大谷祖廟の暁天講座へ行ってきました。もちろん、ひとりで。
大谷祖廟へ出かける理由を、当サイトを始めた当初からずっと探し続けてました。
「そんなもん、勝手に行けよ。さっさと」 と言われたら、それで終わってしまう話ではあります。
が、それで終わらないもの、終わらせるべきでないものがあると感じてるのも、確かだったりします。
大谷祖廟。言うまでもなく浄土真宗宗祖・親鸞聖人の墓所がある、東本願寺の飛地境内です。
が、隣には門徒専用の墓地・東大谷墓地があり、両者はペアで認識されることが少なくありません。
実際、私もかなりごっちゃに捉えてます。しかも 「親鸞の墓」 というよりは 「門徒さんの墓地」 寄りで。
おまけに私は親類縁者に門徒がいないので、此処は全くの赤の他人が眠る墓地、となるわけです。
東大谷万灯会なども行われる点で間違いなく京都のメジャースポットですが、でも、墓地なわけです。
全く無縁な墓地への、理由なき訪問。一般良識で考えると、控えるべき行為とは言えるでしょう。
「無敵の人」 の万能感を使い切った後の人間が、如何なる倫理を持って如何なる道を歩むべきか、
思索を深めながら京都徘徊を続ける当サイトが、斯様に浅薄な行為におよぶわけには行きません。
その割には化野念仏寺の千灯供養や東山浄苑の真昼の除夜の鐘撞きなどに行ってはいますが、
2020年代後半を見据えた生き方を考えた場合、この手の荒事はもう控えた方が良いのでしょう。
また、より正直に言わせてもらえば、他の墓地訪問とは違う何かを大谷祖廟に感じることも確かです。
それが何か言えば、大谷祖廟と大谷本廟と東山浄苑って何かややこしいなという話なんですけど。
特に祖廟と本廟って、何かややこしいな。本家と元祖とたかばしの違いみたいで、何かややこしいな。
そんな大声で言えない系の理由もあって、長らく大谷祖廟へ足が向かわず仕舞いだったのでした。
しかしそれでも大谷祖廟はやはり、大谷祖廟です。超メジャーです。やはり、行っとくべきです。
そう考えて今回、大谷祖廟が毎年8月初頭の早朝に開催してる暁天講座へ出かけることにしました。
暁天講座、誰でも入れる講座です。これなら、信心なしで行っても先祖の祟りとかないだろ。
と、けしからんことを徹夜明けの頭で考えながら、払暁の東山へ赴いたのでした。

大谷祖廟は、八坂神社のすぐ南に参道があり、そこから東山を登るように進む先に建ってます。
そして暁天講座が始まるのは、朝の6時半。なので、6時前の京阪・祇園四条駅を出て、祇園を東へ。
早朝の祇園は、ほぼ無人。開いてる店が全然ないので当たり前ですが、それにしても人がいません。
外は当然暑いですが、曇り気味+陽はまだ東山に隠れてるので、この時点ではまだそれほどです。

だべってる朝帰り前のグループや、たまにいる早起き観光客を擦れ違いながら、八坂神社へ。
神社に近付くと、人が増えました。早起き観光客は何故、誰もが不案内丸出しに見えるんでしょうか。
境内では、昨日終わった祇園祭の幟や西門の下で寝込む酔客、あと神様を拝んだ後、南門へ移動。
南門の鳥居を抜けて、下河原通を数m南へ進んだ先が、大谷祖廟の門です。本当にすぐそこです。

門から続く大谷祖廟・参道は、濃い雲とその隙間から射す払暁の光で、荘厳されたような景観。
美しい。そして、尊い。この尊さに圧倒されて、思わず門本体の写真を撮るのを忘れてしまいました。
断じて、朝から元気なノーリードの犬や朝から元気なその飼い主、朝から元気に門前に路駐してる車、
そしてもちろん朝から元気な外人観光客が門前に屯してたので撮れなかったわけではありません。

いや、でも真面目な話、この参道を登りながら拝む東山の夜明けは割と、いや、かなり良い。
顔を見せ始めた陽などは、特に。東山を 「日の出を隠す山」 と思い込んでたので、かなり意外でした。
鳥辺野/六波羅以来、京都の霊地であり続ける東山。その理由を、少し体感出来たかも知れません。
ただ陽が出ると、暑いけど。チラっと光ったその瞬間から、暑いけど。もう少し隠れてろとか思ったり。

江戸期に整備され、京都でも屈指の長さを誇るという、大谷祖廟・参道。歩くと実際、長い。
距離や坂はきっと清水寺の方がキツいはずですが、視界に入るのが松&石畳&山ばかりと単調で、
またチラ見え状態ながら太陽も既に焼きの効果を発揮し始めてるので、汗が出まくって、余計に長い。
歩いてるのは、老人、あるいは年老いた若者ばかり。皆、罰ゲームみたいに黙々と坂を登ってます。

私も年老いた若者の罰を受けながら坂を上り続け、大谷祖廟の総門前まで到着しました。
大谷祖廟、門前。立派な割に、何か人を寄せ付けない厳かさを感じさせる辺り、流石は墓地。

さらに近付き、大谷祖廟・総門 aka 唐門。向かって右下に 「暁天講座」 の看板が出てます。
門、年老いた若者は恭しく頭を下げ、老人は素通りしてます。なので私も格好を付け、素通り。

門を潜った先では、事務所前に受付があって、そこで講座のプリント類と団扇をもらえました。
暁天講座、公式の定義では 「さわやかな夏の朝、心に響くお話を聴聞」 する行事、なんだそうですよ。
実際は、参道の登坂で既に汗だくで、全くさわやかではありません。が、それゆえ団扇はよく効きます。
汗が引くまでは団扇が効き、引いてからはあまり暑いと感じなくなりました。あれ、何か妙に涼しいな。

講座は本堂前に青空席を設けて行う形で、この青空席が周囲の木陰に入ってて、割と涼しい。
本堂内に座るのもOKみたいですが、外の方が風があって涼しいと思い、私は青空席に着席しました。
現場の空気感は、完全に門徒の世界な感じ。特に、私が座ったやや後ろの辺は、門徒の世界な感じ。
年老いた若者達はやや前の方の席に座ってて、本堂内は門徒の世界というより老人の世界な感じ。

開始時間の6時半ジャスト、講義が始まりましたが、まずはおつとめ。たぶん、正信偈です。
門徒の世界な人たちは、もちろん全員が経本持参。私は全くわからないので、唱和するふり。

さらに南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏と繰り返した後で、本篇が始まりました。
蓮如ゆかりの愛知の寺に住むという同朋大学の先生が、大谷祖廟の歴史を説いてくれます。

でも最初は、 「お念仏」 の話。念仏を唱えれば、そこに本尊が現前する。といった感じで。
なので、東本願寺よりもその場で唱えるお念仏こそ重要であるとか (そんなこと言ってない) 。

念仏を唱えればそこに親鸞がいるので、ひとりでもふたりとか、ふたりなら3人、みたいな。
この親鸞オンデマンド化を担保する霊サーバーが大谷祖廟だとか (そんなこと言ってない)。

先生による大谷祖廟の歴史解説は、基本的には一般的な内容を丁寧に押さえていく感じ。
親鸞の入滅から大谷への埋葬、叡山による破却を経て再建、そして江戸期の拡大などなど。

興味深かったのは、親鸞の最初の廟所は烏丸御池傍の虎石町にあったらしいということ。
丁度、フレスコ御池店の辺です。 「虎石町」 という町名も、親鸞好みの虎石に因むんだとか。

お話が終わると、また歌のようなお経を合掌して、万灯会のお誘いがあって、講座は終了。
大谷講によるパンと牛乳の接待があるんですが、私は親鸞の廟所が見たいので、そちらへ。

で、親鸞の廟所。ギンギラギンですね。親鸞好みの虎に因んで、金箔をデコってるんでしょうか。
分派を経て、大谷本廟との間に清水寺や高台寺を挟むように出来た 「お東さん」 の廟所・大谷祖廟。
どうでもいいですが、 「大谷祖廟」 って名前になったの、1980年代なんですね。後で知り、驚きました。
門徒さん達は、花が供えて熱心にお参りされてます。やはり、興味本位で来る所ではなさそうです。

ので、帰ります。墓参りの間に、接待も終わってました。なのでなおさら、帰ります。

ずっと日陰にいたからか、帰り際に初めて空が晴れてることに気づきました。そして、暑い。

空気の万力で押されるように、暑い。この暑さを忘れずに、私も念仏に励もうと思います。

そして、退廟。

退廟後、円山公園を徘徊。

北へ進み、本廟の土地をぶんどった知恩院にも挨拶。

一時期、親鸞の廟所と本願寺があった知恩院の塔頭にも挨拶。

そして知恩院・黒門前まで行き、虎石ならぬ瓜生石を舐める感じで、早朝の京都市街を望む。
京阪・四条駅へ戻らずに北進したのは、知恩院への寄り道に加え、この景色を見たかったからです。
この辺は、三条通より少し南。その北隣にある御池通の虎石町が、此処からなら丁度拝めるかな、と。
そう思ったんですが、実際に来てみると虎石町なんか全然見えず、暑苦しい空が拡がるだけでした。
大谷祖廟の暁天講座、客数は恐らく50人程度。始まってから来る人も、割といました。
客層は、講師が所謂 「中の人」 なためか、8割は門徒 or 老人。老人は、きっと全員が門徒。
念仏の南無阿弥陀を自分好みで伸ばすような人も、多数。老人以外の門徒さんの、大半は中高年。
残りは、若い男の門徒 or 冷やかし物好き系な感じ。観光客系の姿は、あまり見ません。
客の大半は単独ですが、門徒さんは2~3人連れがそこそこいて、あと大半が顔見知りです。
単独+門外漢としてのアウェー感 or 気まずさは、
なくはないですが、といって激しく気になるほどではありません。
またこの辺は、講師&客層の娑婆感の度合いによって、かなり変わるように思います。
暑さについては、本篇中にも書いてる通りあまり気にならず、
外の席でも木陰で割と涼しかったりしました。
内容的には、当り前のことですが無茶苦茶に面白いものでもないので、
ひとりに向いてる度は、★★★くらいでしょうか。
そんな大谷祖廟の暁天講座。
好きな人と行けば、よりお東さんなんでしょう。
でも、ひとりで行ってもお東さんです。

暁天講座
毎年8月1~5日 大谷祖廟にて開催
大谷祖廟
京都市東山区円山町477
京都市バス 祇園下車 徒歩約10分
京阪電車 祇園四条駅下車 徒歩約15分
大谷祖廟 – 真宗大谷派 (東本願寺)


