八幡市文化センターで映画 『レ・ミゼラブル』 を観てきました。もちろん、ひとりで。

2013年6月16日(日)


八幡市文化センターで映画 『レ・ミゼラブル』 を観てきました。もちろん、ひとりで。

八幡市文化センター
私の地元・八幡が、かつて熱かった時代の遺産であります。
などという書き方をすると、今は冷めてしまってるのかという話になってしまいますが、
少なくとも30年前、人口が増えまくり市制に移行した前後の八幡は、今よりも熱かったはずです。
石清水八幡宮の門前にあって、長らく静かな町であり続けていた、京都府綴喜郡八幡町。
しかし、多くの参拝者が精進落としに励んだ橋本遊郭が、昭和33年の売春防止法を受けて、全廃。
税収の実に3分の1を失った八幡は、男山の大阪側に団地を誘致します。男山団地の誕生です。
団地以外の宅地化も進め、2万人だった人口はその3倍以上の7万人にまで、爆発的に増加。
「このまま行ったら、10万越え、確定」 と踏んだ当時の行政は、文化施設の建設も景気良く断行し、
1983年、市役所の向かいに巨大なる八幡市文化センターを、勢いに任せて完成させました。
収容人員1220人&残響可変装置完備の大ホールは、現在に至るも音響面の評判は上々ですが、
地の利の悪さ&身の丈に合わない箱モノの宿命が相まって、コンテンツは圧倒的に、不足気味
アーティストやオーケストラのコンサート、学生の演奏会など、それなりに活用はされつつも、
人口減少中の八幡にあって、廃墟、もといお荷物、もとい遺産な存在感を、日々強めつつあります。
そんな文化センター、たまに映画もやってて、この日上映されたのが、かの 『レ・ミゼラブル』
「最初から最後まで歌いっぱなし」 という無茶苦茶なつくりで、大ヒットしたミュージカル映画です。
音響が売りのホールで見るには、実に相応しい。なので、市民の義務として出かけてみました。
ついでに、八幡市駅からホールまでの、府道22号線とは違うルートも、御紹介。
のんびりとした本当の八幡を、感じてもらいましょう。


八幡市駅を出て、出口近くへ移転されたエジソン記念碑に迎えられるの図。
駅前のバスターミナルからは、文化センター方面へのバスが出てますが、今日は歩きで。
徒歩の場合、線路沿いに真っ直ぐ歩いて府道22号線へ出るルートが一般的に紹介されますが、
今回ではそっちではなく、スーパーツジトミの方へ右折、森が見える方へ進んでください。


かい人21面相が備品を調達したスーパーツジトミを通り過ぎると、
石清水八幡宮・一の鳥居と森、そして門前名物・走井餅の走井餅老舗が現れます。
左側の石畳の道を歩くのもよし、鳥居をくぐって石清水祭の会場になる下院を通っていくのもよし。
走井餅をお求めの方は、夜は早く閉まるので、行きに買っておいた方がいいかも知れません。


途中、八幡名物の安居橋を見物していくのも、いいでしょう。
勅祭・石清水祭では、放生会の会場となり、胡蝶の舞の奉納も行われる、安居橋。
あ、もちろん常にこんな奇怪な形をしてるわけではありません。2013年6月現在、架替工事中。
近年、春になるとこの辺りの公園の桜が、いい感じで咲くようになりました。


安居橋を渡らず真っ直ぐ道を進み、レトロな時計店のある分岐を、右へ。
元来は八幡さんの一般拝観用の参道であり、いい感じの風情が今も残る道を、歩きます。
写真右側の建物は、旧・平八 or 八幡山荘。私は、リアルに営業してる頃を見たことありませんが。
左の日よけがかかってるのは、饅頭屋・みささ堂。常連さんが、水無月を買ってました。


相槌稲荷の前を左折、松花堂昭乗の墓がある泰勝寺をスルー、
2車線弱の道についたら右折して、今や商店が全然ない中央商店街へ入って下さい。
案内標の通り、この道をひたすら進むと、吉兆の松花堂店がある名勝・松花堂庭園へ着きます。
そして、さらにとことん歩き続けると、高野山に着きます。ゆえにこの道の名は、東高野街道


腹、減りませんか。減ってないですか。でも、名物は食っておくもんです。
「えと、文化センターへ向かってるんだよね」 と、お思いでしょう。大丈夫、ちゃんと着きますよ。
八幡の名物といえば、古くは八幡巻きがありますが、現在は店で出してるとこがあまりありません。
最近ではカレー中華が、一番推しでしょう。ここ、小谷食堂が、人気の震源地。


で、カレー中華。ご飯と併せて、800円。50円足すと、卵かけご飯になるぞ。
まったりして、さほど辛くはない、カレー出汁。そこへ、豚肉、長ネギ、そしてカマボコ。
ベーシックなようで、最近あまりないタイプのテイストの出汁です。飯と共にかっ喰らいましょう。
自家製麺でかなり柔らかめな麺は、底の方に沈み、姿を潜ませてます。よくかき混ぜて。


小谷食堂を出たら、右へ進み、渋過ぎる不動産屋の角を左折。
やはり八幡名物である志ばん宗の米粉ういろも、是非とも試して行って下さい。
と思ったら、定休日でした。というか開いてても、ういろは売り切れのことが多いんですけど。
店の横には、昔は死ぬほど怖かった頼風塚、あり。写真奥の建物は、八幡市立図書館


図書館の前を右折、味のある道をしばし、歩きましょう。
やたら何度も曲がらせて恐縮ですが、しょうがないです、東高野街道がこういう道なので。
そういえばこの道、和菓子店が密集してるため、最近ではスイーツ街道などとも呼ばれています。
今までも、走井餅、みささ堂、志ばん宗と、既に3軒。この先にも、亀屋芳邦という名店、あり。


亀屋芳邦は、徳川ゆかりの寺である正法寺の門前にあり、
源氏巻らしからぬ源氏巻で有名なんですが、そこへ着く前にこの石碑のところで、左折。
八幡のあちこちに同様の石碑を立てた、三宅安兵衛&清治郎による 「三宅碑」 のひとつです。
「検巡道」 。石清水八幡宮の朱印地を巡検することに使われた、歴史ある道であります。


超狭くてネイティブな 「検巡道」 を、くにゃっと歩くこと、しばし。
「えと、文化センターへ向かってるんだよね」 と、お思いでしょう。大丈夫、ちゃんと着きますよ。
というか、もう目の前まで来てます。正面上空を見上げてたら、このビジュアルが現れるはずです。
「吉田工業」、ではなく「市文化センター」。あれを目印にして、適当にたどり着いて下さい。


で、どどーんと、八幡市文化センターの勇姿。デカい、実にデカい。
入口前には、バス停 「八幡市役所」 から降りて来た人たちが入場する流れ、あり。
それなりに数はいるんですか、ホールの巨大さゆえ、寂しい印象はどうにもこうにも否めません。
写ってませんが、向かいには同じ大きさで市役所が建ってます。それも目印に。


市民の絵画展示や、どっかの提携都市の謎の石像が飾られるロビーへ入り、
ホールのエントランス手前で、1300円の当日券を購入。前売は、1000円。う~む。
そういえばレ・ミゼラブル、この日のすぐあとにDVDが出るんですよね。なのに、1300円。う~む。
でもまあ、いいか。音響が良いハコでミュージカル映画が見れるんです。よしとしましょう。


いろんな意味で切羽詰ってるのか、職員にやたら丁寧な応対をされながら、
二重ドアを通ってやってきました、客席数1220人&残響可変装置完備を誇る、大ホール。
入りは7割程度に見えましたが、映画が始まる頃になると9割がた埋まってました。良い入りです。
「音の良いホールで人気作を楽しみたい」 と考えた人が多いのでしょう。期待が高まります。


13時半、客電が落ち、上映が始まりました。
まずは、犬が保健所で殺されるカウントダウン映画の予告編と、お馴染みの踊る映画泥棒
スクリーン、小さい・・・そして何より、音悪い・・・会場がどうこうというより、スピーカーしょぼ過ぎ。
でもまあ、所詮は、予告編です。所詮は、映画泥棒です。本編はきっと、大丈夫でしょう。


と思ってたら、本編も全く同じコンディションでの上映でした・・・。
サラウンド感、ゼロ。それ以前に、ステレオ感も、ゼロ。中高音は割れ、重低音は全然なし。
もうちょっといいPA、使ってくれ。あと、フィルム上映のためか、謎の記号やゴミが時折写ります。
う~む。昔、ここで黒沢の映画観たときは、映画館で見るより良いとか思ったんですけど。


つらいながらも、慣れてくると、映画の中へ入り込めるもんです。
噂で聞いた時は誇張だと思ってましたが、本当に最初から最後まで、歌いっ放しなのね・・・。
内容は、興味ある人は既知でしょうし、ない人には知ったこっちゃないでしょうから、書きません。
が、アン・ハザウェイ、最後まで出ずっぱり希望。あと、エポニーヌ、途中から激萌え。


エポニーヌ、キャスケットかぶって革命萌えまで盛ってきたので、さらに激萌え。
その親がやってる宿屋の、歌い踊りながらのエログロスカトロ三昧も、書けない何かが、激萌え。
ラスト近くの死体陳列&血の川&餓鬼も容赦なく殺すあたりの描写も、書けない何かが、激萌え。
こういうのやると、やはりヨーロッパは最高だと思いました。どう最高かは、書けないけど。


で、16時過ぎ、長い映画は終わりました。
ホールを出て、市役所と向かい合う勇姿を、改めて眺めるの図。奥の山は、男山。
客の多くは、駐車場に止めた車か、バス停へ。バスは、京阪八幡市駅にもくずは駅にも、便あり。
くずは行きのバスは、男山団地を通ります。バス停、それなりの混雑でした。


バスに乗るのもいいですが、帰りも歩くのも、悪くないでしょう。
行きで通ったルートを文化センター側から説明するのは非常に面倒くさいので、
向かいの道を北へ向い、スーパーコノミヤとさっきの小谷食堂のあたりを、ウロウロしてみてください。
多分、こんな道に出ます。向かいの道 = 府道22号線を真っ直ぐ歩いても、駅には着きますけど。


これも先述しましたが、お土産を買うなら走井餅が定番でしょう。
バスで駅に着いた方も、スーパーツジトミの向こうへ行けば、店が見つかるはずです。
元々は大津の東海道名物だったものが、明治末に八幡へやってきて門前名物化した、走井餅。
店内には、茶屋も併設。抹茶セットなどもあるので、ちょっと一服していくのも、ありかと。


走井餅というのは、細長い形をした、餡餅。
でも、大福的な食感ではなく、何回食べても何とも説明しがたい、独特の味です。
普通に食っても美味いですが、私は表面をちょっと焙ったりして、パリフワな食感を楽しんでます。
八幡名物を突きつけられ、マリウスも嬉しそうです。全然そう見えませんか。ああそうですか。

客層は、催し物によって全く変わるでしょうから、
書くのが無意味に思えますが、一応参考までに記しておきます。
完全な、地元メイン。といっても、DNQ天国というわけでは、ありません。
団地が出来て人口が3倍以上に増えた典型的ベッドタウンとしての、地元メインというか。
ディープなネイティブに囲まれる感じはなく、大半が中高年のため色気もひったくれもなし。
たまにいる若い女グループは、ことごとくDQN寄りだったりしますが、
映画へのマナーなどは、普通の街中の映画館よりも良いくらいではないでしょうか。

そんな八幡市文化センターの、 『レ・ミゼラブル』 。
好きな人と観たら、よりああ無情なんでしょう。
でも、ひとりで観ても、ああ無情です。

【客層】 (客層表記について)
カップル:微
女性グループ:若干(DQN)
男性グループ:微
混成グループ:0
子供:0
中高年夫婦:4
中高年女性グループ:2
中高年団体 or グループ:4
単身女性:0
単身男性:微

【ひとりに向いてる度】
★★★
催しの客層によるので、何とも言えん。
少なくとも、ひとりで行きにくい立地ということはないだろう。
あと、ひとりで歩くなら、行きでも帰りでもいいから、
のんびりと東高野街道を通ってみて欲しい。
府道だけを歩くのは、もったいないと思う。

【条件】
日曜 12:00~16:30


八幡市文化センター
京都府八幡市八幡高畑5−3
9:00~22:00 水曜休館

京阪バス 八幡市役所下車すぐ
京阪電車 八幡市駅下車 徒歩約25分

八幡市文化センター – 八幡市文化事業団公式