リプトン三条本店で、丹波栗のロイヤルミルクティを楽しんできました。もちろん、ひとりで。

2018年11月15日(木)


リプトン三条本店で、丹波栗のロイヤルミルクティを楽しんできました。もちろん、ひとりで。

明治維新後の京都に於ける近代化で、三条通という道は、大きな役割を担いました。
江戸時代から、東方の江戸へ続く東海道のターミナルとして、既に人荷が行き交ってた、三条通。
維新後は、文明開化の都となった東京に直結する通として、賑わいと重要性を増して行きます。
東から、夜明けの光の如く入ってくる、新しい文化。東京を経由し、世界から入ってくる、新しい文化。
そんな文化のゲートに、三条通はなったわけです。牛肉も、近江から入洛したのは、この通だとか。
現在の市域東部に残る疏水発電所、そして最中心部の烏丸通に至るまで展開される旧洋館群は、
東方より入った近代文化の種子が、古来の文化を滋養として開花した跡なのかも知れません。
が、この三条通、実は西側でも近代の京都に貢献しました。いわば、丹波のゲートとして。
嵐山から三条通の西・千本三条へと丹波材を流す運河・西高瀬川は、幕末に至って拡幅を実現。
元治の大火で焦土と化した京都は切実に建材を求めていた為、千本三条は材木業で一気に活況化。
後に物流は鉄道・山陰線にシフトするも、二条駅が千本三条の目前に建ち、活況はさらに加速。
荒い輩も集まるこの地で木材運送業をシメてた千本組は、加速する活況を受けて、どんどん巨大化。
後には、丹波をルーツに持つマキノ一族との縁で、近代文化の極たる映画制作にも関与しました。
洋風文化と丹波。東と西の両軸にて、三条通は近代の京都を彩ってたというわけですね。
この彩りを、秋の味覚として楽しめる店が、現代の三条通にはあります。リプトン三条本店です。
王室御用達・英国リプトン本社が直轄する喫茶部、その極東支店として生まれた、リプトン三条本店。
現在もロイヤルミルクティが名物のティーハウスとして人気の高い店であり、季節メニューも多彩。
で、この季節メニューとして、秋には、丹波栗を載せた丹波栗ロイヤルミルクティが出るんですよね。
英国紅茶という洋風文化と、丹波名物の代表・栗の、融合。実に、三条通です。実に、近代です。
丹波系の牧野省三が、近代の光で新たな歴史表現を生んだかのようです。飲まねばなりません。
というわけで、飲みに出かけました。ついでに、栗のパスタも勢いで食べてみました。


リプトン三条本店があるのは、寺町三条の辺。今日は東海道に敬意を払い、東から向かいます。
東海道で行われたという日本初の京都・東京間駅伝の石碑などを見ながら、三条大橋を渡り、西へ。
昔から京津ルートとしても使われた、東海道。なのでこの辺、近江牛を使ったすき焼きの老舗も点在。
近江出身の初代が始めたというこま井亭の床に、玉ネギが吊ってある風景を、橋から眺めてみたり。


大橋の先の三条小橋では、近代化前の陣痛として生じた数多の動乱に、思いを馳せてみたり。
御覧の高瀬川や傍の池田屋で、人肉を切り刻む剣客が現れては消えて行きました。諸行無常です。
そういえばこの辺、肉系の新店の出入りが多いんですよね。最近も、NICK STOCKというのが来たり。
ただこの日は、店自体が改装に向け、切り刻まれてました。 (注・後の OH! MY BEEF! もすぐ閉店)


新参者や余所者が切り刻まれて消えて行く一方、この地で開花した肉の老舗は、しっかり存続。
寺町三条では、 洒落た英文プレート&案内と共に、明治より続くすき焼きの三嶋亭を拝んでみたり。
浮世絵店の看板との取り合わせが、牛肉文化が此地へ辿り着いた頃の残り香を感じさせてくれます。
で、そんなお洒落でハイカラな気分を、かに道楽の蟹で初期化したら、いよいよすぐ傍のリプトンへ。


で、リプトン三条本店です。ではなくて、かつくら三条本店です。ではなくて、リプトン三条本店です。
経営が同じ会社なので、敢えてすっとぼけて言ってます。本当です。いや、嘘です。いや、本当です。
明治以降に日本へ入ってきた洋食コートレットが発展して生まれた、豚カツ。その豚カツの、かつくら。
そのかつくらがライセンスを獲得し、リプトン極東支店は開業に至りました。本当です。いや、嘘です。


と、嘘八百で呆けた頭を正し、常に誰かが中に入ろうかどうか迷ってる店前を抜けて、店内へ。
14時半過ぎの店内は、かなりな混雑。2人掛けテーブルに空きがあったので、何とか滑り込みました。
頼むのはもちろん、栗メニューです。差し込みで入ってる丹波栗のロイヤルミルクティを、注文します。
あと、丹波栗とサルシッチャのクリームソースなる栗パスタも、何となく美味そうなので、勢いで注文。


で、クリームソースに栗とサルシッチャが入り、山椒が掛かった栗パスタが、まず来ました。


トップに載ってた揚げたらしい栗は、甘くないけど栗の風味あり。全体の味は、まあまあ。


ソースの栗は、じゃがいもと断言されると言い負かされそうな感じの、食感。味も、まあまあ。


で、食い終わると来た、本丸である丹波栗のロイヤルミルクティ。


名物・ロイヤルミルクティの上に、栗粉&ムースが浮いてるというもの。で、これは、美味い。


栗粉だけでも、美味い。不自然な甘さを足さず、風味だけで栗の味わいが溢れ、美味い。


当然、混ぜても、美味い。ミルクティと栗の良い所取りみたいな、至福の紅茶でありました。


で、飲んだら、混んでるので即、退店。帰り際、かつくらでなくてリプトンの玄関を、また拝んだり。
一時、本当に豚カツ店だったんですけどね。リプトン本社が買収され、ブランド名が使えなかった頃。
業態を変えて、店名も 『りぷ豚』 へと変更。ただ、この 『りぷ豚』 の豚カツが美味くて、大評判を獲得。
リプトン復活後は、かつくらとして独立しました。というのは、嘘です。いや、本当です。いや、嘘です。


と、嘘八百で呆けた頭を蟹でまた初期化したら、三条通名物・近代建築もしっかり見ときましょう。
いや、この蟹だって本当は、立派な近代遺産。ですので、景観条例にも引っかかりません。嘘です。
西へ歩き、不動貯蓄銀行・京都支店跡のSACRAを拝んだり。実に、立派です。よく、残ったもんです。
おかげで三条通は拡幅が出来ず、遂には祇園祭・山鉾巡行のルートからも外れてしまいましたが。


とはいえ三条通、祇園祭の神輿は通ります。そんな神輿渡御の良い見物場所・文博も拝んだり。
そういえば、 『千本組始末記』 に依ると最盛期の千本組は、祇園祭の神輿3基全てを舁いてたとか。
また、太秦の大道具も担ったとか。此処で掛かる昔の映画でも多分、色んな物を運んでるはずです。
とか思ってると、千本三条へ寄りたくなりました。栗パスタの腹ごなしに、しばらく西へ歩いてみます。


で、西へ歩き続け、祇園祭とも縁深き三条会商店街へ入街。千本組の本拠地も、この辺でした。
商店街西口の先、三条通まで敷地があった山陰線・二条駅から、丹波材を運びまくったわけですね。
きっと、栗も運びまくったことでしょう。となれば、この辺は丹波栗のゲートでもあったかも知れません。
で、そんな時代の残り香を求めて二条駅へ行き、残り香が欠片もないのを確認して、帰りましたとさ。

この日のリプトン三条本店、客層は真っ昼間ということもあって、
地元の奥さん連中4、同じく中高年各層2、観光客2、それ以外の烏合2とでもいう感じ。
それなりにアウェーな層ではあり、狭いこともあってそれなりにプレッシャーはあるというか。
観光客は、中年かその手前のどうしようもない輩が多い感じ。それ以外は、まあ普通。
単独は、男女ともちらほらといますが、属性的には烏合な感じです。

そんなリプトン三条本店で飲む、丹波栗のロイヤルミルクティ。
好きな人と飲めば、より三条通なんでしょう。
でも、ひとりで飲んでも、三条通です。


 
 
【ひとりに向いてる度】
★★★
丹波栗のロイヤルミルクティは、至福。
ただそれ以外は、積極的に行くほどでもない。
混雑時は、狭いのが少ししんどいかも。
 

リプトン三条本店
京都市中京区寺町通三条東入石橋町16
10:00~21:30 金土10:00~22:00

市営地下鉄 京都市役所前駅下車 徒歩約5分
京阪電車 三条駅下車 徒歩約6分
 

Sir Thomas LIPTON – 公式