善法律寺へ紅葉を観に行ってきました。もちろん、ひとりで。

2013年11月29日(金)


善法律寺へ紅葉を観に行ってきました。もちろん、ひとりで。

善法寺家といえば、石清水八幡宮の社家であります。
世間的には某アニメキャラの姓としての知名度の方が高いのかも知れませんが、
少なくとも八幡人的に善法寺家といえば、石清水八幡宮社家たる善法寺家のことであります。
善法寺家。鎌倉期の頃から嫡流の田中家と共に、石清水の別当 = トップを担った家です。
のみならず、室町期には同家の紀良子2代将軍・足利義詮の側室となり3代将軍・義満を出産、
その縁ゆえか何なのか、義満は石清水をたびたび参拝し、石清水と幕府との関係を強化。
また、良子の母である智泉聖通は四辻宮善統親王の孫 = 順徳天皇の曾孫ともいわれたため、
義満の皇胤説が生まれる要因になったりと、様々な形で歴史に関連する由緒を持つ家でもあります。
あ、神社のトップが 「宮司」 ではなく 「別当」 となってるのが、妙に思われるかも知れませんが、
日本は明治維新に至るまで、神と仏が入り交じり習合しているのがそもそも基本的な信仰スタイル。
特に石清水八幡宮は、かつては 「石清水八幡宮寺」 と呼ばれるほど、その傾向が顕著でした。
山上の本殿には僧形八幡像がどっしりと安座し、その前では祝詞の声と読経の声が日々入り乱れ、
山内には 「男山四十八坊」 とOTK48的な呼称が生まれるほど、宿坊が林立してたわけです。
善法寺家もまた、社務を務める一方で山麓に寺院も建立しました。それが、善法律寺。
律の字が入ってるのは、律宗寺院だから。創建時に招いたのは、東大寺の僧だそうですが。
善法寺家の私邸を寺化して創建された善法律寺には、のちに玉の輿に乗った良子が紅葉を寄進。
ずっと時代が下って明治の神仏分離の際は、山上本殿の僧形八幡像が運び込まれました。
善法寺家は明治に還俗して名前を変え、以降どうなったか私は全然知らないんですが、
善法律寺は現存し、僧形八幡像と、そして良子由来の紅葉を護り続けています。
「紅葉寺」 という別名の由来ともなったその紅葉、観てきました。


善法律寺は、京阪八幡市駅から南へしばらく歩いた先にあります。
時間は、十数分程度。近くにバスの路線は、なし。タクシーに乗らなければ、歩くしかありません。
歩く道は、東高野街道がいいでしょう。文化センターの記事でも触れた、高野山へと続く旧街道です。
近年観光に力を入れ始め、紅葉案内なんかもあり。ただしこの辺、車が多くて、かつ怖いですよ。


東高野街道は、さすがに旧街道だけあって、寺や古い町家が多めの道です。
善法律寺もこの街道の傍に立地してるわけですが、厳密に言うと、場所は一筋西の道沿い。
かつて●●を密造してた工場があるあたりで、左折せず、東高野街道から離れて歩くことになります。
全くわけのわからん説明になってて恐縮ですが。とにかく真直ぐ南へ歩けば、多分OKですよ。


かつて●●者が多発した男山中学校の旧地利用グラウンドを山側に眺めながら、
荒っぽい運転の車にビビらされつつ狭い歩道をしばし歩くとたどり着く、善法律寺の山門。
別段、拝観料とかは要らない、ごくごく普通な寺です。ただ、本気の拝観は要予約となってますが。
本気の拝観というのは、案内付きとかのやつですね、多分。私もしたことないんで知りませんが。


で、山門をくぐろうとしたら、いきなり、紅葉。


紅葉。


紅葉。


紅葉。


紅葉。


新築らしきお堂と紅葉。


紅葉の落葉。


新築らしきお堂と紅葉アゲイン。


宝塔と紅葉。


境内と紅葉。


池と祠と紅葉。


僧形八幡像が安置されている本堂と、紅葉。
本堂、石清水八幡宮から移築されたものともいわれ、製造年代は桃山期とも鎌倉期とも。
ただ先述の通り、普通にふらっと訪れて、中の八幡大菩薩を拝むことはできません。外から見るのみ。
あ、予約拝観でも中を見れるかは、知りませんけど。興味のある方は、自分で確認して下さい。


で、その辺りの紅葉の落葉。


五輪石塔と地蔵と紅葉。


地蔵と慰霊塔と紅葉。


もう少し寄って、慰霊塔と紅葉。
慰霊塔というのは、私の母校である八幡市立八幡小学校で起こった台風事故の、慰霊塔。
戦前の室戸台風の際、学校の建物が倒壊して生徒多数と教員が亡くなる事故が起こったそうです。
念入りな紅葉に囲まれた慰霊塔、小学校からお参りに来た記憶が、あるような、ないような。


で、もっと寄って、慰霊塔と紅葉。


忠魂碑と紅葉。


で、見るもん見たので帰る際に見た、紅葉。
善法律寺の紅葉、以上であります。以上なんですが、でもちょっと、小腹が空いたな。


でも、すぐ近所の小谷食堂でカレー中華を食うほど、減ってもいないしな。
というわけで立ち寄った、さら近い場所にある創業何百年級の老舗和菓子店・志ばん宗
善法律寺は、写真奥の突き当たりを左 = 南へ行った先。往路は、あそこを右から左へ歩いた、と。
志ばん宗は、向きを変えた東高野街道沿いに立ってるわけです。善法律寺からは数分程度。


志ばん宗の名物は何といっても、米粉で作られた 「ういろ」 。
米粉製だからなのか何なのか、普通のういろうとは明確に違うプリプリした食感が、魅力です。
味は、プレーンと黒糖の2種類。甘過ぎないので、私は昼飯代わりに食べることもあったりもします。
この日も4個をがっつり食らって、腹が満たされました。善法律寺へ行く方は、おみやげに是非。

客層は、大した客数がないので、省略。
相当のんびり観ましたが、客は地元の住民と、地元のカメラ爺さんが来た程度。
完全独占の時間はさほどありませんが、いわゆる混雑とは無縁の場所と言えるでしょう。
ただ、紅葉の見事さ+拝観料無料のため、見物客増加の可能性はなくもありません。
ゆっくり観たい方は、早めに訪問されるのがいいのではないでしょうか。

そんな善法律寺の、紅葉。
好きな人と観たら、より紅葉なんでしょう。
でも、ひとりで観ても、紅葉です。


【ひとりに向いてる度】
★★★★
よほど運が悪くない限り、
良質の紅葉をじっくり堪能できる。

【条件】
平日金曜+紅葉全開 10:25~11:45
 

善法律寺
京都府八幡市八幡馬場28
拝観時間 知らん

京阪電車 八幡市駅下車 徒歩約15分
 

やわたの名勝‐善法律寺 – 八幡市役所

善法律寺 – 京都風光