下鴨神社・糺の森の納涼古本まつりへ行ってきました。もちろん、ひとりで。

2013年8月11日(日)


下鴨神社・糺の森の納涼古本まつりへ行ってきました。もちろん、ひとりで。

「納涼」 と冠されたものの多くは、実際、大して涼しくありません。
「納涼花火大会」 「納涼ビアガーデン」 「納涼盆踊り」 「納涼船」 など色々ありますが、
そのいずれもが実際はさほど涼しくないという 「真実」 を、知らない人は今やいないでしょう。
現代の夏において、最も効率良く涼が得られるのは、言うまでもなく、冷房が効いた部屋。
震災以降、様々な節電の動きが起こり、様々な 「冷房以外」 の納涼方法が模索されてますが、
画期的な手段は現れず、 「クーラーやっぱり最高」 と文明の利器を再認識しがちなのが現状です。
盆地性の性悪な暑気が充満しまくる京都の夏においても、この辺の事情は全く変わりません。
川からの熱風を感じながら 「風流だ風流だ風流だ」 と自己暗示をかけて飯を食う鴨川川床を筆頭に、
京都の野外で行われる様々な 「納涼」 イベントは、その大半が名に反し、暑苦しかったりします。
世界遺産・下鴨神社の糺の森において、8月中旬、お盆の頃に開催される 「納涼古本まつり」 もまた、
「納涼」 と冠しながら全く涼しくない、逆に暑苦しさが極限域でバーストする、恐怖のイベントです。
都会の真ん中ながら原生林に近い状態を誇る糺の森、そこに聳える大樹の陰を利用する形で、
葵祭・流鏑馬神事会場である馬場に大量の古書店&数十万の古書が並ぶ、 「納涼古本まつり」 。
「自然の恵みたる木陰の涼を感じながらの本探し」 と、文字にすると優雅かつ知的な感じがしますが、
世界遺産の木陰であろうが何であろうが、実際の現場は当然のように死ぬほど暑いのであり
そしてあまり人のことは言えませんが、古書市ゆえに集まるのは暑苦しい独男ばっかりなのであり、
そんな独男たちが汗だくになって本を探し、ゲットした大量の本を汗だくになって運ぶという、
体育会系の阿呆学生でさえ逃げ出しそうな、完全に体力勝負の世界が展開されるのであります。
暑さと共に、ネイティブ京都の妙な過剰さ、バースト感にも溢れてる気がする 「古本まつり」 、
私は単に本を探しに出かけてるんですが、2013年は特に面白いくらい暑かったので、
本を漁る最中にちょこちょこと写真を撮って、ざっくりと記事に仕立ててみました。
熱中死と背中合わせで古書を漁るバースト感、お楽しみ下さい。


下鴨神社へ向かうべく、京阪・出町柳駅を出て通りがかった、13時の出町デルタ。
亀石あたりを中心に、川の水に足をつけて涼もうとする子供、そして大人が、大量発生してます。
この日の前後は、日本各地で40度越えの猛烈な暑さが、襲来。無論、京都も猛暑を通り越し、激暑。
地下から出た途端、思わず 「             っ」 と、超音波の悲鳴を上げたような暑さです。


さっきのデルタの右側 = 高野川を渡る際、橋ではなく亀石を通ってみました。
気分だけでも、涼しさを感じたくて。そして、今のうちに少しでもカタギの息吹を感じておきたくて。
どうせこの後、おかしな人が沢山いる所へ行くんだから。そして、私もきっと、おかしくなるんだから。
石の上、石の間の川の中で、じ~っとしてる子供や大人をかわし、デルタへ、そして下鴨神社へ。


で、伝統行事の如き貫禄を誇る 「古本まつり」 の幟が立つ、下鴨神社・一の鳥居前。
写真には写ってませんが、参道、かなりの人が歩いてます。それも普通の人、結構多いです。
いや、もちろんその手の筋者も多いことは多いですが、近所の散歩風夫婦や家族連れの姿も、多し。
そういえばこの日は、日曜。カタギにとっては、休日。それで、散歩風の人が多いんでしょうか。


で、御蔭通を渡った先に掲げられた、 「第26回 納涼古本まつり」 の看板。
看板にある通り、 主催は京都古書研究会。古書店の団体で、 「三大古本まつり」 を開いてます。
「春の古書大即売会」 @みやこめっせ「秋の古本まつり」 @百万遍知恩寺、そしてこの下鴨、と。
ちなみに下鴨の古本まつりは、三大の中では、最若手。さらにちなみに最年長は、秋@知恩寺。


さっきの御蔭通のあたりに自転車を止める奴が大量にいて、客数はさらに増加。
筋者もそうでない者も団子になって、古本まつりの会場である馬場へ雪崩れ込んでいきます。
古本まつり、御覧の河合神社参道あたりから始まり、赤橋あたりまで、延々と古書が並びまくりです。
あ、さっきの看板に堂々と 「納涼」 と書かれてましたが、現場はもちろん全然涼しくありません。


で、本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本
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心配御無よう心配御無よう心配御無よう心配御無よう心配御無よう・・・もういいか。
店はいずれも簡易テントを設営してますが、青天井の陳列もあり、こちらは当然安い本ばかり。
テントの中に置いてる本も、万を超えるような高価なものは、これも当然ながらあまり見かけません。
普通の値段で売ってる店もあれば、均一値やサイズだけで投げ売りしてる店もあったりします。


店のジャンルは、学術書や芸術系が多い感じですが、基本的には何でもあり。
児童書コーナーなんてのもあり、紙芝居や英語何ちゃらも開催中。写真は、その英語何ちゃら。
あ、写真で見ると木陰が何となく涼しげに思えますが、実際、確かに日向よりは涼しく感じたりします。
が、それはもちろん日向があまりに暑過ぎるだけの話であり、場にいる人間は全員、汗だくです。


こちらも児童書コーナーの催し物で、紙芝居。背後のバスは、誰用なんでしょう。
どうでもいいことですが、会場にはずっとユル目のアナウンスが流れてて、これが実に味、あり。
「毎日でも来て下さい」 や 「暑いですが小川には入らないで下さい。世界遺産です」 みたいなことを、
ネイティブテイストで語り続け、あまりの暑さで殺気立ちそうな心をクールダウンさせてくれます。


「入らないで下さい」 と言われても、子供も大人も平気で入りまくりの小川と、
本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本本
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で、2時間ほどウロウロした挙げ句、3冊500円の店でまず6冊ほど買いました。
全くどうでもいいことですが、この袋の絵の女性、後頭部はどんな形になってるんでしょうか。
宇宙人のように後へ伸びた形状なんでしょうか。あるいは、この髪型はアフロの一種なんでしょうか。
「読書家のしとやかな女性に見えて、実は超ファンキー」 みたいな。見るたびに、不思議です。


続いて、判型だけでざっくり値段を決めてた店にて、300円の本を2冊購入。
レジでおばはんが 「図書館除籍本は売っては駄目じゃないか」 と揉めてて、待つことしばし。
おばはん、「売っては駄目、でも欲しい、でも駄目」 と自分からループに入り、さらに待つことしばし。
他の店では、堂々と除籍本ばっかりを集めたコーナーを設けてるところもあったりしましたが。


では、購入した安い本、晒してみましょうか。まずは3冊500円のから。
『京都北山の磨丸太林業』 。1986年刊。実家の昔の家業絡みで購入。立命生協納品書付き。
『家業 京都室町織物問屋の研究』 。1957年刊。立命人文科学研究所紀要で、そのまんまの内容。
『二条御城の光芒』 。1993年刊。 「二条御城御門番之頭」 の子孫という人による、幕末の本。


『京の石仏』 。1978年刊。カメラマンによる石仏本。亀岡市大井町自治会だより付き。
『近世・京都 ゼミナール』 。1978年刊。原田伴彦や森谷尅久などの連中による、何かの講義録。
『北野大茶湯始末記』 。1959年刊。淡交増刊5号。淡交社はまだ 「淡交新社」 なのが、時代です。
本文に 「北野天満宮」 の表記が全然なく、「北野神社」 「北野社」 となってるのも、時代です。


こちらは、1冊300円で買った2冊でございます。若干、リッチでございます。
『京の町家考』 。1995年刊。町家の保存や再生について行われた様々な講演を収録した本。
「町家」 がブランド化する以前 (でもないのかな) の空気が何となく感じられるのが、味といえば味。
『京の美術と芸能』 。1990年刊。赤井達郎の本。タイトルの割に、京菓子の記述が多いけど。


買うもん買ったあとは、ちょっと休憩です。喫茶コーナーでかき氷を買うの図。
河合神社近くの喫茶コーナー、かき氷をはじめ、冷やしうどんや冷たいカレーうどんなども販売。
しかし人気はかき氷に集中、行列は無限延長気味。写真の氷は、16時半になってやっと買えたもの。
店の横には床机や長椅子が置いてあり、バーストした人たちが死体のように伸びてました。


私も心身がバーストしたので、帰ります。なんて体力を消耗する古書市なんでしょう。
帰る前に本殿へお参りしようかと思いましたが、両手に本を抱えてて面倒臭いので、止めました。
でも気が咎めるので、賽銭の代わりに自販機で金使おうと思ったら、ポカリや炭酸系が全て売切れ。
やむなく残ってたタリーズコーヒーを買い、濃厚なる泥水を飲んで余計に喉が乾きましたとさ。

客のメインは、当然というか何というか、単独の男です。
大半は、地元系の単独男。冷やかし風は少なく、観光系もあんまりいません。
いずれも黙々と本を漁るのみであり、数の割に独男的オーラを分泌することも、さほどなし。
また、周囲が緑で囲まれてるためか、モワ~っとした独男的臭気を分泌することも、さほどなし。
逆に、冷やかしテイストのカップルや家族連れは、数が少ない割にオーラが濃かったります。
カップルは、物好き系 or 冷やかし系。オーラは無駄に目臭いですが、問題になるような数ではなし。
女性グループは、アイドルヲタ系と冷やかし系。男性グループは、用事がある連中と冷やかし系。
中年夫婦は、共に気合い入ってる系と、冷やかし系。中高年グループは概ね、普通の近所の人。
単独女は大体、用事がある人ばかり。遠来感が希薄なのは、どの属性も変わりません。

そんな下鴨神社・糺の森の、納涼古本まつり。
好きな人と行ったら、より納涼なんでしょう。
でも、ひとりで行っても、納涼です。

【客層】 (客層表記について)
カップル:1
女性グループ:若干
男性グループ:1
混成グループ:微
子供:若干
中高年夫婦:1
中高年女性グループ:若干
中高年団体 or グループ:2
単身女性:1
単身男性:3

【ひとりに向いてる度】
★★★★
普通の独男なら、居心地の悪さを感じることはまずないだろう。
ただし、当たり前のことながら、死ぬほど暑い。

【条件】
日曜+古本まつり初日 13:00~17:00


納涼古本まつり
毎年8月11日~16日
下鴨神社・糺の森にて開催
 
京都古書研究会 – 公式

下鴨納涼古本まつり – 京都古書研究会ブログ
 

下鴨神社
京都市左京区下鴨泉川町59
通常参拝 6:30~17:00

京都市バス 下鴨神社前下車すぐ
京阪電車 出町柳駅下車 徒歩約10分

世界遺産 下鴨神社 – 公式

賀茂御祖神社 – Wikipedia