福知山市三和町の三和荘でぼたん小鍋セットを堪能してきました。もちろん、ひとりで。

2016年2月4日(木)


福知山市三和町の三和荘へ行ってぼたん小鍋セットを堪能してきました。もちろん、ひとりで。

京都で一番安い値段でぼたん鍋を食えるところは、一体、何処になるんだろう。
大原の里、そしてくらま温泉と、猪肉を食い求め出費が嵩んだ私は、そんなことを考えました。
単に安く猪肉を食うというだけなら、改進亭で猪肉買ってきて自分で鍋をやってもいいわけですが、
これでも肉自体は結構な値段がするし、出汁や野菜も用意するとなれば、そこそこかかります。
それに自分の家で食うのでは、当然ながら温泉が付いてきません。露店風呂さえ、付いてきません。
温泉入湯を必須とする企画 「ひとりで食べる京都のぼたん鍋」 のルールに、そぐわないのです。
「だから、何で温泉が必須なんだ」 という話ではありますが、しかし、冬に暖を取るべく食うのが、猪。
猪が走り回ってた山の冷気を感じつつ、食前食後に湯の風情を楽しむのも、自然の流れでしょう。
というわけで、猪肉食って風呂入って2000円前後の店って京都にあるかな、と探してみたんですよ。
脳内の正気が 「絶対あるわけない」 と叫ぶのを必死で黙らせながら調べると、これが、ありました。
その店の名は、三和荘京都府は福知山市三和町にある、NPO運営の宿泊&日帰り入浴施設です。
福知山市三和町と聞いて、あなたは何か連想出来るでしょうか。私は、出来ません。すんません。
何も連想することが出来ないどころか、それ以前にどの辺にあるのかも、わかりません。すんません。
元々単独の自治体だった三和町は、山陰道の宿場町・菟原を中心とする町、だと思います、多分。
そんな三和町の三和荘は、調べる限り 「ハコもの」 以外の言葉が思いつかない風味の施設ですが、
しかしここ、単品だと1080円でぼたん小鍋を出すレストラン 「とどろき」 が併設されてるんですよ。
更に、温泉でこそないものの、大自然を眺めながら湯を楽しめる浴場 「香明の湯」 もあるんですよ。
これは、行くべきでしょう。たとえ、食費+湯費の合計額より交通費が高くなっても、行くべきでしょう。
というわけで、当サイト的には未踏の地である福知山市まで、遠路はるばる出かけてみました。
そう、これはあくまでも新たな挑戦なのです。府北部も視野へ入れる為の、新たな挑戦なのです。
決して、綾部・大本の節分へ泊まりで行ったから、翌日におまけで寄ったのでは、ありません。
断じて、綾部駅から200円で行ける市バスがあったから行ったのでも、ありません。


菟原・細見・川合の村3つが合併して出来たから 「三和町」 という三和町、場所はこんな感じ。
R9で観音峠を越え、マーケスの先で府道27号へ入らず、福知山方面へR9を進み続けた感じです。
どんな感じだ、という話ですが。JRから離れた、昔からの山陰道≒R9沿いの町というところでしょうか。
山中感が半端ないですが、実際、面積の半分以上は山地とか。普通なら、車で行くしかありません。


が、大本・節分で参綾中の私は、バスで行きます。綾部市バスでなく、福知山市バスで行きます。
三和町は先述通り現・福知山市ですが、市バスは何故か綾部に通じており、運賃も先述通り激安
なので、乗りました。節分大祭へほぼ徹夜で出かけた後の為、体も頭もボロボロですが、乗りました。
10時28分発のバス、客は私込みで、3人。街を抜け山間部へ入ると、信号が全然ない道を大爆走。


茅葺家屋が普通に散見出来る山間部の道を、小型のバスは延々とノンストップで大爆走。
アナウンスやバス停表示などは、全くなし。そもそも乗降の動きが、全くなし。ひたすら、爆走です。
爆走し続けてると、産屋の習俗で有名な大原神社の前へ来ました。民俗学的に重要な社であります。
疲れてても車内から眺めて済ましたりせず、下車&立ち寄るべきですよね。本当に、そうですよね。


で、大原神社の前を通り過ぎてすぐ、天地根元造の民俗文化財・大原の産屋が見えてきました。
疲れてても車内から眺めて済ましたりせず、下車&立ち寄るべきですよね。本当に、そうですよね。
で、更にその前を通り過ぎると、高さ世界一というみわ・ダッシュ村の巨大ブランコが見えてきました。
疲れてても車内から眺めて済ましたりせず、下車&立ち寄るべきですよね。本当に、そうですよね。


で、ブランコを通り過ぎ、 「三和荘」 &温泉マークが書かれた看板が立つR9の交差点を渡り、
リゾート施設的なアプローチ坂道を登り、テニスコート近くのバス停でバスを降り到着した、三和荘
宿泊・レストラン・入浴・運動などの施設を備えた、2005年オープンの地域交流基幹施設だそうです。
市バスを降りる際、運転手さんは施設利用者用の割引券みたいなのをくれました。流石は、NPO。


で、敷地へ入れば入るほど感じまくる、溢れんばかりのダダっ広さと、ハコもの感。


車の姿は見かけても人間の姿を見かけない本棟玄関でも感じまくる、ハコもの感。


その本棟玄関の横で、微妙に獣の匂いをさせながら出迎えてくれたのは、ウサギ館長。


三和荘の館長は、ウサギが務めてるんだとか。現・館長は、2代目という 「きよちゃん」 。
玄関横の地べたへ座り込んで微動だにせず、猫以外の何物でもない存在感を放ってる、館長。


ハウジングとセキュリティはダンボール+首輪と、猫というよりは昔の犬みたいな、館長。


品種はロップイヤーであり、断じてジビエの為に地元で狩られてきたのではない、館長。


そんな感じで館長を愛でてしまいました。が、兎もいいけど、やはり猪ですよ。猪肉ですよ。
というわけで、本棟へ入り、人気が全然ない物産販売コーナーを抜けて、レストラン 「とどろき」 へ。
ここまでの時点で正直、期待はしないと決めてました。が、レストランは何か、活気があるんですよね。
先客は1組ながら、どこか混む気配が漂ってるというか。何より、前面に拡がる丹波高地が、美しい。


オーダーを取りに来たスタッフも、マニュアルで萎縮しまくってる老人とかではなくて、ごく普通。
頼んだのは、ぼたん小鍋セットです。単品で激安を極めたいところですが、腹が減ってたんですよ。
事前調べの際、 「鹿肉の陶板焼きがある」 とか出てて気になってたんですが、訊くと現在はないとか。
兎肉の有無も訊こうかと思いましたが、止めましたよ。とかいってる内に、やはり混んできましたよ。


で、やって来ましたよ、ぼたん小鍋セット。小鍋、コンロが付いてますよ。煮立ってますよ。
セットの内容は、このぼたん小鍋と、彩り揚げ、おぼろ豆腐、炊き合わせ、ゆかり御飯に、漬物。


ぼたん小鍋、中は出来上がった状態。ですが、これからどんどん煮込んで行きますよ。
中身は、グツグツと音を立ててる猪肉に加えて、白菜・えのき・ネギといった野菜類、そして豆腐。


で、肝心の猪肉ですよ。単品価格1030円ながらも見事なシェイプを描く、猪肉ですよ。
味は、倍の値段でもおかしくない感じ。臭みなどは全くなく、ガッツリと肉、です。量も結構、多し。


出汁は、赤味噌系に見えるかも知れませんが、合わせ味噌系。ガッツが効いてますよ。
ほぼ徹夜で宗教疲れした心身に、精進落としの愉悦が染み渡ります。で、バクつくこと、しばし。


で、他の食い物も各個撃破。彩り揚げ、タレはまあまあながら、野菜そのものは美味し。


おぼろ豆腐と炊き合わせ、実におぼろなる豆腐と実に炊きなる合わせで、普通に美味し。


煮込みながら食い進める小鍋、煮込むとえのきの存在感が際立ってきて、美味し。


またしても見事なシェイプを描いてる猪肉は、煮込んだ後だとなおのこと、美味し。


燃料が終わり雑炊は出来なかったけど、出汁をおかずに食う白飯も無論、美味し。


で、あっという間に全てを食い尽くしてしまった、ぼたん小鍋セット。これで1600円は、安過ぎる。
入店時は空いてた店内も、この頃には8割方が埋まってました。このCPなら、当然かも知れません。
勘定を済ませて退店し、先刻は閑散としてた物産コーナーを通ると、こちらも今度は結構な盛況ぶり。
館長と遊んでた時は、ハコものとちょっぴり舐めくさって、すんませんでした。さあ、次は風呂です。


「ひとりで食べる京都のぼたん鍋」 の必須趣旨である温泉、を少し規制緩和して、入浴。
絶対に、入らないといけません。入らないと、企画が成立しません。が、浴場 「香明の湯」 、準備中。
露天など4種類の風呂を楽しめるという 「香明の湯」 、土日は11時開湯ながら、平日は15時からとか。
で、今日は、平日。で、現時刻は、12時ちょい過ぎ。参ったな。待つの、面倒だな。もう、帰ろうかな。


いや、やはり企画の趣旨は、遵守しなければ。そう思い直して、物産コーナーにてしばし暇潰し。
満腹状態で快晴の山景色を見てると、猛烈な眠気に襲われました。私、全然寝てないんですよね。
朝4時まで節分大祭をウロウロし続け、ホテルへ戻ってもメモを書き続け、全然寝てないんですよね。
くらま温泉みたいに畳敷の休憩室とかあれば嬉しいんですが、ここ、そういうのはないんですよね。


バス、13時前に綾部行きがあるんですよね。それで大原神社まで一旦戻るのも、いいかも。
やはり、スルーは許されない神社です。先刻食った白飯の米が神社のある川合産なのも、縁だし。
それに、巨大ブランコに乗るのも、いいかも。より立体的&体感的に、三和の魅力が伝えられるかも。
「そう、それがいい」 と、暇潰しでまた愛でていた館長も、推奨してくれました。そんな気がしました。


というわけで、12:55発の綾部行きバスに乗ろうと、テニスコート近くのバス停へやってきました。
ここから大原神社へ行って産屋も拝み、途中で巨大ブランコにも乗り、15時頃に戻ってくるのです。
断じて、綾部駅へ直行したりはしません。途中で全てが面倒になり、綾部駅へ直行したりはしません。
戻ってきます。必ず、戻ってきます。絶対に、戻ってきます。たとえ戻ってこなくても、戻ってきます。

客は、大半が地元の老人。というか、全員が老人。
2~3人くらいのグループが多く入り、いずれもが定食などランチを注文する常連客です。
若者の姿は全くなく、カップルなども皆無。単独も、私を除けば男女とも絶無でした。
空気と匂いは、実に一般の食堂的。ハコものに見えるレストランですが、強い活気があるというか。
京都市街の中心部からではとんでもなく遠く、本当に交通費の方が全然高価にはなりますが、
近くを通ることがある場合などは、行ってみてもいいのではないでしょうか。

そんな三和荘の、ぼたん小鍋セット。
好きな人と食べたら、より三和なんでしょう。
でも、ひとりで食べても、三和です。


【ひとりに向いてる度】
★★★
値段・シチュエーションは、
余裕で★★★★か★★★★★だが、
地元の人以外にとっては遠過ぎる。
 
【条件】
平日木曜 11:00~12:55
 

三和荘
京都府福知山市三和町寺尾権現4
多分、年中無休
 
福知山市バス 川合大原線 三和荘下車すぐ
JRバス園福線 丹波新橋下車 徒歩約5分
 

三和の宿泊施設 『三和荘』 – 公式