京・旬野菜料理 直會撰で、松茸と地鶏のすき焼き膳を楽しんで来ました。もちろん、ひとりで。

2018年9月27日(木)


京・旬野菜料理 直會撰で、松茸と地鶏のすき焼き膳を楽しんで来ました。もちろん、ひとりで。

松茸を有難がる気持ちが、私にはよくわかりません。両親が、丹波の出だからです。
といっても、美味い松茸を食い慣れてるから、有難味がわからないのではありません。逆です。
かつての我が家には、林業か何かに関わる親戚から、秋になる度に松茸が送られて来ました。
無論、身内から無料で送られて来る松茸ですから、商品にならない残骸のような代物となります。
ひょっとすると案外美味かったのかも知れませんが、しかし当時の私の舌には完全に、単なる菌類。
丹波の出身ながら、貧しくて食の教養がない私の親にとっても、この松茸はやはり、単なる菌類。
京都の年配の方は、 「昔は松茸なんかフライで揚げてソースかけて食ってた」 的な話をよくしますが、
正しくそのようなノリで、我が家ではもらいもんの菌類を極めて適当かつ雑に、食ってたのでした。
なので、私にとって松茸の原風景は、 「ちょっと変な匂いが付いたキノコの残骸」 でしかありません。
匂いが付いてるだけで、何が嬉しい。あんなもんに高い金を払って、何が楽しい。というわけです。
とはいえ、秋といえばやはり、松茸。京都に於いても当然、秋といえばやはり、松茸。
特に、丹波なる一大生産地をすぐ近くに擁するこの街では、松茸はより大きな意味を持ってます。
死ぬほど暑いか死ぬほど寒いか以外、実は体感レベルでの季節感は希薄な人口過密都市、京都。
それゆえに、行事や食の季節ものには病的なまでの執着を見せるわけですが、松茸もまた然り。
初松茸が届けばニュースとして報道され、和食店でも当たり前のように松茸の土瓶蒸しが供されます。
つまり、メジャー案件ということです。となれば、当サイトとしては、特攻をかけねばならんのです。
そう考えた私は、松茸特攻の行先を物色するようになりました。無論、なるべくなら安価に済む形で。
で、今回出かけたのが、寺町三条の直會撰。京都の四季特産を扱うとり市老舗の、料理店です。
とり市老舗は、初松茸ニュースによく登場する店。なので直會撰も、秋は松茸メニューを展開。
しかも、最安の松茸御飯食べ放題は、千円強。行き易くて、食い易くて、値段も安い。最高です。
というわけで、丹波ではなく街のど真ん中へと、秋の香りを嗅ぎに出かけたのでした。


寺町三条、電車だと京阪・三条駅も近いですが、一番近いのは市営地下鉄・京都市役所前駅
なので、13時過ぎに京都市役所前駅を出て、寺町通のアーケードへと進入。三条まで、南下します。
寺を集めて出来た寺町通、現代の秋口+昼過ぎに於ける御池以南は、完全に街中の繁華街な感じ。
ただ、寺と共に発展した古書店はアーケード域もあり、良い雰囲気。秋の匂いは、感じませんけど。


本能寺の変で移転してきた本能寺の坊さん相手に、書関係のものを扱う店が発展した、この辺。
文房具店の代表格である鳩居堂も、かなり繁盛してて、良い雰囲気。秋の匂いは、感じませんけど。
本丸である本能寺の方もまた、修学旅行生やしょうもない外国人観光客などが薄く集まる、繁盛ぶり。
「He is Nobunaga」 と誰かに吹き込みたくなる日蓮さんも、良いお顔。秋の匂いは、感じませんけど。


とか言ってるうち、すぐ到着しました。といっても、こちらは運営元の方である、とり市老舗
店前は、 「じ山松茸」 幟など、松茸だらけ。初松茸ニュースに出るのも納得、という感じでしょうか。


で、その西向かいが、直會撰。こっちも色々と溢れてて見分けが付きませんけど、直會撰。
奥に、食堂があります。柚子ちりめんや天むすに気を取られて、到達できないかも知れませんが。


100%物産店なレジで 「食事お願いしたいんですけど」 と訊くと、 「おひとりですか」 と訊くので、
そうだと答えると、 「靴脱いで上がってカウンターへどうぞ」 と言われて座った、掘り炬燵カウンター。
店内の雰囲気は、和風居酒屋から酒気を半分以上抜いたような感じとでもいうか。入りは、8割程度。
3日前の初松茸ニュースにとり市が出たんですが、それで混んでるんでしょうか。メニュー、見ます。


松茸御飯食べ放題千円が目玉の、直會撰。しかし、米で腹を誤魔化してる場合ではありません。
松茸ですよ、松茸。本丸をがっつり食わないと、来た意味ありません。時価、行ってしまいましょうか。
幼少時は無料の残骸しか食えなかった松茸、自腹+価格ブラインドで、リベンジしてしまいましょうか。
確実に万超えが予測される時価、破産上等のネタ+肝試し的な気分で、特攻してしまいましょうか。


と思いながらも、頼んだのは、松茸と地鶏のすき焼き膳であります。3000円台であります。
すき焼き膳は、松茸と地鶏のミニすき焼き、松茸御飯、刺身や小鉢などの構成。では、頂きます。


が、すき焼きを煮る間、まず松茸御飯を食す。味は、普通。松茸よりは、米が多い感じ。


待ちきれずに、ちょっと中を覗いた、すき焼き。他の具は、豆腐・水菜・玉ねぎなどなど。


で、ある程度煮ると、松茸よりも正直気になってた地鶏を、まず食す。味は、普通に鶏。


で、松茸。普通にすき焼きだけど、結構美味い出汁と共に、松茸。


で、松茸。卵につけて、松茸。味は、まあまあしっかりした、松茸。


で、また松茸御飯。松茸、含有量は少ないけど、食い進めていくと食感は割とある感じ。


ミニ鍋と御飯をあらかた片付けたら、他の品も食す。赤出汁の味噌汁、ちょっと、美味。


他の皿は、味はいずれも普通。何らかの能書きがありそうな香物も、味は至って普通。


で、食了。松茸と鶏、どうせ量はちょっとだろと舐めてましたが、案外とボリュームあります。
鍋が深く、奥にも松茸と鶏が入ってるんですよね。秋の香り、腹で感じられました。では、帰ります。


勘定をするのは無論、靴を履いて出た先にある100%物産店なレジです。額は、3000円強。
で、松茸アイテムを見ながら、退店。すき焼きの出汁が美味かったので、あれば欲しいんですが。


東向かいのとり市では、多くの人が足を止めてました。南側から見ると、さらに松茸祭状態。
そういえばとり市、昔は丹波でバイヤーが大量に走り回ってたそうですが、今もそうなんでしょうか。


と、どうでもいいことを考えながら、帰ります。が、帰り際には、寺町三条も少しうろついときます。
すき焼きといえば、すぐ近くの三嶋亭が本丸なんですよね。無論、こっちは肉があくまで牛肉ですが。
西からは西高瀬川経由で丹波の物資が入り、東からは東海道経由で近代食文化が入った、三条通
外来文化&物資の結節点としての通、みたいなのを感じたりします。秋の匂いは、感じませんけど。


あ、本能寺しかないように書きましたけど、実際の寺町通は無論、寺だらけなくらい、寺だらけ。
送り鐘や福だるまで有名な矢田寺も、直會撰の近くにあって繁盛中。秋の匂いは、感じませんけど。
とか適当に思った後、本当に寺町三条を後にします。見送りは、絶対的外来種の蟹がしてくれました。
夏のように晴れた空の下、達磨のように赤く輝く甲羅が、眩しいです。秋の匂いは、感じませんけど。

直會撰、この日客は基本、中高年。2~3人のグループが多く、ほぼ地元系です。
細かい区別は不明ですが、若者はどの属性にもおらず、観光丸出し系もほぼ見かけません。
単独は、おばさんが2名。男は、私とおっさんがひとりずつ。そんなもんでした。

そんな京・旬野菜料理 直會撰の、松茸と地鶏のすき焼き膳。
好きな人と食べたら、より松茸なんでしょう。
でも、ひとりで食べても、松茸です。


 
 
【ひとりに向いてる度】
★★★★
味はそこそこで、CPもまあまあ。
観光的には盛り上がらないかも知れないが、
京都のネイティブな 「見立て」 の季節感は、
客から感じられるかも知れない。
 
 
 
京・旬野菜料理 直會撰
京都市中京区寺町通三条上ル

市営地下鉄 京都市役所前駅下車 徒歩約3分
京阪電車 三条駅下車 徒歩約7分

京・旬野菜料理 直會撰 – 公式