金閣寺へ紅葉を観に行ってきました。もちろん、ひとりで。

2012年11月25日(日)


金閣寺へ紅葉を観に行ってきました。もちろん、ひとりで。

「また焼いたるぞ」 。
昭和25年7月3日、21歳の学僧による放火で金閣が全焼した翌日、
住職・村上慈海との会見を許された産経新聞記者・福田定一、のちの司馬遼太郎が、
庫裏の黒板に書かれてるのを見て 「異常な気分になった」 という言葉です。(水上勉 『金閣炎上』
再建前の金閣が、狂気に近い嫉妬を駆らせるほど美しかったのか、私にはよくわかりません。
水上三島の作品で、紙面から精液の匂いがしそうなほど独男的に描かれた学僧の、
恐らく実際その通りであっただろう心の内も、わかるような気はするけど、正直よくわかりません。
でも、その場の勢いで思わず黒板に 「また焼いたるぞ」 と書いてしまうような、
ボンクラ極まる調子乗りたちの持ってた 「異常な気分」 は、少しわかるような気がします。
超メジャーな観光寺院として金が入りまくり、宗教面と齟齬を起こしてたという、当時の金閣寺。
そんな矛盾の中で、札束の海へ泳ぐのでもなく、放火テロで腐敗を弾劾するのでもなく、
時折憂い、時折おちょくり、時折怒ったりしながら、その場にへばりつき続ける、大半の凡夫たち。
その姿は、歴史や文化に深い愛情や尊敬の念を抱くと共に、冷笑&嘲笑もやらかし、
「金にならんかな」 てなことも思いつつ、こんなサイトやってる自分と変わらぬものに思えるのです。
と同時に、凡夫に支えられ、焼かれることもなく、美を提供し続ける再建金閣そのものが、
金欲と信仰の矛盾の真っ只中を生き、伝統を誇りながらも実は大して古いものはない京都の、
美の側面と俗の側面を極限までデフォルメした自画像のようにも思えたりするのです。
ある意味で、金閣は最も京都的な寺なのかも知れません。故に、地元からは忌避されるという。
あなた、そう思いませんか。全然、思いませんか。実は私も、あんまり思いません。
そんな金閣、秋の紅葉大混雑シーズンに、銀閣に続き特攻してみました。
炎のような紅葉に囲まれた美と俗の様、ご覧ください。


銀閣寺を出て、人間だらけのバス停をスルーして北へ歩き、
ケントボーイズで栄養ドリンク買って飲み、その前にある北白川校前からバスに乗り、
人ごみをかわせたと思いながら金閣寺道で降りて金閣寺へ向かうと、やっぱり大混雑だったの図。
人間よりも車で混んでるように見えますが、もちろん人間だって、いっぱいいっぱいいます。


で、黒門を通って境内へ入ると、燃えるような勢いで、紅葉。


鐘楼の周りも、燃えるような勢いで、紅葉。


大勢の人間と、雪崩れ込むような勢いで、チケット札。


中へ雪崩れ込むと、金閣と火の手のような紅葉、そして大量の人間。


金閣、そして金閣に襲い掛かる炎のような紅葉。


人間が密集する脇で、紅葉を反射する、鏡湖池。


横から見た金閣、鏡湖池、松、そして人間。


金閣の天辺に立つ、再建時に新調された鳳凰。


鏡湖池と何らかの岩、そして人間。


燃えるような紅葉、そしてレミングの如き行進する大量の人間。


レミングの如き行進の途中、後から金閣を見る、大量の人間。


レミングの如き行進の途中、逆さ金閣を見る、大量の人間。
そんな大量の人間を逆さ金閣の下から口を空けて眺める、大量の魚。


義満が手洗いに使ったという、巌下水。


何に使ったかは知らない、燃えるような紅葉と何らかの岩、そして龍門滝。


落葉と賽銭が降り注ぐ、何らかの石仏。


安民沢と白蛇塚の石塔と紅葉、そして落葉と賽銭が降り注ぐ白蛇塚の石仏。


完全逆光で、陽の光と紅葉に焼かれるかの如き、金閣。


人間に押し潰されるかの如き、夕佳亭。そして、夕佳亭を燃やすかの如き紅葉。


どうせ儲けるなら、全身が金箔押しのアイテムでも出せよの、キティ。


ここだけ妙に普通の寺っぽい、不動堂。


で、帰りの石段と、紅葉と、愛せよ風景清めよ大地。以上でございます。
疲れた・・・庭を歩いて紅葉を見ただけなのに、疲れた・・・。

客層は、ベタな観光客の烏合です。
言うまでもないことですが、地元感や京都感は、徹底的にゼロ。
客層もベタですがリアクションなどもベタであり、それも銀閣寺や東山界隈のベタさとは異なり、
多くの人が金閣寺に来たことをまるで恥じてるかのように、妙に饒舌気味だったりして。
人圧はもちろん、壮絶。レミング行進を続ける人々を見てると、ここが京都だということを忘れます。
カップルはそこそこいて、所構わず記念写真を撮る程度には恋愛ハイ&観光ハイですが、
似たようなハイに陥った中高年もそこら中にいるので、さほど気にならないかと。
中国人が非常に多いですが、それ込みでも、マナーは良くもないけど悪くもない感じ。
単独は、変なカメと、変な男。女は、ほとんど見かけませんでした。

そんな金閣寺の、紅葉。
好きな人と観たら、より紅葉なんでしょう。
でも、ひとりで観ても、紅葉です。

【客層】 (客層表記について)
カップル:2
女性グループ:1
男性グループ:1
混成グループ:1
子供:若干
中高年夫婦:1
中高年女性グループ:1
中高年団体 or グループ:3
単身女性:微
単身男性:若干

【ひとりに向いてる度】
★★
最低とまでは言わないが、人圧的には、地獄。
あまりにも典型的&幼稚なので、各種ハイは気にならないが、
京都らしさは面白いくらい、どこにもない。

【条件】
連休日曜 紅葉ピーク 14:00~15:50


金閣寺 (鹿苑寺)
京都市北区金閣寺町1
9:00~17:00

京都市バス 金閣寺道下車すぐ
嵐電 北野白梅町駅下車 徒歩約20分

金閣寺 – 臨済宗相国寺派 – 公式

鹿苑寺 – Wikipedia