2012年12月24日(月)
懐古庵を一軒借りして、聖夜を過ごしました。もちろん、ひとりで。
メリー・クリスマス!!
商魂&性欲&臆病者の承認欲求が破裂する街の乱痴気騒ぎに背を向け、
「汝姦淫するなかれ」 という主の教えに従い、ひとりで過ごす聖夜のお泊り in 2012です。
2010年は1500円の激安宿、2011年は寺の宿坊と、清く正しく主の生誕を祝したわけですが、
2012年は、考えてた阿呆なプランの全てが、予約的にも、天気的にも、オール没に。
急に行く所が無くなったので、さあどうしようかなと思ってる時、ふと町家のことが頭に浮かびました。
町家。21世紀以降の京都観光を語る上で、絶対に外すことができない要素である、町家。
元々は本当に単なる古い民家であり、ゆえに昭和以降は法律的にも人心的にもそっぽを向かれ、
駆逐された頃になって希少価値が生まれ、他所の小金持ちが有り難がるようになった、町家。
おかげでここ十数年、京都にはリノベされた町家ショップが見境なく林立するようになり、
単なる民家がゲストハウスや一軒貸しの宿泊施設に化けるケースも、無限気味に増殖しています。
町家、泊まってみるか。猛烈に恥ずかしいけど。でも、検索流入は、増えるかもな。
そう思って町家宿を調べ始めると、値段が異常に安い所と、異常に高い所が、やたら多い。
安い方はもちろん、いわゆるゲストハウス。高い方はもちろん、いわゆる一軒貸し。
民家を旅館のような部屋割で使うのは難しいので、こうなるのも当然といえば当然なんでしょうが、
でもなあ、ゲストハウスは嫌だなあ、旅人とのコミュニケーションとか、凄く嫌だなあ。
というわけで、一棟貸しの中でも値段が安くて、ひとりでも宿泊可能な宿を探してみました。
見つけたのは、東山三条近くの、懐古庵という宿。明治に建てられた路地長屋を転用した宿です。
値段は、ひとりだと一万円代から。確かに他所よりは、安い。でも、私には十二分に、高い。
なので、食事は完備されてる台所を利用し、ケチ臭い料理ばかり自炊してみました。
生活感が残る町家で、ひとり料理し続ける聖夜、見届けて下さい。
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2011年12月25日(日)
クリスマス・イヴ@妙蓮寺宿坊、続きです。
日本人にとってのクリスマスとは、一体何だったのでしょう。
「だった」と過去形なのは、最盛期の馬鹿騒ぎが現在のクリスマスには、ないからです。
姦淫を以て主の生誕を祝う不埒の輩どもが地虫の如く涌いた、20世紀後半の日本。
飴玉をもらった子供のように浅ましく「聖」と「性」を貪る当時の熱狂は、現在はもう、ありません。
凡庸な性的レジャーとしてのクリスマスを楽しんだ凡庸な人間たちの多くは、
消費社会の成熟や不況の深化とともに、凡庸な家庭や凡庸な友人たちとの集いへ帰っていきました。
今となっては、本気で「クリスマスで何とかしよう」と焦る人など、きっと少数派なのでしょう。
「そんなことはねえっ!!!!!!!!!!」 「イルミネーションのプレッシャーは年々増す一方だっ!!!!!!!!!!」
「仮に恋愛プレッシャーはなくなっても、凡庸な家庭や凡庸な友人すら俺にはねえっ!!!!!!!!!!!!!」
と叫んでしまう同志の方もいるかも知れませんが、しかしそんな方でも、
クリスマスの拡散に伴う陳腐化と性的衰退は、心のどこかでしっかり感じているはずです。
私達の戦いの半分は、終わりました。土俵へ上がる前に。
残った敵は、別の何かに対する、別の浅ましさ。その浅ましさが、今なお、私達を叩き続けている。
そして、昔とは違う形の袋叩きとして、現代日本のクリスマスは機能し始めている。
そんな気が、しませんか。私はあんまり、しないんですけど。
というわけで、どういうわけかわかりませんが、宿坊の聖夜、前編に続き後編であります。
妙味爆裂のクリスマス和菓子を用いた狂乱のひとりパーティーから、
法華曼荼羅の世界へ導かれる朝のお勤めまで、妙なる聖夜をお楽しみ下さい。
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2011年12月25日(日)
妙蓮寺宿坊で聖夜を過ごしました。もちろん、ひとりで。
メリー・クリスマス!!!
今年もまた、聖夜の季節がやってまいりました。独男にとって、鬼門の季節が。
前年は宿泊料1500円+エアコンなし激寒+プレハブ状態の安宿・いずみハウスに泊まり、
末期のアナログテレビで明石家サンタ見ながら一人でシャンパンラッパ飲みなどしたわけですが、
今年はもっと上質な 『クリスマスひとりお泊り in 京都』 を提案したいと思います。
私だって、いい加減大人ですからね。くだらないことばかり、そうそうやってられませんよ。
というわけで、2011年の聖夜に泊まったのは、妙蓮寺。
正真正銘、お寺です。しばらく前からブームになってるという、宿坊というやつです。
ただ泊まるだけでなく、朝のお勤めなどにも参加できたりするのが魅力の、宿坊。
また、一般の宿に比べると料金が安価に設定されているのも、人気の要因となっています。
ちなみにこちらの妙蓮寺、一泊、3800円。相応しい表現かは知りませんが、「お値打ち」です。
加えて妙蓮寺が魅力的なのは、その立地。すなわち、上京・西陣・寺之内。
「寺之内」の名が示す通り、周囲には法華宗を中心に本山クラスの寺院が林立しまくり、
ゆえに茶道の各千家が集中しまくり、ゆえに和菓子の老舗が密集しまくってるエリアなのであります。
「そんな高級な世界のことは知らん」という方でも、街並の中をただ歩いてるだけで、
偏頭痛が起きるような京都独自の異常な閉塞感をとことん堪能できるエリアなのであります。
そんな宿坊、独男の上質な聖夜にはふさわしい、と考えたのは大嘘ですが、
とりあえず行くところがないので、純粋なる興味本位&面白半分で泊まってみました。
密集しまくる和菓子屋の老舗の中には「クリスマス和菓子」なんてのを出してるとこもあるので、
そっち方面でもちょっと、遊んでみましたよ。
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2010年12月25日(土)
クリスマス早朝の清水寺へ行ってきました。もちろん、ひとりで。
亡き母からのご縁がふかく、私は三十余年の間、毎朝お参りをさせて頂いております。朝早よう起
きて、祇園さんから二年坂、三年坂、その角の七味屋さんのとこの石段あがって、まだ起きといやし
まへん土産もんのお店のならぶ清水坂をのぼりきると、清水さんの大石段、楼門に、三重の塔を霧
の中に見上げますともう、心のふるさとにきた思いです。音羽の滝のお不動さんに、手をあわして拝
がみ、お水を杓でいただき口に含むときのさわやかさ、いっぺんにゆんべからの気しょくの悪かった
ことも拭うて下さるようにすうっと消え、しゃんとなって八十三段の石段をのぼり、観音さまへ、きんの
(昨日)一日の御礼を申し、今日もまた無事なように願う心のあたたかさは、いいようのない嬉しいも
のでございます。お堂の前の舞台にでますと、晴れた日の春は、紫のうす霧に、西の本願寺さんの
屋根が、浄土にわたる舟のように浮んで見えまして思わず手を合わします。
(古寺巡礼 京都 月報24 清水寺 淡交社 1978 「清水さん」 増田好)
30年以上前の小冊子に描かれた、信仰の対象としての清水寺。
この30年の間にあったバブルや世界遺産認定などが、清水寺とその周辺をどう変えたのか。
生活レベルの信仰はどう変わったのか、あるいは変わってないのか。
そのあたりを確かめるため早朝の参拝を敢行した、というのは、嘘です。
イブに泊まった宿があまりに寒過ぎて寝てられず、運動のために外出しただけです。
が、そこで目にした光景は引用文まんまの世界、清水寺のもうひとつ顔、あるいは真の顔でした。
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2010年12月24日(金)
クリスマス・イヴの伏見稲荷へ行ってきました。もちろん、ひとりで。
メリークリスマス!!
聞けば、クリスマスというのは、キリストの誕生日ではないんだそうですよ。
2000年も前の大工の子倅が生まれた日なんか、誰もわからんそうです。そりゃそうですよね。
古代ローマの太陽祭に、キリストの生誕祭を乗っけたのが、いわばクリスマスの起源。
習合みたいなもんでしょうか。ローマの祭りですから、乱交も 「込み」 だったのかも知れません。
太陽の復活を祝い、豊穣を祈り、グチャグチャに交じり合う祝祭としての、クリスマス。
それが本当なら、「聖夜は愛する人と二人きり」などと近代的な恋愛観に基づいた戯言や、
「大事な家族と一緒に」などと現代的な家族観に基づいた戯言を言ってる場合ではありません。
入り混じらなければいけないのです。人も神も、見境なく、入り混じろなければいけないのです。
というわけで、大量の神々と全身で交わりまくるべく、聖夜の伏見稲荷を訪れました。
あらゆる御利益神が見境なく溢れる稲荷山ですから、どっかにクリスマスに効く神もいるはずです。
そのクリスマス神へ深き祈りを捧げ、是非ともクリスマス神力を発動していただき、
消費社会の上澄みのみを祝福する現代日本の偽クリスマスを、一掃してもらうのです。
吹けよ、クリスマス神風。唱える祝詞はもちろん、メリークリスマス!!
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2010年12月24日(金)
クリスマスイヴはお泊まりでした。もちろん、ひとりで。
メリークリスマス!!
と言われても、孤独+社会的プレッシャーとの精神戦のゴングにしか聞こえない皆様、
いかがお過ごしでしょうか。正気は、保たれてるでしょうか。
恋人も友達もおらず、部屋の壁や自分の心の闇をじっと見つめる、聖夜。
危険です。ひょっとしたら真の意味で神に近づいてるんじゃないかと思えるくらい、危険です。
そんなマッドな気分を紛らわすために、イブの京都ひとりお泊りなんか、いかがでしょう。
もちろん、京都といえどクリスマスは多くの宿が満杯です。が、あるところには部屋、あります。
それが、この日泊まった、PHいずみハウス。
一泊1500円という驚異の宿代が、好き者の間で静かな波紋を呼んでいる宿です。
値段を聞くとドミトリー形式の宿をイメージされそうですが、舐めてもらっちゃ困ります。
こちらのいずみハウス、部屋はすべて完全個室。ネカフェのナイトパックを凌ぐ安さなのに、個室。
「孤独がほしくて旅に出てる」「でも確実に孤独な環境を確保するための金はない」
「ドミトリーで人とのコミュニケーションとか、したくない」「まして外人なんか論外」
という我がままな同志たちが、必ずや興味を持つであろうスペックを持つ宿なのです。
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