永楽屋本店・喫茶室で、栗ぜんざいと和の芋栗パフェを食べました。もちろん、ひとりで。

2017年11月9日(木)


永楽屋本店・喫茶室で、栗ぜんざいと和の芋栗パフェを食べました。もちろん、ひとりで。

ニュースとかで 「京都で最も地価が高い所」 と出てくるのは、概ね、四条河原町です。
実際、華やかな店が並び阪急の地下ターミナルもあり、文字通り繁華街である、四条河原町
のみならず、祇園祭・山鉾巡行の辻回しコーナーとしてもその存在を誇ってきた、四条河原町。
おけいはんの民たる私にとっても、電車を降りて最初に 「街」 を体感するのは間違いなくここですし、
一般的な都市と比べたら大したことがないとはいえ、当然ながらビルもバカスカと建ってます。
ではこの四条河原町、地価を反映して高層ビルだらけの所かといえば、案外、そうでもありません。
低層な建物の店も、割と残ってます。小じんまりとした和菓子店が、妙に目についたりします。
もちろん、周囲がビルだらけだからこそ、この低層&和菓子は目立つというだけな話なんですが、
しかし、街中でこうした景観を目にして、ある種の癒やし or ほっこり感を感じてる人は、多いでしょう。
そんな和菓子屋の店先に、季節の甘味の看板でも出てたら、誰もが立ち寄りたくなるものです。
で、こうしたほっこり感、この界隈でより強く放ってるのが、永楽屋本店ではないでしょうか。
四条河原町交差点を少し北上した東側にあり、 「京のあまからや」 として親しまれる、永楽屋。
綽名が示す通り、佃煮 「一と口椎茸」 と和菓子 「琥珀」 を名物とする、両刀 or 両党な店であります。
その建物は、ビルの真隣にありながら、和風2階建て。で、2階には、甘味に絞った喫茶室もあり。
で、その喫茶室は11月になると、秋冬季限定メニューとして栗ぜんざいを出し始めるんですよ。
栗の形らしき可愛い陶器の中に、ほくほくの栗餡が入り、その中で小餅が浮いている、栗ぜんざい。
秋口にその看板を見る度、私は強いほっこり感を覚え、そして食いたいと思ってたんですよね。
なので今回、その栗ぜんざいを食べに行ってみました。で、ついでに、芋栗パフェも食べてみました。
さらについでに、秋の四条河原町を散策し、全然ほっこりしてない雰囲気も堪能してみました。
さらにさらについでに、栗に因んで、栗色 = マルーンが売りの阪急地下も、うろついてみました。
風情があるようなないような、ないようなあるような、 「街」 の秋を感じてみて下さい。


四条河原町の最寄駅は、阪急・河原町駅 or 京阪・祇園四条駅。両駅間の距離も、至近です。
おけいはんの民たる私は、京阪駅から向かいます。 「地下道繋げろよ」 と思いながら鴨川を渡って
で、四条河原町東南角のマルイへ。元は四条河原町阪急だった場所で燦然と輝く、三井住友の文字。
哀れなり阪急、と言いたい所ですが、ここは昔から住友の地。戦前には既に、銀行が建ってました。


もっとも戦前はこの辺、賑わってませんが。本格的な繁華街化は、戦後。決定づけたのは、阪急。
なんですが阪急、長く自社ビルがありませんでした。最近やっと、住友ビル北向へビルを建ててます。
因みにこのビル = KOTO+が建つのは、かつて京阪が、嫌がらせの如く特急の看板を出してた場所。
その怨念か阪急、KOTO+西向のユーハイムビル aka メガネビルに、大看板を情け無用に掲出中。


で、かつては阪急の駅ビルみたいな顔してた住友ビルでは、免税店看板が諸行無常に掲出中。
あ、住友ビル以上に四条河原町のランドマークと言える南西角の高島屋、全景撮るの、忘れました。
代わりに、高島屋の買収侵略を角地で阻み続ける和菓子屋などの風景を見て、ほっこりして下さい。
というか、このコンフュージョンな景観こそ、田舎の子である私には都会的に見えたもんであります。


京阪と阪急によって郊外・田舎の連中が動員され、活況を呈するようになった、四条河原町。
そう考えるとこの辺は、京都では稀少である 「鉄」 なタイプの繁華街、ということになるんでしょうか。
その割に、奇妙なくらい 「鉄」 の匂いがしないのは、不思議ですけど。四条大宮西院と全然違って。
今はメガネビルより阪急感が薄いKOTO+ですが、今後は 「鉄」 感、出してくのかも知れませんね。


と、適当なことを思いながらうろついた後、やって来ました、KOTO+の北隣の永楽屋本店
和風2階建ての店が、見事なくらい、ビルに挟まれてます。KOTO+とサーティワンに、挟まれてます。
このギャップ外観もあって永楽屋、大昔からある店みたいに思えますが、出来たのは昭和21年だそう。
河原町が本格的に繁華街化し始める頃ですね。河原町の隆盛と共にある店、という感じでしょうか。


で、その店前に出てる、喫茶室の秋冬限定メニューの看板。栗ぜんざいと、芋栗パフェです。
栗ぜんざい、可愛い。そして、ほっこり。よく見ると、正式名称は〇栗ぜんざいみたいですね。可愛い。
と、乙女な気分で店に入ると、表側の3分の2くらいに 「あま」 が並び、その奥に佃煮など 「から」 あり。
でも喫茶店の入口はよくわからんので、カウンターの店員に尋ねると、奥の階段を指差されました。


で、おばちゃん達が押し通って来る超狭い階段を上って、2階へ上がると、その奥が喫茶室
外から見ると小さく見える永楽屋ですが、中は広し。特に喫茶室は天井を抜いてる為、広く感じます。
席は、4人がけのテーブルが15客ほどあり、2人がけが2つありました。私はもちろん、2人がけに着席。
客は、8割程度の入り。観光風の客は極めて少なめで、地元系の奥さん連中が多い感じでしょうか。


で、注文します。金色で 「永楽屋 喫茶室」 と書かれたゴージャスなメニューから、注文します。
といっても、値段などは割と普通の喫茶店。ちょっと高価いくらい。注文などの流れも、ごく普通です。
内装こそお洒落な感じですが、店員さんは普通のおばちゃんが大半。気張った雰囲気も感じません。
栗ぜんざいを食いに来たので、頼むのは当然、栗ぜんざい。あと、芋栗パフェも勢いで頼みました。


で、しばらく待った後、同時に運ばれてきた、栗ぜんざいとパフェ。


暖かいうちに食おうと考え、先に食すのは、栗ぜんざい。可愛い。


栗型陶器のフタを開けると現れるのは、いっぱいの栗餡。可愛い。


で、食べます。栗餡の奥には和栗餅が潜伏してるので、これもサルベージして、食べます。
餡の味は実に、栗。栗餡と呼ぶしかない濃厚さです。あと、飲んでるうちに白味噌雑煮感も前面化。
栗餅は、白味噌雑煮のトロ味が合うしっとりとした煮加減の餅で、でも内蔵栗は堅めのナチュラル系。
総合的には、餅をゲル化するまで煮込んだ白味噌雑煮に、栗を足した感じ。可愛い。そして、至福。


で、至福の後に食べるのは、紅葉も鮮やかな、和の芋栗パフェ。餅。


芋栗というより餅栗と呼びたい上層階を誇る、和の芋栗パフェ。栗。


しかし芋栗パフェ、中は芋が入りまくってて、文字通り芋と栗で構成されてます。食べます。
といっても、全部が穀物で出来てるわけでもなく、永楽紋入りの麩焼きせんべいや餅、アイスも搭載。
下層階へ進撃すると、ポップコーン状の砂利ゾーンが現れて、その下ではまた巨大な芋塊が潜伏中。
芋と栗のテイストは、やはりナチュラルな仕様。総合的には、至福とまでは行きませんが、まあまあ。


で、完食。パフェも良いですが、栗ぜんざいがとにかく、美味かった。


で、食ったら、帰ります。勘定は、2060円。喫茶室手前の2階レジで、普通に支払います。
またおばちゃん達が押し通って来る超狭い階段を、今度は下りて、 「あま」 コーナーが賑わう1階へ。
「あま」 コーナーでは、栗羊羹なども販売中。気になります。が、好奇心を満腹が遮るので、帰ります。
店前で栗どら焼きを見たら、また足が止まりましたが、でも満腹なので帰ります。ごちそうさまでした。


で、帰るんですが、その前に栗色の阪急地下駅も拝んどきます。栗に因んで。地価にも因んで。
四条通の地下を西院から東西に走る阪急地下線、開通は、昭和38年。ただ、計画は戦前から存在
その計画では、駅舎、地上設置予定だったとか。天六阪急ビルみたいなのが、出来てたんでしょうか。
実際の駅舎は、御覧のように、地下。四条河原町阪急は、本当に駅ビルではなかったわけですね。


阪急地下線、河原町から烏丸までの区間は、線路の階上に地下道あり。京都初の地下道です。
出来た理由は、京都に現代都市文明を導入する為ではなく、オープンカットの埋め戻しをサボる為。
もっとも当の四条河原町の辺は、幹線下水を避ける為、さらにホーム側へグニャっと潜ってますけど。
工事の際は下水、大変だったとか。あと地下水絡みでも、もちろん地域と阪急は揉めまくってます。


おけいはんの民の目には、阪急ファン or 信奉者が案外多いようにも見えたりする、京都人。
しかし、水と商売が絡めば、話は別。地下道の商店出店にも地域は反対し、店舗類は現在も、なし。
身内の会社ばかり推す阪急の姿勢が、嫌がられたそうです。その姿勢の感じは、今も割と、あるかも。
店舗なし+配管丸出しの殺風景極まるエリアでさえ、阪急、ヅカのポスターをこれでもかと掲出中。


で、阪急文化に無縁な私がぼちぼち帰ろうと地下東端へ行くと、壁に京阪の時刻表が掲出中。
阪急、京阪との乗換サービスは、これ1枚だけです。壁を破って地下道を設置しそうな気配は、皆無。
仲良くしろよ。京都線を誰が作ったか、思い出せよ。地下線口の扁額を誰が揮毫したか、思い出せよ。
って京阪側も、時刻表を1枚張ってるだけですけどね。そんな京阪駅へ、また橋を渡って帰りました。

永楽屋・喫茶室、この日の客層は、大半がおばちゃん。
小さい子連れから老婆2人組までタイプは多彩ですが、基本はおばちゃん2~3人組。
年齢層も30代~70代と多彩ではありますが、メイン層はあくまで中年以上。
店の前の看板で騒ぐ若者はいますが、店内にその手の連中は全然いません。

そんな永楽屋本店・喫茶室の、栗ぜんざい。
好きな人と食べたら、より四条河原町なんでしょう。
でも、ひとりで食べても、四条河原町です。


 
【ひとりに向いてる度】
★★★★
完全にアウェーな状況ではあるが、
アウェー感はさほど感じないし、敷居も高くない。
白味噌雑煮感が溢れる栗ぜんざいは、推す。

【条件】
平日木曜 14:10~15:00
 

永楽屋本店 喫茶室
京都市中京区河原町通四条上る東側
12:00~19:00 水曜不定休

阪急電車 河原町駅下車 徒歩約2分
京阪電車 祇園四条駅下車 徒歩約5分

永楽屋本店 喫茶室 – 公式