発されたことで糺の森の環境も悪化。
川には上流からの農薬が流れ込み、蛍はもちろん昆虫類も絶滅寸前に至ったそうです。
現在の蛍火の茶会は、地元の人たちにより糺の森周辺の川が繰り返し清掃され、
放流された蛍が定着したことをうけての復活もの。明治の廃絶から実に100年ぶり。
重文である橋殿・細殿で夕方から茶が供され、夜には御手洗池で大量の蛍を放流。
加えて、神服殿では下鴨神社名物・十二単の着付が行われ、各種音曲の披露もあります。
そんな風流な茶会へ行ってきました。と言っても、私は茶会そのものには参加してませんが。
お茶のこと、知らないし。それに事前申し込みしないと駄目だし。
ただただ、蛍を見に行っただけです。


17時の楼門前。
茶会は17時から始まりますが、ほとんどの人は蛍目当てなので、陽が暮れてからやってきます。
17時の時点でいるのは、普通に拝観に来たらしき観光客っぽいのが、ついでに観てる感じ。
この門の手前では、納涼市と称して露店がたくさん並んでます。


本日の主賓、蛍。
糺の森に生息してたのをとっ捕まえて、改めて放流する、マッチポンプ方式。
いや、違うのかな。とにかく、蛍です。風流です。


橋殿・細殿の、招待制の茶席。当然、和装の中高年女性グループが客の主体。
もちろん、和装のまま「蛍、蛍」とはしたなく走りまわるようなこともございません。
一般人でも金払えば入れるそうですが、糺の森財団の会員が優先して招待されるそうです。
実に私には関係ない世界ですが、でも、うどんかそばの無茶苦茶良い匂いがしてたんですよね。
あれだけ食うのって、だめなんでしょうか。


神服殿では筝曲、雅楽舞、王朝舞、十二単、あとギター演奏などが奉仕されます。
わかるようなわからんようなセットリストを眺める、中高年のオーディエンス。


出汁の匂いで腹が減ったので、新しく出来てた宝泉堂の茶店で申餅と冷茶のセットを食す。
明治初頭に断絶するまで、葵祭の申の日に神前に供されていたという、申餅。
明け方の薄あかね色に染まる空を、小豆の茹で汁でついた餅で表現してるそうです。
盆と呼ぶ折ぎ+折敷という杉の皿に載せ、140年ぶりの復活。で、味は、まあまあ。


もっとガッツリ食いたいぜということで、納涼市に出店してた出町ふたばの豆餅もゲット。
並ばずあっさり買える豆餅は最高だ!!買ったその場で食う豆餅も最高だ!!


特に蛍がらみで面白いことがあるでもなく、ただただお茶会と芸の披露が淡々と進むだけなので、
ちょっとつまらなくなり、一度退出。鴨川近辺をうろつきます。
うろついてるうちに相国寺まで行ってしまい、帰ってきたら日が暮れてました。


戻ると、客の数がとんでもなく増えてました。納涼市も、大繁盛です。
西利・西尾・豆政といったどこにでも出店してるところから、
加茂みたらし茶屋や前述の出町ふたば、下鴨茶寮や花折など老舗どころの出店もありました。
人が多いのは、みたらし団子、そして丹山酒造の甘酒。
各店、9時くらいまでやってます。ふたばは7時頃にはもう閉めてましたが。


人が増えただけでなく、境内の客層も一変してました。若者たち、大量動員状態。
カップル、グループ、多し。野郎グループも多し。親子連れも多し。
カップル、色気を撒き散らすというより、秩序冀求+達成感を撒き散らすタイプの中流テイスト
(なんだそれ)。


場の雰囲気は、蛍の灯りを楽しむ渋くて風流な茶会というよりは、どっちかといえば縁日状態。
DQNが全然いず、着物の妙齢女性が品良くうろつく縁日。そんなのです。
脂肪汗の匂いを撒き散らしてる、中西学みたいなディープ系単身女性もいたりしましたが。


で、20時ごろ、御手洗池で遂に蛍を放流。つかみ取り大会の開始です。
雅も風流もかなぐり捨てた人民が、蛍を捕獲しようと、池へ突っ込みます。
「池に入らないでください、蛍を捕まえないで下さい」とエンドレスで絶叫する係員。
狭いわ暗いわ煩いわで近寄りようがないので、私は望遠で蛍の姿を風流に追いました。


おそらく、蛍。


たぶん、蛍。


きっと、蛍。


放流会場の御手洗池はグチャグチャですが、多くの蛍は人に捕まらず、糺の森を飛んでます。
あるいは天然の蛍でしょうか。とにかく、ごく普通に光り、ごく普通に飛んでます。
特に、下鴨中学近くの泉川あたりは、結構、圧倒的。


間違いなく、蛍。


確実に、蛍。


まぎれもなく、蛍。
自販機があったので、ペットボトルのお茶を買い、ひとり立ちんぼう茶会としゃれ込みました。
買ったのはお茶は、伊右衛門ではありません。

帰り、バス停には人がたくさんいましたが、
出町柳駅には下鴨帰りらしき者の姿はほとんど見当たりませんでした。
そんな感じで、客層は近隣客がほとんど。観光テイストは薄いです。
いずれの属性も、おおむね上」「北」のテイストを放ってます。
標準語率は高いですが、観光客ではなく市内北部移住系住民という感じ。
カップルと若年女性グループは顕著にこの感じで、男性グループ&混成グループは学生系。
中高年団体 or グループは、多くが家族連れ。小さい子連れから多世代家族など、いろいろ。
もちろんDQN丸出しで絶叫したりする奴などは、いません。
単身男性は、少ないです。カメラマンもあまり見かけず。
ただし、カップルや家族連れのおっさんが三脚抱えてるようなパターンは、ちょくちょく見ました。

そんな下鴨神社の蛍火の茶会。
好きな人と行ったら、より蛍なんでしょう。
でも、ひとりで行っても、蛍です。

【客層】 (客層表記について)
カップル:2
女性グループ:1
男性グループ:1
混成グループ:1
修学旅行生:0
中高年夫婦:1
中高年女性グループ:1
中高年団体 or グループ:3
単身女性:若干
単身男性:若干
【ひとりに向いてる度】
★★
色気のプレッシャー、社会的プレッシャー、
再生産系のプレッシャー、人圧、いずれも大。
小汚い男ひとりは、かなり浮くと思う。

【条件】
土曜 17:00~22:00


下鴨神社
京都市左京区下鴨泉川町
京阪電車&叡山電鉄 出町柳駅下車 徒歩12分
京都市バス 下鴨神社前 下車5分

下鴨神社 公式 世界遺産 下鴨神社
Wikipedia 賀茂御祖神社